ドラッグストアのM&A・売却・買収事例、業界動向

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ドラッグストア業界は近年M&Aが活発な業界の一つです。ドラッグストア業界は市場成長の鈍化から、業界再編が進んでいる業界の一つです。

本記事では、そうしたドラッグストア業界の市場動向を解説するとともに、ドラッグストア業界におけるM&Aのメリット、今後のM&A動向、買収事例をまとめてご紹介します。

目次

ドラッグストア業界の概要・市場動向

ドラッグストアとは

総務省はドラッグストアを「主として医薬品、化粧品を中心とした健康、及び美容に関する各種の商品を中心として、家庭用品、加工食品などの最寄り品をセルフサービス方式によって小売する事業所」と定めています。

コンビニやスーパーとの主な違いは、薬事法に基づき医薬品を取り扱っている点です。薬剤師を常駐させ院外処方箋の調剤を引き受ける店舗もあります。

ドラッグストアは1980年前後にアメリカから輸入されたと考えられ、2000年前後に医薬品や美容品のみならず、日用品や文房具などの雑貨も取り扱うドラッグストアが誕生したと言われています。この頃から店舗も大型化していき、多くのドラッグストアが開業されるようになりました。

ドラッグストア業界の市場動向

薬剤師人材の不足

多くの業界が人手不足に悩まされていますが、ドラッグストア業界では薬剤師が不足しています。厚生労働省の調査によると2020年の薬剤師の有効求人倍率は4.76倍と非常に高い水準にあります。

理由は医薬分業により薬局やドラッグストアの数が大幅に増え、必要な薬剤師が増えたことや、高齢化社会により処方箋を必要とする人が増えたことが挙げられます。

また、ドラッグストアで薬剤師として働いた際に数年で収入が頭打ちになるケースが多く、製薬会社への就職を希望する人が多いことも理由に挙げられます。

セルフメディケーション税制による市場変化

セルフメディケーション税制とは2017年から施行された新しい税制です。

これまでは年間で払った医療費が10万円を超えた場合、超えた額が所得から控除されて税金が還付・減額される医療控除がありました。しかし医療控除はハードルが高く、控除を受けられる人が限定されていました。

一方、セルフメディケーション税制は対象となる医薬品を年間で12,000円以上購入し、健康診断などを受けることで控除を受けられる仕組みになっています。

医療控除よりもハードルが低いことから、このセルフメディケーション税制によってドラッグストアを利用する人の増加が期待されています。

コロナ禍による収益構造変化

一般的なドラッグストアでは、調剤医薬品やOTC医薬品の売上は全体の20%ほどで、ヘルスケア用品や健康食品などの日用品が全体の半数以上を占めています。

ドラッグストアにおいて日用品は目玉商品の役割を担い、医薬品や美容品など利益率の高い商品を購入させる狙いがあります。

こうした従来の収益構造から、コロナ禍によりマスクや消毒液などの感染対策用品が売上を伸ばす一方、外出自粛やマスクの影響によりメイク用品の売上が落ちるといった変化が起きています。

多様な商品を扱うドラッグストアでは、こうした収益構造変化にも対応し、商品全体で収益のバランスを取ることが重要になっています。

ドラッグストアのM&A動向

ドラッグストア業界は2000年前後から大幅に店舗数を増やし、市場を拡大させてきました。

しかし薬事法の改正などにより、近年は市場の伸びは鈍化傾向にあります。そのため業績の厳しい中小事業者はM&Aを検討するケースが増えています。

またドミナント戦略を進める大手企業が多く、営業エリア内の店舗数を増やすためにM&Aを実施するケースも増えています。

こうした業界再編が近年は加速しており、生き残りをかけて大手企業同士の業務提携も多く見られます。

ドラッグストア業界におけるM&Aのメリット

売り手のメリット

ドラッグストア業界のM&A活用において、売り手側のメリットは以下が挙げられます。

  • ブランド力や資本力のある企業の傘下で安定的に経営できる
  • スムーズな事業承継を実現し患者や連携している医師に迷惑がかからない
  • 後継者が不在の場合、廃業せず事業を継続し社員の雇用を守ることができる
  • 後継者問題を解決し、株式譲渡による譲渡収入とともに経営から退くことができる
  • M&Aを契機に代表者による借入金の個人保証や担保を解消できる

買い手のメリット

ドラッグストア業界のM&A活用において、買い手側のメリットは以下が挙げられます。

  • 売り手のネットワークを獲得することで連携医師や薬剤師を探す手間が省ける
  • 売り手の事業を引き継ぐことで薬局開設の認可取得が不要になる
  • 売り手の抱える顧客基盤ををそのまま引き継いで事業を営むことができる
  • 売り手の抱える専門的なノウハウを獲得できる
  • 売り手の抱える専門人材を獲得することができる

ドラッグストアのM&A・売却・買収事例

ウエルシアホールディングスによるふく薬品のM&A

ドラッグストア業界大手のウエルシアホールディングスは、沖縄県でドラッグストア事業を展開するふく薬品を子会社化しました。

  • 実行時期:2022年12月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:事業エリアの拡大

ココカラファインによる小石川薬局のM&A

ドラッグストア業界大手のココカラファインは、新宿に店舗を持つ小石川薬局を子会社化しました。

  • 実行時期:2019年2月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:事業エリアの拡大

ウエルシアホールディングスとコクミン、フレンチとの資本業務提携

ドラッグストア業界大手のウエルシアホールディングスは、大阪で薬店・薬局を運営するコクミン、大阪で薬局を運営するフレンチと資本業務提携を結びました。

  • 実行時期:2022年1月
  • スキーム:資本業務提携
  • 取引価額:非公開
  • 目的:経営資源の共有

クスリのアオキによるホーマス・キリンヤ、フードパワーセンター・バリューのM&A

ドラッグストア業界大手のクスリのアオキは、岩手県でスーパーを運営するホーマス・キリンヤと岩手県でディスカウントストアを運営するフードパワーセンター・バリューを吸収合併しました。

  • 実行時期:2022年1月
  • スキーム:吸収合併
  • 取引価額:非公開
  • 目的:東北地方でのドミナント戦略の強化

ナルックスによるスーパーマルモのM&A

クスリのアオキホールディングスの子会社であるナルックスは、茨城県でスーパー事業を展開するスーパーマルモを吸収分割しました。

  • 実行時期:2021年6月
  • スキーム:吸収分割
  • 取引価額:非公開
  • 目的:茨城県のドミナント戦略

ツルハホールディングスによるおおがたむら調剤薬局のM&A

ドラッグストア業界大手のツルハホールディングスは、秋田県大潟村の薬局のおおがたむら調剤薬局を子会社化しました。

  • 実行時期:2019年7月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:事業エリアの拡大

ココカラファインとマツモトキヨシの経営統合

ドラッグストア業界大手のココカラファインは、同じくドラッグストア業界大手のマツモトキヨシと経営統合を締結しました。

  • 実行時期:2021年2月
  • スキーム:株式交換
  • 取引価額:非公開
  • 目的:両社の経営基盤の活用

おわりに

本記事のまとめ

ドラッグストア業界の市場動向、M&A動向、買収事例についてご紹介しました。

市場拡大を続けてきたドラッグストア業界は、近年市場成長が鈍化しており、業界再編が活発化しており、厳しい経営状況から大手企業の傘下に入りたい中小企業と、ドミナント戦略を進めたい大手企業のM&Aが進んでいます。

また、市場縮小を危惧し、生き残りのため大手企業同士の業務提携も活発に行われており、こうした動きは今後ますます進んでいくと見られます。

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