リフォーム業界の業界動向、M&A・売却・買収事例30選

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リフォーム業界は近年M&Aが活発な業界の一つです。リフォーム業界では、高度な技術を持った職人の高齢化を背景に人材不足が深刻化しており、人材の確保を目的としたM&Aが活発になっています。

本記事では、そうしたリフォーム業界の市場動向を解説するとともに、リフォーム業界におけるM&Aのメリット、今後のM&A動向、買収事例をまとめてご紹介します。

目次

リフォーム業界の概要・市場動向

リフォーム業界とは

リフォーム業界とは、老朽化した建物を新築時に近い状態に戻す工事を行う業界をいいます。

工事は内容によって増築工事・改築工事・改装工事・修繕工事に分けられます。また、ライフステージやライフスタイルの変化に合わせて間取りを変更したり、耐震化やバリアフリー化などの工事もリフォームに含まれます。

リフォームは大規模な工事から小規模な工事まで多岐にわたり、幅広い業務を請け負う業界といえます。また広義にはリフォーム用具を販売する会社やリフォーム専門のコンサルティング会社も含みます。

リフォーム業界の市場動向

宿泊地確保に向けた需要増

東京オリンピックが開催された2021年までは高いリフォーム需要が続いていました。

オリンピックには国内外から多くの観光客やボランティアが訪れることが予想されたため、その宿泊地の確保のためホテルの新築だけでなく既存のホテルや空き家のリフォームが数多く行われました。そのためオリンピックが終わった今後は、一旦需要が落ち込むと見られています。

大阪万博などのイベントのために外国人観光客向けの商業施設や宿泊施設の大規模リフォームが行われると見られていますが、コロナ禍により状況は不透明です。

参入障壁の低い業界特性

リフォーム工事の半数以上は内装の変更、水回りの修繕など500万円未満の小規模な工事が占めています。

このような住宅リフォームは建設業法の規定に抵触しない場合が多く、建築に関わる企業であれば比較的新規参入がしやすい業界であることが特徴です。

また、近年では新型コロナの影響によって家にいる時間が増えたため、より住みやすい住居にリフォームする顧客が増えています。

高齢化を背景とした人材不足

リフォーム業界の最も大きな課題は「職人不足」と言われています。そのため予定日までに工事が終わらないといった事態も見られるようになっています。

職人不足の要因としては、職人が高齢化しており若い担い手が少ないことや、高度で幅広い技術が必要なため人材が限定されることが挙げられます。

高度な技術を持った職人がいないと、事業を拡大しても収益を上げることが難しいため人材不足は深刻な問題であり、この問題を解決するために外国人技術者を取り込む動きも見られますが、それでも足りないと言われています。

リフォーム業界はITの導入が遅れている業界でもあり、今後はITによる若手の技術習得のスピード化が注目されています。

リフォーム業界のM&A動向

リフォーム業界は職人の高齢化が進んでおり若手の職人が少なく、高度な技術が求められ人材が限定されるため、慢性的な人材不足に陥っています。この問題を解決する手段として多くのM&Aが行われています。

また、リフォーム業界は参入障壁が低いことから、家電量販店や建築メーカーなど異業種からの新規参入が盛んで、新規参入した企業が既存企業を買収しノウハウや技術を持った職人を確保してから市場参入するケースもあります。

近年はコンプライアンスや施工工程の見直しが求められており、変化に対応できなくなった中小企業が大手企業の傘下に入るケースも多く見られています。

リフォーム業界におけるM&Aのメリット

売り手のメリット

リフォーム業界のM&A活用において、売り手側のメリットは以下が挙げられます。

  • 大手企業の傘下に入ることで、資金を獲得し事業を継続できる
  • 後継者が不在の場合、廃業せず事業を継続し社員の雇用を守ることができる
  • 後継者問題を解決し、株式譲渡による譲渡収入とともに経営から退くことができる
  • M&Aを契機に代表者による借入金の個人保証や担保を解消できる

買い手のメリット

リフォーム業界のM&A活用において、買い手側のメリットは以下が挙げられます。

  • 新規参入する場合、既存業者を買収することでノウハウを獲得できる
  • 売り手側の高度な技術を持った職人を獲得できる
  • 売り手の拠点を活かし、事業エリアを拡大できる

リフォーム業界のM&A・売却・買収事例

コーナン商事によるパナソニックプロイエサービスのM&A

ホームセンター「コーナン」を手掛けるコーナン商事は、住宅リフォームを手掛けるパナソニックプロイエサービスの住宅設備維持修繕事業の一部を事業譲渡により取得しました。

  • 実行時期:2021年10月
  • スキーム:事業譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:人材不足の解消

スマイルアップによるダイケンホーム&サービスのM&A

リフォーム施工を手掛けるスマイルアップは、リフォーム施工を手掛けるダイケンホーム&サービスの一部事業を事業譲渡により取得しました。

  • 実行時期:2021年10月
  • スキーム:事業譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:収益力の強化、工事・サービスの品質向上

