Web制作業界のM&A・売却・買収事例、業界動向

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Web制作業界は近年M&Aが活発な業界の一つです。Web制作業界では、エンジニアの確保や企業力向上のためM&Aを実施する企業が増加しています。

本記事では、そうしたWeb制作業界の市場動向を解説するとともに、Web制作業界におけるM&Aのメリット、今後のM&A動向、買収事例をまとめてご紹介します。

目次

Web制作業界の概要・市場動向

Web制作業界とは

web制作業界は各社に得意分野があり、様々な分類で分けることができます。

主に会社概要や事業内容を掲載した「コーポレートサイト」、サイト内で商品を売買する「ECサイト」、サービスへの申し込みや問い合わせを増加させ、売り上げ増加につなげるための「新規顧客獲得サイト」、まとめ記事やニュース記事など専門性の高いコンテンツを提供する「メディアサイト」、ヘルプページやQ&Aと呼ばれユーザーに情報を提供する「サポートサイト」などの制作が存在します。

技術面ではグラフィックやHTML、CSSなど画面上の高いデザイン性に強みを持つ企業や、データベースとの連携によるシステム開発を得意とする企業など多様な企業が存在します。

Web制作業界の市場動向

急速な市場成長

経済産業省「特定サービス産業動態統計月報」によると、2020年のWeb業界における市場規模は約1兆9,256億円で前年比10.1%増となっています。

背景にはスマートフォンの普及によってインターネット利用が日常化したこと、小規模・フリーランスエンジニアの増加、クラウドソーシングやアウトソーシングなど受注経路の多様化が考えられます。

また、コロナ禍によって対面での接触を避け、オンラインでの活動が増えたこともウェブ制作の需要が高まった一因として考えられます。

新たなビジネスモデルの出現

Web制作業界ではIT技術の進歩と共に様々なビジネスモデルが生まれています。

例えばウェブサイトやウェブサービスの一部を広告スペースとして販売し、広告料を得る広告モデルや、サービスや製品を継続的に使い続けてもらうことで、売上を積み上げ、収益を得るサブスクリプションモデルなどが存在します。

また、近年はユーザーが個人間でやり取りを行うプラットフォームを提供する事で収益を獲得するマッチングモデルが注目されています。

不用品を売りたい人と買いたい人を繋げるメルカリや、空き家を貸したい人と借りたい人を繋げるAirbnbが代表的なマッチングモデルに当たります。

エンジニアの不足

Web制作の需要が急速に増加する一方、エンジニアの不足が顕著になっています。

経済産業省「IT人材需給に関する調査」ではエンジニアの不足数は2030年に最高で約79万人に上ると試算されています。

このようなエンジニアの不足によって、一人のエンジニアにかかる負担が大きくなり、長時間労働や休日出勤に繋がるケースも少なくありません。

エンジニア不足はWeb業界全体の問題として、一刻も早い解決が望まれています。

Web制作業界のM&A動向

Web制作会社は中小企業や零細企業が多いため、後継者が見つからずに廃業してしまう企業が多く存在します。近年はこの解決策としてM&Aを行うケースが増えています。

また昨今は多くのWeb制作会社が設立され、競争が激化しています。競争力向上のため同業同士でのM&Aや、競合が多く先行きに不安を感じる事業者がM&Aによって事業を手放すケースも増えています。

また昨今はフリーランスや転職の増加から人の移動が激しくなっています。そのため、これまで以上に人材の確保が難しくなっており、人手不足に悩む企業が多く存在します。

こうした問題をの解決のため、M&Aによってエンジニアの獲得を図るケースは今後増えていくと考えられます。

Web制作業界におけるM&Aのメリット

売り手のメリット

Web制作業界のM&A活用において、売り手側のメリットは以下が挙げられます。

  • 大手企業の傘下に入ることで、安定した経営を続けられる
  • 創業者利益を獲得し、生活資金や新規事業に活用できる
  • 後継者が不在の場合、廃業せず事業を継続し社員の雇用を守ることができる
  • 後継者問題を解決し、株式譲渡による譲渡収入とともに経営から退くことができる
  • M&Aを契機に代表者による借入金の個人保証や担保を解消できる

買い手のメリット

Web制作業界のM&A活用において、買い手側のメリットは以下が挙げられます。

  • 新規参入する場合、事業立ち上げの時間とコストを削減できる
  • 売り手の抱える優秀なエンジニアやデザイナーを獲得できる
  • 売り手側の有する技術やノウハウを獲得できる

Web制作業界のM&A・売却・買収事例

デザインワン・ジャパンによるアマネクコミュニケーションズのM&A

インターネット事業や開発事業を手掛けるデザインワン・ジャパンは、ウェブ制作を含めた広告代理店を運営するアマネクコミュニケーションズを子会社化しました。

  • 実行時期:2021年5月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:新しいサービスの提供

デジタルアイデンティティによるぱむのM&A

デジタルマーケティングを手掛けるデジタルアイデンティティは、金融に特化した広告代理店でweb制作や動画制作を手掛けるぱむを子会社化しました。

  • 実行時期:2021年10月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:5億7,000万
  • 目的:金融業界での新規顧客の開拓

SHIFTによるさうなしのM&A

ソフトウェアの品質保証やテストを手掛けるSHIFTは、web制作会社のさうなしを子会社化しました。

  • 実行時期:2019年1月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:BtoB市場でのサービス展開

ソネット・メディア・ネットワークスによるASAのM&A

アドテクノロジーやマーケティングソリューションを手掛けるソネット・メディア・ネットワークスは、デジタル広告のプロデュースから開発までを手掛けるASAを子会社化しました。

  • 実行時期:2019年8月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:マーケティングテクノロジー分野での事業拡大

UTグループによるLei Hau’oliのM&A

技術者派遣やアウトソーシング事業を手掛けるUTグループは、webコンサルティングを手掛けるLei Hau’oliを子会社化しました。

  • 実行時期:2017年4月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:IT・web領域への進出

Kaizen PlatformによるディーゼロのM&A

DXやUXなどのサービスを展開するKaizen Platformは、ウェブ制作の企画から運用まで手掛けるディーゼロを子会社化しました。

  • 実行時期:2021年8月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:4億3100万円
  • 目的:提供サービスの価値向上

NTTデータによるネットイヤーグループのM&A

データ通信やシステム構築事業を手掛けるNTTデータは、デジタルマーケティングサービスを提供するネットイヤーグループを子会社化しました。

  • 実行時期:2019年2月
  • スキーム:TOB
  • 取引価額:非公開
  • 目的:デジタルマーケティング力の獲得

おわりに

本記事のまとめ

Web制作業界の市場動向、M&A動向、買収事例についてご紹介しました。

Web制作企業はクライアントの意向に合わせて、様々な用途のWebサイトを制作します。近年はコロナ禍による巣ごもり需要のため、ECサイトの需要が高い傾向にあります。

Web制作の需要は高く多様なビジネスモデルが生まれるなど今注目を集めている業界ですが、多くのWeb制作会社で深刻なエンジニア不足が起きています。

また、近年は多くのWeb制作会社が乱立しているため、今後はますます市場競争が激しくなると考えられます。

エンジニアの確保や企業力向上を背景として、企業の規模に関わらず、Web制作業界でのM&Aは今後も活発に行われていくと考えられます。

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