岐阜県のM&A・会社売却・買収事例、事業承継の動向

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現在、岐阜県をはじめとした全国の中小企業において、後継者不在や事業の更なる成長を目的としたM&Aが注目を集めています。

本記事では、そうした岐阜県のM&A動向を解説するとともに、岐阜県における会社売却・買収事例や、事業承継の動向をまとめてご紹介します。

目次

岐阜県のM&A・事業承継動向

岐阜県の現状

製造業が盛ん

岐阜県では航空宇宙関連産業を中心に製造業が盛んです。

県内23市町が「アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区」に指定されており、航空宇宙産業に対する総合的な支援が行われています。(JETRO「地域進出支援ナビ 岐阜県」)

岐阜県は、グレーター・ナゴヤ(名古屋を中心に半径100kmに広がる経済圏)に世界から優れた企業・技術やヒト・情報を呼び込むとともに企業の海外展開支援を行うために、国際経済交流を促進する活動であるグレーター・ナゴヤ・イニシアティブ(GNI)の一員です。県が策定した「岐阜県企業誘致戦略」の下で、航空宇宙関連産業・ヘルスケア産業・食品関連産業が誘致重点産業に指定されています。

また岐阜県「岐阜県・市町村の現状」によると、岐阜県の面積は全国7位で、県内の81.2%(高知県に次いで全国2位)は森林が占めています。都道府県別水力エネルギー量では全国1位と水資源も豊富であるために、水利用を重視する企業にとって魅力的な条件を有しています。

人口流出による人材不足

岐阜県では県内人口の減少に伴い労働力不足に悩む企業が増加しています。

岐阜県「岐阜県・市町村の現状」によると、県内人口は2000年の2,107,700人をピークに2020年には1,978,742人まで減少しています。特に若年層の人口が減少しており、人口全体に占める0~14歳、15~64歳の割合はそれぞれ0.9ポイント、1.5ポイント減少しています。

人口減少を加速させている要因は、転出者が転入者を上回る社会減少が継続していることが挙げられます。毎年一定のペースで増加している自然減少数(死亡数が出生数を上回ることによる人口減少)に対して、リーマンショック以降は転出超過が顕著になっており、2021年の社会減少数(6,360人)は自然現象数(11,921人)の5割を超えています。

一方、外国人の転入者は増加しており、2015年に2008年以来の転入超過となって以降、パンデミック前の2019年まで外国人転入者は増加していました。コロナの影響で2021年には転出超過となりましたが、コロナ終息後は再度外国人転入者が増加し、労働力を補うことが期待されます。

岐阜県産業経済振興センター「人材確保に関する特別調査」によると、県内企業のうち68.8%が人材不足と回答しています。人材不足の割合は前年比で5.8ポイント増加していることから、若年層の労働者による県外流出を抑えるための施策が求められます。

岐阜県の経済動向

岐阜県の県内景気は2022年末では持ち直している状況です。

財務省東海財務局「岐阜県内経済動向・統計」によると、令和4年10月判断で前回よりも悪化した項目は住宅建設のみで、残りの項目は維持、もしくは改善傾向にあることが分かります。

一方で世界的な景気下振れリスク、物価上昇、金融市場の変動などの懸念事項には今後も注視する必要があります。

個人消費は、平年よりも高い気温推移となったことから冬物商材の売れ行きが芳しくなく、全体で0.3%の減少になりました。今後は人流回復により売上回復が期待されますが、商品値上げによる客離れの可能性も指摘されます。(岐阜県「岐阜県経済の現状」)

企業の設備投資をみると、令和4年度は全体で前年比62.1%と大幅に拡大しましたが、今年度はゼロゼロ融資の返済が開始することから設備投資の案件が少なくなっていることが懸念されています。

岐阜県のM&A・会社売却・事業承継動向

岐阜県では労働力不足に加えて後継者不足も深刻化しています。

帝国データバンク「全国企業「後継者不在率」動向調査(2022)」によると、岐阜県の後継者不在率(後継者が「いない」、または「未定」とした企業の割合)は62.9%で、全国で9番目に高い数値を示しています。

