鳥取県のM&A・会社売却・買収事例、事業承継の動向

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現在、鳥取県をはじめとした全国の中小企業において、後継者不在や事業の更なる成長を目的としたM&Aが注目を集めています。

本記事では、そうした鳥取県のM&A動向を解説するとともに、鳥取県における会社売却・買収事例や、事業承継の動向をまとめてご紹介します。

目次

鳥取県のM&A・事業承継動向

鳥取県の現状

県内の産業

鳥取県では地域社会の活力が低下することが懸念されています。(鳥取県 未来づくり推進局 企画課「(1)鳥取県の置かれている厳しい現状の認識」)

とりわけ人口の減少が顕著で平成9年以降は一貫して減少しています。(鳥取県 令和新時代創造本部 統計課「鳥取県の人口の推移」)平成8年後頃までは社会増減数の減少分を自然増減数の増加分により補っていましたが、少子高齢化の進展で自然減少が加速してからは人口増減がマイナスに転じました。

大都市圏との経済格差に加えて県内格差も拡大しています。

要因のひとつとして県内事業者のうち小規模事業者が多いために、下請構造から脱し切れていないことが挙げられます。従業者規模別の事業者数をみると、20人以上の従業員を抱える事業所の割合は全国平均を下回っていることが分かります。(鳥取県 令和新時代創造本部 統計課「令和3年経済センサスー活動調査速報集計(鳥取県の概要)」)

また、高速道路ネットワークなどインフラ整備も遅れており、かつ地方自治体の財政力も十分でないために、産業基盤が強い地域との格差が拡大しています。

一方、鳥取県は自動車・航空機・医療機器産業の成長3分野の集積を目指しています。

東部・中部地域を中心に電子部品・デバイス製造、情報通信機械器具、電気機械器具が集積しており、2019年の製造品出荷額は8055億円に上ります。

鳥取県では全国トップクラスの県単独優遇措置が提供されており、今後は新産業の創造が期待されます。(日本貿易振興機構「地域進出支援ナビ 鳥取県」)

後継者不在が顕著

鳥取県では後継者の不在が深刻化しています。

帝国データバンク「全国企業「後継者不在率」動向調査(2022)」によると、2022年における鳥取県の後継者不在率(後継者が「いない」、または「未定」とした企業の割合)は71.5%で、75.1%の島根県に次いで2番目に高い結果でした。

2021年の鳥取県は74.9%で全国で最も高い数値であり2022年には若干の改善が見られましたが、前年から不在率が改善した都道府県は41もあるため、鳥取県特有の要因で低下したとは言えない状況です。

2022年における全国平均は57.2%であったため、山陰地方においては後継者不在が深刻化している様子が分かります。

鳥取県を含む中国地方では前述の人口減少に伴って人手不足も再加速しています。

帝国データバンク「中国地方 人手不足に対する企業の意識調査(2022年1月)」によると、2022年1月時点で正社員が不足していると回答した企業は49.5%となり、2020年7月に記録した29.7%から20%近く上昇しています。

コロナにより経済活動が停滞したために一時的に労働需給が緩和しましたが、今後はコロナ禍での制約が緩和されるために人手不足が再加速することが予想されます。

直近の経済動向

県内経済は、令和4年12月時点で持ち直しの傾向に減速が見られました。

鳥取県 令和新時代創造本部 統計課「『鳥取県の経済動向』令和5年2月号」によると、県内の景気動向一致指数(景気の動きを把握するために様々な指標を統合して算出する指数)は2か月ぶりに前月比でマイナスになったほか、先行指数も3か月連続で前月比マイナスとなりました。

個人消費においても大型小売店販売額やスーパー販売額は前年比ではプラス圏を維持しているものの上昇率は鈍化しています。

設備投資では令和4年5月以降8か月連続で前年の設備投資額を下回るなど、コロナ禍以降の経済活動の拡大が一巡して世界的な景気後退を懸念する局面に入っています。

鳥取県のM&A・会社売却・事業承継動向

鳥取県では、後継者の不在が全国的でも顕著であり、休廃業・解散数が増加する恐れがあります。

2021年の休廃業・解散件数は213件で2016年以降の5年間で最少の件数でしたが、政府や金融機関による効果的な資金供給の結果、件数が抑制された点が指摘されています。(帝国データバンク「鳥取県 企業の休廃業・解散動向調査(2021年)」)

休廃業・解散が抑制されている中でも社長の平均年齢は60.8歳で過去最高を記録しており(帝国データバンク「鳥取県 社長年齢分析(2021年)」)、先行きの不透明感が継続した場合、休廃業・解散件数が急増することが懸念されます。

鳥取県でM&A・事業承継を推進するには

M&A仲介会社などの専門家へ相談する

鳥取県でM&Aや会社売却を推進する手段として、M&A仲介会社などの専門家に相談する方法があります。

M&A仲介会社とは、M&Aの専門家であるM&Aアドバイザーが売り手企業と買い手企業の間に立って、中立的な立場でM&Aの成立を支援する会社です。

M&Aにおいては法務的な手続きや税務処理、相手企業の選定まで、幅広い領域の専門性が必要不可欠であるため、こうした専門のアドバイザーに相談することは有効な手段の一つと言えます。

