不動産管理業界のM&A・売却・買収事例、業界動向

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不動産管理業界は近年M&Aが活発な業界の一つです。不動産管理業界は多様化するニーズや激化する競争に対応するため、M&Aが活発に行われています。

本記事では、そうした不動産管理業界の市場動向を解説するとともに、不動産管理業界におけるM&Aのメリット、今後のM&A動向、買収事例をまとめてご紹介します。

目次

不動産管理業界の概要・市場動向

不動産管理業界とは

不動産管理業界とは、ビルやマンションといった不動産の維持管理を請け負い、具体的には清掃や修繕といった日常的な管理業務やメンテナンス業務を行う業界のことを指します。賃貸管理やマンション管理、ビル管理などの会社が不動産管理会社に該当します。

近年不動産の投資や購入に対する需要が高まっており、それに伴って不動産管理の需要も高まっています。

さらに不動産管理会社に求められるサービスの質も高まっており、管理業務に加えてオーナーへの経営上のアドバイスや提案を行う企業も現れています。

こうした不動産に関するトータルサポートが、不動産管理会社には求められています。

不動産管理業界の市場動向

安定的な市場成長

不動産管理業界は経済の影響を受けやすい不動産業界と異なり、毎月決まった額の収入が見込めるストックビジネスで、堅調に成長しています。

特に、賃貸管理分野は家賃収入が目的のため、業界の中でも安定していると言われています。

収益が安定しているため、不動産販売や仲介などのフロービジネスを営む企業が、ストック収入を得るために不動産管理業を手掛ける場合もあります。

また、不動産賃貸は主に首都圏で家賃が上昇傾向にあるため、資産価値が増している物件も数多く存在します。

ニーズの多様化

不動産管理は需要の高まりと共に求められるサービスが多様化しています。

従来の維持管理や入退去管理に関する業務に加えて、不動産投資のオーナーに対するアドバイスを求められるケースが増えています。

近年不動産投資の需要が高まり、経営面でのアドバイス・提案をしてほしいというオーナーが増え、このような業務を担う不動産管理会社が増えています。多様化するニーズに応えるために、各社さまざまな戦略を打ち出し競争が激化しています。

他業種からの参入が増加

不動産管理業は多くのオーナーとの付き合いが発生するため、オーナー向けのビジネスを展開する企業が顧客獲得のため参入してくるケースがあります。

具体的にはオーナーの所有する不動産のリフォームや外壁塗装、土地の管理や売買を請け負うことで収益を上げるような場合です。

このように不動産管理業を通してオーナーと関係を深め、仲介や買取、再販など他のビジネスとつなげることで収益を得られるため、他業種からの参入が多い業界となっています。

不動産管理業界のM&A動向

不動産管理業界は昨今幅広いニーズに対応することが求められています。こうしたニーズに自社だけでは対応しきれないと考えた企業がM&Aを検討するケースが増えています。

特に、中小企業では全てのニーズに対応することが難しいため、同業他社とのM&Aによって両社のノウハウや強みを活かし、トータルサポート体制を構築するケースがあります。

また関連会社とのM&Aにより、事業の拡大や顧客基盤の拡充を目指す不動産管理会社も多くあります。関連会社とのM&Aによって、新しいサービスの提供が実現し、多様化するニーズへの対応も可能になります。

新規参入を目論む場合には自社で新規事業を立ち上げるよりもスピーディかつ低コストで、ノウハウやシステムを得ることができます。

不動産管理業界におけるM&Aのメリット

売り手のメリット

不動産管理業界のM&A活用において、売り手側のメリットは以下が挙げられます。

  • 大手企業ならではのノウハウやシステムを享受できる
  • 大手企業の傘下に入ることで安定した経営を実現できる
  • 後継者が不在の場合、廃業せず事業を継続し社員の雇用を守ることができる
  • 後継者問題を解決し、株式譲渡による譲渡収入とともに経営から退くことができる
  • M&Aを契機に代表者による借入金の個人保証や担保を解消できる

買い手のメリット

不動産管理業界のM&A活用において、買い手側のメリットは以下が挙げられます。

  • 売り手の抱える人材を獲得することで人手不足を解消できる
  • 売り手の得意とする地域へ事業エリアを拡大できる
  • 売り手の得意な事業領域を活かしたサービスを立ち上げることができる
  • 売り手のノウハウを獲得することで新規参入がしやすくなる

不動産管理業界のM&A・売却・買収事例

オリックスによる大京のM&A

リース事業や不動産事業を手掛けるオリックスは、マンション開発を手掛ける大京を子会社化しました。

  • 実行時期:2018年10月
  • スキーム:株式公開買付
  • 取引価額:770億円
  • 目的:綿密な情報共有による連携

大京による穴吹工務店のM&A

大京は不動産開発や不動産販売を手掛ける穴吹工務店を子会社化しました。

  • 実行時期:2013年3月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:307億円
  • 目的:事業エリアの拡大と顧客基盤の拡充

ヤマイチ・ユニハイムエステートによるニューライフサービスのM&A

不動産の開発から販売・賃貸までを手掛けるヤマイチ・ユニハイムエステートは、不動産管理を手掛けるニューライフサービスを子会社化しました。

  • 実行時期:2022年10月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:サービス提供領域拡大による企業価値の向上

綿半ホールディングスによるAICのM&A

不動産売買を手掛ける綿半ホールディングスは、不動産管理などを手掛けるAICを子会社化しました。

  • 実行時期:2022年4月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:情報の集約、不動産管理部門の強化

中央日土地レジデンシャルサービスによる神鋼不動産ジークレフサービスのM&A

中央日本土地建物グループの子会社による合弁会社の中央日本土地レジデンシャルサービスは、神戸・阪神を拠点としてマンション管理を手掛ける神鋼不動産ジークレフサービスのマンション管理事業を吸収分割により継承しました。

  • 実行時期:2021年7月
  • スキーム:吸収分割
  • 取引価額:非公開
  • 目的:マンション管理事業のサービス向上

ジェイ・エス・ビーによる東京学生ライフ、湘南学生ライフ、ケイエルディのM&A

学生向けの不動産事業を手掛けるジェイ・エス・ビーは、マンション管理を手掛ける3社を子会社化しました。

  • 実行時期:2019年7月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:ノウハウ獲得による事業強化

アジアゲートホールディングスによる東日本不動産のM&A

不動産コンサルティングと不動産投資を手掛けるアジアゲートホールディングスは、東北地方を中心に不動産業を手掛ける東日本不動産を子会社化しました。

  • 実行時期:2018年10月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:事業規模の拡大

おわりに

本記事のまとめ

不動産管理業界の市場動向、M&A動向、買収事例についてご紹介しました。

不動産管理業はストックビジネスであり安定した収益を得られることから周辺事業からの参入も多い業界です。また不動産のオーナーと信頼関係を築くことで、新たなビジネスに繋がるチャンスもあります。

一方、求められるサービスの幅が広くなったことにより、自社だけでは対応できないと考えM&Aを検討する企業が増えています。また競争の激しい業界であるため、M&Aにより生き残りを図る企業もケースもあります。

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