業務用・産業用機械製造業界のM&A・売却・買収事例、業界動向

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業務用・産業用機械製造業界は近年M&Aが活発な業界の一つです。業務用・産業用機械製造業界は成長市場にあり、成長戦略の推進や事業承継など様々な理由でM&Aが活発に行われています。

本記事では、そうした業務用・産業用機械製造業界の市場動向を解説するとともに、業務用・産業用機械製造業界におけるM&Aのメリット、今後のM&A動向、買収事例をまとめてご紹介します。

目次

業務用・産業用機械製造業界の概要・市場動向

業務用・産業用機械製造業界とは

業務用・産業用機械は日本産業機械工業会によると、「産業機械は、様々な産業や社会の現場において、人の作業を補助、代行し、人にとって苦痛、困難、不可能な作業や環境を克服するもの」と定義されています。すなわち産業機械は、あらゆる業界や作業現場で活用され、私たちの日々の暮らしを支えていると言えます。

産業機械は、①金属・木材・樹脂などを目的の形に加工する工作機械、②製品を製造するために活用される製造機器、③不良品が無いか調べて流出を防ぐ検査機器、④材料を現場に持っていったり、仕掛品の工程内輸送を行う運搬機械に分類されます。

業務用・産業用機械製造業界の市場動向

コロナ禍後の市場は拡大傾向

産業用機械製造の市場規模は年々拡大しています。新型コロナウイルスの影響で2020年は一時的に減少したものの、2021年は再び上昇に転じています。

市場拡大の要因として少子高齢化による工場での人員削減や、若手人材の定着率低下、人件費高騰などによる省力化・省人化の需要が高まっていることが考えられており、この傾向は今後も続くと見られています。

デジタル化やIoT化が進む

近年、業務用・産業用機械製造業界ではデジタル活用により業務プロセスの改革、品質・生産性の向上を継続発展的に行う「スマートファクトリー」を実現する機械が開発・製造されています。

機器の稼働状況やヒト・モノの動きをデータとして蓄積・分析し、危機の異常検知・保全、人員配置や物流を行うことができるため、スマートファクトリー化によってコストの削減、人員の削減、作業の効率化を図れます。

今後、このような新しい技術やソフトウェアによる付加価値を付けた機械を開発・販売する企業はますます増えていくとみられます。

サブスクリプション制度の導入

近年業務用・産業用機械製造業界でもサブスクリプション型のビジネスモデルを導入する企業が増加しています。

工業機械の導入に伴う設備投資は、これまで値段やコロナ禍による先行きの不透明さからハードルが高いと考えられていましたが、サブスクリプションによってそれらの課題を解決することが狙いです。

大手企業では建設機器を手掛けるコマツの「スマートコンストラクション」が有名です。建設生産プロセス全体のデータをつなぐことで、より生産性の高い現場を作るソリューションです。サブスクリプションは徐々に広まっており、今後の普及が注目されています。

業務用・産業用機械製造業界のM&A動向

業務用・産業用機械製造業界は、大企業・中小企業問わずM&Aが活発に行われている業界です。

国内の市場は縮小しているため、海外市場を見据えたクロスボーダーM&Aも多く見られます。特に東南アジアを中心としたインフラ需要の増加を背景に、M&Aを足掛かりに海外進出を目論む事業者が増えています。

また、国内では事業を安定させるための他業種とのM&Aや、AI・IoT関連企業とのM&Aにより業務用機械に新しい価値を付けようとする動きも見られます。

後継者不在の事業承継問題を抱える中堅・中小企業も多い業界であり、事業承継を目的としたM&Aも近年は増加してきています。

業務用・産業用機械製造業界におけるM&Aのメリット

売り手のメリット

業務用・産業用機械製造業界のM&A活用において、売り手側のメリットは以下が挙げられます。

  • 資本力のある企業のもとで海外進出を推進することができる
  • 後継者が不在の場合、廃業せず事業を継続し社員の雇用を守ることができる
  • 後継者問題を解決し、株式譲渡による譲渡収入とともに経営から退くことができる
  • M&Aを契機に代表者による借入金の個人保証や担保を解消できる