M&A仲介会社は得意領域や事業規模によって多数の会社が存在しているため、自社に合った会社を見つけることが重要です。

公的機関や金融機関へ相談する

鳥取県事業承継・引継ぎ支援センター

鳥取県事業承継・引継ぎ支援センターとは、産業競争力強化法に基づいて、鳥取県産業振興機構が経済産業省中国経済産業局より委託を受けて運営する公的な相談窓口です。

弁護士、公認会計士、税理士、司法書士、中小企業診断士、不動産鑑定士、社会保険労務士などの外部の専門家とのネットワークを提供するほか、事業者の課題解決を支援する後継者人材バンクも運営しています。

鳥取県よろず支援拠点

鳥取県よろず支援拠点とは、中小企業、小規模事業者、NPO法人、一般社団法人、社会福祉法人などの中小企業・小規模事業者、創業予定の方のための無料経営相談所です。

2023年2月時点では、12名のコーディネーターが在籍しています。

本部のほかに東部・中部・西部サテライトオフィスが設置されています。

鳥取県商工会連合会

鳥取県商工会連合会とは、国や都道府県の小規模企業施策(経営改善普及事業)の実施機関で、地域の事業者が業種に関わりなく会員となり互いの事業の発展や地域の発展のために総合的な活動を行う経済団体です。

経営支援、資金調達の支援、地域資源・販路開拓事業などあらゆる分野にて支援を行っています。

県内には、18の商工会と、4の商工会議所が設置されています。

鳥取県信用保証協会

鳥取県信用保証協会とは、信用保証協会法に基づいて設置された認可法人です。

「中小企業等のために信用保証の業務を行い、もってこれらの者に対する金融の円滑化を図る」ことを目的としています。

住居または事業所のいずれかが鳥取県内にあり事業を営んでいる個人事業主か、住居または事業所のいずれかが鳥取県内にあり事業を営んでいる法人が利用できます。

そのほか、規模や業種による利用条件が設けられています。

鳥取県のM&A・売却・買収事例

ツルハホールディングスによる調剤薬局事業のM&A

ツルハホールディングス(北海道札幌市)は、連結小会社で中国・九州地方でドラッグストアを運営するツルハグループドラッグ&ファーマシー西日本を通じて、調剤薬局を運営するたかきファーマシー(鳥取県米子市)から調剤薬局1店舗を譲り受けました。

  • 実行時期:2021年2月
  • スキーム:事業譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:営業基盤の強化

マーケットエンタープライズによる中古農機具の買取・販売・海外輸出事業のM&A

ネット型リユース事業、メディア事業、モバイル通信事業を手掛けるマーケットエンタープライズ(東京都中央区)は、新たに設立した子会社MEトレーディングを通じて、古農機具の買取、海外輸出、国内小売卸売、農機具レンタル、加盟店事業などを手掛ける旺方トレーディング(鳥取県鳥取市)から中古農機具の買取・販売・海外輸出などの事業を譲り受けました。

  • 実行時期:2020年5月
  • スキーム:事業譲渡
  • 取引価額:2億4,400万円
  • 目的:事業競争力の強化

ジョイアーバンによる米子高島屋のM&A

岡山TSUTAYA事業、米子市中心市街地活性化事業などを手掛けるジョイアーバン(鳥取県米子市)は、百貨店事業とともにグループ各店の統治を手掛ける高島屋(大阪府大阪市)の子会社である米子高島屋の全株式を取得しました。

  • 実行時期:2020年3月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:経営体制の強化

メインマークによるク沈下修正工事事業のM&A

建物の傾き修正・段差解消工事や空洞充填工事などを手掛けるメインマーク(東京都江戸川区)は、ボクシングジム・学習塾・健康体操教室の運営や高齢者向けデイサービス事業を手掛けるクリエイティブサポート(鳥取県米子市)から沈下修正工事事業を譲受しました。

  • 実行時期:2019年5月
  • スキーム:事業譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:施工体制の強化

プローバホールディングスによるGROW UPのM&A

パチンコ店・ゲームセンター・ボウリング場・スポーツジムなどを経営するグループの持株会社であるプローバホールディングス(広島県東広島市)は、パン・洋菓子の製造・販売および飲食店運営を手掛けるGROW UP(鳥取県米子市)を子会社化しました。

  • 実行時期:2018年3月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:新事業分野への進出

エフピコによる上田包装のM&A

食品容器の製造・販売を手掛けるエフピコ(広島県福山市)は、食品用包装資材の販売をを手掛ける上田包装(鳥取県米子市)の全株式を取得しました。

  • 実行時期:2016年6月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:既存事業の拡大

イナバ自動車学校による東部自動車学校のM&A

自動車学校を経営するイナバ自動車学校(鳥取県鳥取市)は、同業の東部自動車学校(鳥取県鳥取市)を吸収合併し、法人名を「学校法人東雲学園」に変更しました。

  • 実行時期:2018年7月
  • スキーム:吸収合併
  • 取引価額:非公開
  • 目的:経営体質の強化

おわりに

本記事のまとめ

鳥取県におけるM&A・事業承継の動向や、会社売却・買収事例をご紹介しました。

鳥取県でM&Aを行う際は、鳥取県で実績のあるM&A仲介会社などの専門家や、全国を対象にM&Aを取り扱う仲介会社を活用することがおすすめです。

各M&A仲介会社は、業種や地域、取引規模、手数料体系などで強みが分かれ、提供しているサービスも異なるため、地域への強みに加え、こうしたポイントも事前に確認しておくとよいでしょう。

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