ミサワホームによるアルゴスペースデザインのM&A

住宅の建築、販売を手掛けるミサワホームは、オフィスビルのリフォームを手掛けるアルゴスペースデザインを子会社化しました。

  • 実行時期:2016年8月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:事業の多角化

日本管理センターによるシンエイ及びシンエイエステートのM&A

賃貸経営代行を手掛ける日本管理センターは、賃貸住宅の受託管理を手掛けるシンエイ及びシンエイエステートを子会社化しました。

  • 実行時期:2021年6月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:27億円
  • 目的:事業拡大と既存事業とのシナジー創出

日本リビング保証による横浜ハウスのM&A

住宅設備保証を手掛ける日本リビング保証は、横浜市内のリフォームを手掛ける横浜ハウスを子会社化しました。

  • 実行時期:2020年7月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:サービス品質の向上

三井松島ホールディングスによるシステックキョーワのM&A

炭鉱事業を手掛ける三井松島ホールディングスは、リフォーム用品の販売を手掛けるシステックキョーワを子会社化しました。

  • 実行時期:2021年2月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:技術力獲得による企業価値の向上

日本創発グループによるササオジーエスのM&A

印刷業を手掛ける日本創発グループは、内装工事を手掛けるササオジーエスを子会社化しました。

  • 実行時期:2019年2月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:納期短縮やサービスの向上

インターネットインフィニティーによる正光技建のM&A

高齢者向けリハビリ型デイサービスや、介護に関するWebサイト運営を行うインターネットインフィニティーは、住宅リフォーム工事の設計・施工、新築工事を行っている正光技建を子会社化しました。

  • 実行時期:2022年10月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:住宅リフォームの新たな展開と全国のアクティブシニアプラットフォーム構築

大丸エナウィンによるクサネンのM&A

LPガス事業や住宅設備機器などの販売事業を手掛ける大丸エナウィンは、LPガス販売や住宅リフォーム等を行うクサネンを子会社化しました。

  • 実行時期:2022年7月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:滋賀県での事業エリア拡大と強化

アートリフォームによる遊のM&A

全面改装から水回りのリフォームなど、小規模から大規模案件まで実績を有するアートリフォームは、富裕層向けのリフォームを行う遊をグループ化しました。

  • 実行時期:2021年1月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:1億5000万円
  • 目的:事業間連携の強化

ナカノフドー建設によるトライネットホールディングスのM&A

国内・海外建設事業、不動産事業を行うゼネコン会社のナカノフドー建設は、リフォーム工事等を行うグループの持株会社であるトライネットホールディングスはを子会社化しました。

  • 実行時期:2023年3月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:建築事業のノウハウを建築事業強化に活用する

三春情報センターによる横浜ハウスのM&A

不動産売買・賃貸の仲介・管理などを行う三春情報センターは、戸建住宅・マンション・店舗等の全リフォーム工事の請負などを行っている横浜ハウスを子会社化しました。

  • 実行時期:2022年6月30日
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:事業シナジーの発揮

アサンテによるハートフルホームのM&A

総合ハウスメンテナンスサービスを提供しているアサンテは、外壁リフォームを主軸とした建築リフォーム業を行うハートフルホームを子会社化しました。

  • 実行時期:2020年7月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:新規エリアである北海道に拠点を構え、サービス分野の拡充と営業エリアの拡大

エス・サイエンスによるなごみ設計のM&A

ニッケル事業、不動産事業、教育事業を展開しているエス・サイエンスは、建設工事業、内装工事業等数多くの建設業関連を行うなごみ設計を子会社化しました。

  • 実行時期:2020年3月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:売上高の拡大と収益向上並びに財務体質の強化

安江工務店によるマノモクハウジングのM&A

住宅リフォーム・新築住宅・不動産流通の3事業を展開する安江工務店は、マノモクハウジングが展開する一般顧客向けの住宅リフォーム事業・不動産流通事業を譲り受けました。

  • 実行時期:2020年3月
  • スキーム:事業譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:両社のノウハウのシナジー効果創出と、営業エリアの深耕とドミナント強化による売上増加

じげんによるアイアンドシー・クルーズのM&A

ライフメディアプラットフォーム事業を行っているじげんは、る「リショップナビ」を始め、リフォーム、エネルギーメディア事業を手掛けるアイアンドシー・クルーズを子会社化しました。

  • 実行時期: 2020年2月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:不動産領域における事業成長の加速

ユアサ商事による高千穂のM&A

グローバルに展開する工業と建設の複合型専門商社ユアサ商事は、神奈川県下を中心にリフォーム工事を請け負いを行う高千穂を子会社化しました。

  • 実行時期:2020年3月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:戸建住宅とマンションのリフォーム・リノベーションビジネスの更なる拡大

サンヨーハウジング名古屋によるプラスワンのM&A

戸建住宅ブランド「AVANTIA」と戸建住宅事業を主力とするサンヨーハウジング名古屋は、40年以上にわたりリフォーム工事や不動産仲介等を展開しているプラスワンを子会社化しました。