買い手のメリット

業務用・産業用機械製造業界のM&A活用において、買い手側のメリットは以下が挙げられます。

  • 売り手の持つノウハウを生かして業務の効率化を図れる
  • M&Aを契機に自社の関連・周辺事業に参入することができる
  • 売り手の抱える顧客や技術を獲得することができる
  • 売り手との事業統合により事業エリアを拡大することができる

業務用・産業用機械製造業界のM&A・売却・買収事例

ニッコンホールディングスによる安川トランスポートのM&A

物流サービスを手掛けるニッコンホールディングスは、安川ロジスティクスから子会社である安川トランスポートを譲り受けました。

  • 実行時期:2022年2月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:資本の効率化

オーイズミによるバブルスターのM&A

遊技機の製造・販売を手掛けるオーイズミは、健康食品の製造・ECを手掛けるバブルスターを子会社化しました。

  • 実行時期:2022年4月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:事業の多角化

オムロンとJMDCの業務提携

制御機器・ヘルスケア事業などを手掛けるオムロンと、医療統計データサービスを手掛けるJMDCは資本業務提携を結締結しました。

  • 実行時期:2022年2月
  • スキーム:資本業務提携
  • 取引価額:非公開
  • 目的:データプラットフォームの強化、海外進出事業の加速

ミマキエンジニアリングによるマイクロテックのM&A

コンピューター周辺機器とソフトウェアの開発・販売を手掛けるミマキエンジニアリングは、ソフトウェア・アプリケーション開発を手掛けるマイクロテックを子会社化しました。

  • 実行時期:2022年3月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:両社事業シナジーの創出

ブイ・テクノロジーによるアイテックのM&A

フラットパネルディスプレイや半導体の製造に用いられる機器の製造を手掛けるブイ・テクノロジーは、オープンシステムソリューション・カスタマーシステムソリューションなどを手掛けるアイテックを子会社化しました。

  • 実行時期:2022年1月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:グループ事業の拡大

SCREENアドバンストシステムソリューションズとLaboro.AIの業務提携

SCREENホールディングスの子会社であるSCREENアドバンストソリューションズは、AIを用いたソリューションの提供を行うLaboro.AIと資本業務提携を締結しました。

  • 実行時期:2021年7月
  • スキーム:資本業務提携
  • 取引価額:非公開
  • 目的:製品・外販ソリューションのAIにおける強化

ブラザー工業によるニッセイのM&A

プリンティング・アンド・ソリューションズ事業、パーソナル・アンド・ホーム事業などを展開するブラザー工業は、減速機や歯車の製造・販売を手掛けるニッセイを子会社化しました。

  • 実行時期:2021年12月
  • スキーム:株式公開買付(TOB)
  • 取引価額:非公開
  • 目的:両社事業シナジーの創出

おわりに

本記事のまとめ

業務用・産業用機械製造業界の市場動向、M&A動向、買収事例についてご紹介しました。

業務用・産業用機械製造業界は市場が拡大傾向にあり、サブスクリプション型などの新しいビジネスモデルも導入され始めました。もともと中小・大手企業ともにM&Aが活発な業界ですが、近年はM&Aを行う目的や企業の多様化が見られます。

例えば、国内市場の縮小から海外への進出を見越し、海外企業とのクロスボーダーM&Aがその一例です。また、AI・IoT技術の発展により、さらにデジタル化した業務用機械の開発・製造のため、AI・IoT企業とのM&Aも増えています。

後継者不在の事業承継を背景としたM&Aも近年は増加してきているほか、新しい機能や市場開拓のため、今後ますます多くのM&Aが実施されるとみられています。

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