業務用・産業用機械製造業界の業界動向、M&A・売却・買収事例30選!

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業務用・産業用機械製造業界は近年M&Aが活発な業界の一つです。業務用・産業用機械製造業界は成長市場にあり、成長戦略の推進や事業承継など様々な理由でM&Aが活発に行われています。

本記事では、そうした業務用・産業用機械製造業界の市場動向を解説するとともに、業務用・産業用機械製造業界におけるM&Aのメリット、今後のM&A動向、買収事例をまとめてご紹介します。

目次

業務用・産業用機械製造業界の概要・市場動向

業務用・産業用機械製造業界とは

業務用・産業用機械は日本産業機械工業会によると、「産業機械は、様々な産業や社会の現場において、人の作業を補助、代行し、人にとって苦痛、困難、不可能な作業や環境を克服するもの」と定義されています。すなわち産業機械は、あらゆる業界や作業現場で活用され、私たちの日々の暮らしを支えていると言えます。

産業機械は、①金属・木材・樹脂などを目的の形に加工する工作機械、②製品を製造するために活用される製造機器、③不良品が無いか調べて流出を防ぐ検査機器、④材料を現場に持っていったり、仕掛品の工程内輸送を行う運搬機械に分類されます。

業務用・産業用機械製造業界の市場動向

コロナ禍後の市場は拡大傾向

産業用機械製造の市場規模は年々拡大しています。新型コロナウイルスの影響で2020年は一時的に減少したものの、2021年は再び上昇に転じています。

市場拡大の要因として少子高齢化による工場での人員削減や、若手人材の定着率低下、人件費高騰などによる省力化・省人化の需要が高まっていることが考えられており、この傾向は今後も続くと見られています。

デジタル化やIoT化が進む

近年、業務用・産業用機械製造業界ではデジタル活用により業務プロセスの改革、品質・生産性の向上を継続発展的に行う「スマートファクトリー」を実現する機械が開発・製造されています。

機器の稼働状況やヒト・モノの動きをデータとして蓄積・分析し、危機の異常検知・保全、人員配置や物流を行うことができるため、スマートファクトリー化によってコストの削減、人員の削減、作業の効率化を図れます。

今後、このような新しい技術やソフトウェアによる付加価値を付けた機械を開発・販売する企業はますます増えていくとみられます。

サブスクリプション制度の導入

近年業務用・産業用機械製造業界でもサブスクリプション型のビジネスモデルを導入する企業が増加しています。

工業機械の導入に伴う設備投資は、これまで値段やコロナ禍による先行きの不透明さからハードルが高いと考えられていましたが、サブスクリプションによってそれらの課題を解決することが狙いです。

大手企業では建設機器を手掛けるコマツの「スマートコンストラクション」が有名です。建設生産プロセス全体のデータをつなぐことで、より生産性の高い現場を作るソリューションです。サブスクリプションは徐々に広まっており、今後の普及が注目されています。

業務用・産業用機械製造業界のM&A動向

業務用・産業用機械製造業界は、大企業・中小企業問わずM&Aが活発に行われている業界です。

国内の市場は縮小しているため、海外市場を見据えたクロスボーダーM&Aも多く見られます。特に東南アジアを中心としたインフラ需要の増加を背景に、M&Aを足掛かりに海外進出を目論む事業者が増えています。

また、国内では事業を安定させるための他業種とのM&Aや、AI・IoT関連企業とのM&Aにより業務用機械に新しい価値を付けようとする動きも見られます。

後継者不在の事業承継問題を抱える中堅・中小企業も多い業界であり、事業承継を目的としたM&Aも近年は増加してきています。

業務用・産業用機械製造業界におけるM&Aのメリット

売り手のメリット

業務用・産業用機械製造業界のM&A活用において、売り手側のメリットは以下が挙げられます。

  • 資本力のある企業のもとで海外進出を推進することができる
  • 後継者が不在の場合、廃業せず事業を継続し社員の雇用を守ることができる
  • 後継者問題を解決し、株式譲渡による譲渡収入とともに経営から退くことができる
  • M&Aを契機に代表者による借入金の個人保証や担保を解消できる

買い手のメリット

業務用・産業用機械製造業界のM&A活用において、買い手側のメリットは以下が挙げられます。

  • 売り手の持つノウハウを生かして業務の効率化を図れる
  • M&Aを契機に自社の関連・周辺事業に参入することができる
  • 売り手の抱える顧客や技術を獲得することができる
  • 売り手との事業統合により事業エリアを拡大することができる