  • 実行時期:2019年10月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:経営資源を取り入れたシナジーを創出によるリフォーム事業や不動産仲介事業等の強化と、三重県中勢・北勢地域の営業基盤の拡大

ケイアイスター不動産によるハウスラインのM&A

幅広く不動産事業を展開するケイアイスター不動産は、不動産仲介事業、リフォーム事業を行っているハウスラインを子会社化しました。

  • 実行時期:2019年8月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:埼玉県朝霞市エリアでの仕入れ及び販売の強化と、リフォーム事業の拡充とグループの事業拡大の加速

ココカラファインによるキコーメディカルのM&A

ドラッグストアチェーンの運営等を行うココカラファインは、福祉用具・介護用具事業及び介護住宅リフォーム事業を行っているキコーメディカルを子会社化しました。

  • 実行時期:2021年4月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:ドラッグストア・調剤事業・介護事業のより一層の連携を図り、経営理念の実現を目指す

ハウスコムによるエスケイビル建材のM&A

不動産の賃貸仲介を中心とした事業を展開しているハウスコムは、リニューアル工事やマンションリフォームなど幅広い分野の工事業務を行っているエスケイビル建材を子会社化しました。

  • 実行時期: 2019年7月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:事業の発展・拡大

じげんによるクラッソーネのM&A

ライフサービスプラットフォーム事業を展開している株式会社じげんは、住関連工事・住関連製品の斡旋を行っているクラッソーネのエクステリア事業を譲り受けしました。

  • 実行時期:2022年2月
  • スキーム:事業譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:既存事業の事業展開のさらなる加速、およびリフォーム領域におけるカテゴリ拡張

トヨタウッドユーホームによるホームしなののM&A

不動産事業を行うトヨタウッドユーホームは、幅広く般建築物事業とエクステリアのリフォームなどを行うホームしなのを子会社化しました。

  • 実行時期:2020年7月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:トヨタホーム住宅の拡販

市進ホールディングスによるゆいのM&A

学習塾事業などを手掛ける市進ホールディングスは、主に居宅介護支援事業、住宅の増改築およびリフォーム工事などを展開しているゆいを子会社化しました。

  • 実行時期:2020年7月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:約6億4,700万円
  • 目的:グループにおける教育と福祉により地域と共に持続的な成長による企業価値向上

TOKAIによるマルコオ・ポーロ化工のM&A

エネルギー事業を軸に、リフォーム事業、アクア事業などを展開するTOKAIは、大規模修繕工事やその他改修工事住宅リフォームを行うマルコオ・ポーロ化工を子会社化しました。

  • 実行時期:2021年4月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:ノウハウの吸収による中京エリアにおける設備工事業の対応分野の拡大と、リニューアル工事のさらなる成長

クワザワによるフリー・ステアーズのM&A

建設資材・工事関連事業を主体に事業を展開するクワザワは、マンションの防水工事及び塗装工事を主体とした大規模修繕工事を運営しているフリー・ステアーズを子会社化しました。

  • 実行時期:2020年4月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:マンション工事における相乗効果創出による事業基盤の充実

セラミックワンによる本田組のM&A

工事事業(タイル・煉瓦、ブロック)を行っているセラミックワンは、外部修繕工事業を行っている本田組を子会社化しました。

  • 実行時期:2021年2月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:各連結子会社とのシナジー効果の創出

三和建設による森塗装工業のM&A

総合建設業を展開している三和建設は、塗装工事を主に、特に改修工事に強み森塗装工業を子会社化しました。

  • 実行時期:2022年9月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:技術や品質、プロセスの情報等の事業承継と、改修工事部門の強化

オリックスによるSpecialty Welding and Turnarounds, LLCのM&A

公共インフラサービス関連企業を中心にPE投資事業を推進しているオリックスは、子会社を通して米国にて石油化学プラントの修繕サービスを提供するSpecialty Welding and Turnarounds, LLCを買収しました。

  • 実行時期:2020年2月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:投資先企業を通じた公共インフラ関連サービスの旺盛な需要の取り込み

淺沼組によるEvergreen Engineering & Construction Pte.Ltd.のM&A

建設工事の企画・設計・監理・請負などの事業を展開している淺沼組は、シンガポールにて増改築工事や設備工事などを手掛けるEvergreen Engineering & Construction Pte.Ltd.子会社化しました。

  • 実行時期:第1回目 2022年1月上旬、第2回目 2024年4月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:ASEAN地域におけるリニューアル事業の強化

おわりに

本記事のまとめ

業界の市場動向、M&A動向、買収事例についてご紹介しました。

リフォーム業界は大規模イベントによる商業施設、宿泊施設のリフォームや、リモートワークによって住みやすい家にリフォームしたいという住宅リフォーム需要の増加によって成長が見られる業界です。

一方で、職人の高齢化による人材不足が深刻化している業界でもあり、こうした人材不足を解決するための手段としてM&Aは今後ますます増加していくと見られています。

また、異業種からの新規参入を目的としたM&Aや、大手企業による中小企業のM&Aも注目されています。

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