業務用・産業用機械製造業界のM&A・売却・買収事例

ニッコンホールディングスによる安川トランスポートのM&A

物流サービスを手掛けるニッコンホールディングスは、安川ロジスティクスから子会社である安川トランスポートを譲り受けました。

  • 実行時期:2022年2月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:資本の効率化

オーイズミによるバブルスターのM&A

遊技機の製造・販売を手掛けるオーイズミは、健康食品の製造・ECを手掛けるバブルスターを子会社化しました。

  • 実行時期:2022年4月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:事業の多角化

オムロンとJMDCの業務提携

制御機器・ヘルスケア事業などを手掛けるオムロンと、医療統計データサービスを手掛けるJMDCは資本業務提携を結締結しました。

  • 実行時期:2022年2月
  • スキーム:資本業務提携
  • 取引価額:非公開
  • 目的:データプラットフォームの強化、海外進出事業の加速

ミマキエンジニアリングによるマイクロテックのM&A

コンピューター周辺機器とソフトウェアの開発・販売を手掛けるミマキエンジニアリングは、ソフトウェア・アプリケーション開発を手掛けるマイクロテックを子会社化しました。

  • 実行時期:2022年3月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:両社事業シナジーの創出

ブイ・テクノロジーによるアイテックのM&A

フラットパネルディスプレイや半導体の製造に用いられる機器の製造を手掛けるブイ・テクノロジーは、オープンシステムソリューション・カスタマーシステムソリューションなどを手掛けるアイテックを子会社化しました。

  • 実行時期:2022年1月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:グループ事業の拡大

SCREENアドバンストシステムソリューションズとLaboro.AIの業務提携

SCREENホールディングスの子会社であるSCREENアドバンストソリューションズは、AIを用いたソリューションの提供を行うLaboro.AIと資本業務提携を締結しました。

  • 実行時期:2021年7月
  • スキーム:資本業務提携
  • 取引価額:非公開
  • 目的:製品・外販ソリューションのAIにおける強化

ブラザー工業によるニッセイのM&A

プリンティング・アンド・ソリューションズ事業、パーソナル・アンド・ホーム事業などを展開するブラザー工業は、減速機や歯車の製造・販売を手掛けるニッセイを子会社化しました。

  • 実行時期:2021年12月
  • スキーム:株式公開買付(TOB)
  • 取引価額:非公開
  • 目的:両社事業シナジーの創出

芝浦機械による不二精機製造所のM&A

産業機械等の製造販売などを行っている芝浦機械は、工作機械等の製造販売などを行っている不二精機製造所を吸収合併しました。

  • 実行時期:2022年10月
  • スキーム:吸収合併
  • 取引価額:非公開
  • 目的:高収益企業への変革

牧野フライス製作所によるエツキのM&A

工作機械の大手である牧野フライス製作所は、各種自動化専用機・各種産業機械の設計・製作・販売を行っているエツキを子会社化しました。

  • 実行時期: 2023年04月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:企業価値向上

キナンによるススキ産機のM&A

建機レンタル事業などを展開するキナンは、土木産業機械並びに農業機械の販売等を行うススキ産機を子会社化しました。

  • 実行時期: 2022年07月
  • スキーム:吸収合併
  • 取引価額:非公開
  • 目的:シナジー効果の創出

リックステクノによるCEMのM&A

自動車部品洗浄装置等の製造販売を行うリックステクノは、産業用機械の制御盤の製作を手掛けるCEMを子会社化しました。

  • 実行時期:2022年06月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:グループ内での機電一体の実現

泉州電業による北越電研のM&A

ケーブルなどの電線総合商社である泉州電業は、産業機械向け制御装置等の製造・販売を行っている北越電研を子会社化しました。

  • 実行時期:2022年3月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:制御装置などの受注・販売の推進

Abalanceによる明治機械のM&A

建設機械事業等を展開しているAbalanceは、建設機械、グリーンエネルギー等のに事業を展開している明治機械と資本業務提携を行いました。

  • 実行時期:2022年3月
  • スキーム:資本業務提携
  • 取引価額:非公開
  • 目的:シナジー効果

靜甲による共和テックのM&A

車両関係及び不動産等賃貸などの事業を展開する靜甲は、産業用ロボット等の製造販売を行う共和テックを子会社化しました。

  • 実行時期:2020年7月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:電機機器事業の更なる拡大と強化

ナ・デックスによるトガシ技研の設備・機械加工事業のM&A

産業機械や電気・電子部品の製造販売を手掛けるナ・デックスは、産業用機械の製造・販売を行っているトガシ技研より設備・機械加工事業を譲受けました。

  • 実行時期:2023年6月
  • スキーム:事業譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:多面的なソリューションの展開

南陽によるエイ・エス・エイ・ピイのM&A

産業機器および建設機械の販売を行う南陽は、半導体製造装置の製造・販売を行っているエイ・エス・エイ・ピイを子会社化しました。

  • 実行時期:2022年07月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:技術力の融合

ジェイテクトセールスによるコーヨー光和のM&A

電動工具等の販売を行っているジェイテクトセールスは、電子機器切削工具、環境機器等販売を行っているコーヨー光和を吸収合併しました。

  • 実行時期:2023年04月
  • スキーム:吸収合併
  • 取引価額:非公開
  • 目的:提案力強化

オリンパスによるTaewoong Medical Co., Ltd.のM&A

精密機械器具の製造販売を行う大手企業のオリンパスは、韓国の消化器科処置具メーカーのTaewoong Medical Co., Ltd.を子会社化しました。

  • 実行時期: 2023年02月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:患者の診療水準向上

日本フレキ産業によるノリタケカンパニーリミテドの超硬丸鋸切断機事業のM&A

土木業向け産業用機械等の販売を行っている日本フレキ産業は、工業炉などの製造・販売をうノリタケカンパニーリミテドの超硬丸鋸切断機に関する事業を譲り受けました。

  • 実行時期:2023年4月
  • スキーム:事業譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:事業拡大

日本電産によるニデックオーケーケーのM&A

大手総合モーターメーカーの日本電産は、マシニングセンタほか工作機械の製造・販売を行っているニデックオーケーケーを子会社化しました。

  • 実行時期:2023年3月
  • スキーム:株式交換
  • 取引価額:非公開
  • 目的:企業価値向上

鉱研工業によるクリステンセン・マイカイのM&A

ボーリングマシン製造・販売を行う大手メーカーである鉱研工業は、ボーリング事業一筋の製造元会社であるクリステンセン・マイカイを子会社化しました。

  • 実行時期:2022年11月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:シナジー効果を活かした両社の発展

岡谷鋼機によるオフィスエフエイ・コムのロボット・システムインテグレーター事業のM&A

鉄鋼・機械商社の老舗である岡谷鋼機は、ロボット制御システム等の設計開発を行うオフィスエフエイ・コムのロボット・システムインテグレーター事業を譲り受けました。

  • 実行時期:2022年11月
  • スキーム:事業譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:ロボットの設計・開発・販売事業の強化

栃木ニコンによるティーエヌアイ工業のM&A

光学部品などの製造を行っている栃木ニコンは、光学機械治工具の製造を行っているティーエヌアイ工業を吸収合併しました。

  • 実行時期:2023年1月
  • スキーム:吸収合併
  • 取引価額:非公開
  • 目的:柔軟な生産体制の構築

クボタによるBrabender Technologie GmbH &Co. KGのM&A

農業機械などの農業ソリューションを提供するクボタは、重量式フィーダの製造・販売を行っているBrabender Technologie GmbH &Co. KGを子会社化しました。

  • 実行時期:2022年06月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:次世代型重量式フィーダの共同開発

クボタホールディングスヨーロッパB.VによるOfficine BIEFFEBI S.p.aの芝刈機事業のM&A

農業機械などを提供するクボタのクボタホールディングスヨーロッパB.Vは、小型/中型乗用「センター集草式フロントモア」の製造販売を行うOfficine BIEFFEBI S.p.aの芝刈機事業を譲り受けました。

  • 実行時期:2022年07月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:事業拡大

タダノによるTadano Escorts India Pvt. Ltd.のM&A

建設用クレーンなどの製造販売を行うタダノは、建設用クレーンの開発・製造・販売を行うTadano Escorts India Pvt. Ltd.を子会社化しました。

  • 実行時期:2022年09月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:事業継承

Okada America,Inc.によるChicago Machinery Co.M&A

建機アタッチメントの販売事業を行っているOkada America,Inc.は、油圧ショベルの販売などを行うChicago Machinery Co.の事業を譲り受けました。

  • 実行時期:2022年12月
  • スキーム:事業譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:エンドユーザー向け商圏の獲得等

Kverneland ASによるB.C. TECHNIQUE AGRO-ORGANIQUE SASのM&A

農作業機器の製造・販売を行っているKverneland ASは、農作業機器の製造・販売を行うB.C. TECHNIQUE AGRO-ORGANIQUE SASを子会社化しました。

  • 実行時期:2023年02月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:顧客のニーズにさらに寄り添う提案

コマツによるGHH Group GmbHのM&A

産業機械などの製造販売の大手のコマツは、坑内掘り鉱山機械メーカーのGHH Group GmbHを子会社化しました。

  • 実行時期: 2022年12月
  • スキーム:買収???
  • 取引価額:非公開
  • 目的:鉱山機械ビジネスの強化

フロイント産業によるCos. Mec S.r.l.のM&A

医薬品添加剤などの開発・製造販売を行っているフロイント産業は、医薬品等製造機械装置の製造、販売を行っていCos. Mec S.r.l.を子会社化しました。

  • 実行時期:2020年11月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:グローバル販売の推進

おわりに

本記事のまとめ

業務用・産業用機械製造業界の市場動向、M&A動向、買収事例についてご紹介しました。

業務用・産業用機械製造業界は市場が拡大傾向にあり、サブスクリプション型などの新しいビジネスモデルも導入され始めました。もともと中小・大手企業ともにM&Aが活発な業界ですが、近年はM&Aを行う目的や企業の多様化が見られます。

例えば、国内市場の縮小から海外への進出を見越し、海外企業とのクロスボーダーM&Aがその一例です。また、AI・IoT技術の発展により、さらにデジタル化した業務用機械の開発・製造のため、AI・IoT企業とのM&Aも増えています。

後継者不在の事業承継を背景としたM&Aも近年は増加してきているほか、新しい機能や市場開拓のため、今後ますます多くのM&Aが実施されるとみられています。

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