この影響で休廃業・解散率も全国比で高くなっており、2021年、2022年の同率はそれぞれ4.02%、3.76%でした。

岐阜県を含む中部地方全体で休廃業・解散すうが増加していることが指摘されており、後継者がいないために休廃業・解散を選択せざるを得ない状況を改善することが求められています。

岐阜県でM&A・事業承継を推進するには

M&A仲介会社などの専門家へ相談する

岐阜県でM&Aや会社売却を推進する手段として、M&A仲介会社などの専門家に相談する方法があります。

M&A仲介会社とは、M&Aの専門家であるM&Aアドバイザーが売り手企業と買い手企業の間に立って、中立的な立場でM&Aの成立を支援する会社です。

M&Aにおいては法務的な手続きや税務処理、相手企業の選定まで、幅広い領域の専門性が必要不可欠であるため、こうした専門のアドバイザーに相談することは有効な手段の一つと言えます。

M&A仲介会社は得意領域や事業規模によって多数の会社が存在しているため、自社に合った会社を見つけることが重要です。

公的機関や金融機関へ相談する

岐阜県事業承継・引継ぎ支援センター

岐阜県事業承継・引継ぎ支援センターとは、国からの委託事業として岐阜県の中小企業や個人事業主の事業承継支援を行う公的機関です。

第三者承継、親族内承継、後継者人材バンク、経営者保証解除などに関する支援を無料で受けられます。

2023年1月時点では、センター長、統括責任者に加えて、各支援内容に精通した12名のコーディネーターが在籍しています。

岐阜県よろず支援拠点

岐阜県よろず支援拠点とは、国により全国47都道府県に設置された公設のコンサルティング機関、岐阜県では公益財団法人岐阜県産業経済振興センター内に設置されています。

中小企業、小規模事業者、NPO法人、一般社団法人、社会福祉法人、創業予定者などを対象に、売上拡大、販路拡大、経営改善などの経営上のあらゆる相談に無料で対応しています。

2023年1月時点では21名のコーディネーターが在籍しており、金融機関や士業業務での経験に基づいたアドバイスを受けることができます。

岐阜県商工会連合会

岐阜県商工会連合会は、地域の事業者が会員となり、お互いの事業の発展や地域の発展のために総合的な活動を行う公益経済団体です。

岐阜県には、35の商工会と15の商工会議所があります。

各商工会において、創業、IT活用、経営計画、事業承継、顧客拡大などの事業経営に関する多種多様な支援を実施しています。

岐阜県信用保証協会

岐阜県信用保証協会とは、中小企業経営者や個人事業主が金融機関から貸付を受ける際に、「公的な保証人」になることで資金調達の支援を行う公的保証機関です。

岐阜県内に住居または事業所を有し、事業を経営している個人事業主や、岐阜県内に本店または事業所を有し、事業を経営している法人を対象にしています(企業の規模に応じた利用制限あり)。

税理士連携短期継続特別保証、東海税理士会連携短期継続特別保証のほか、創業や設備投資など用途に応じた保証制度を取り揃えています。

岐阜県のM&A・売却・買収事例

コムシスホールディングスによる朝日設備工業のM&A

ワンストップソリューションプロバイダとして情報通信工事事業、電気設備工事事業などを手掛けるコムシスホールディングス(東京都品川区)は、水回りのリフォームや給排水衛生設備工事を手掛ける朝日設備工業(岐阜県岐阜市)を子会社化しました。

  • 実行時期:2020年10月
  • スキーム:株式交換
  • 取引価額:非公開
  • 目的:東海地域での営業基盤の強化

中部薬品によるアオイ薬局のM&A

岐阜県・愛知県を中心にドラッグストア・薬局を展開する中部薬品(岐阜県多治見市)は、岐阜県羽島郡と加茂郡で薬局2店舗を運営するアオイ薬局(岐阜県羽島郡笠松町)の全株式を取得しました。

  • 実行時期:2020年10月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:岐阜県周辺地域でのドミナント出店を通じたヘルスケアネットワーク構築

フロンティアによる百々のM&A

保険調剤薬局の経営、医薬品・医薬部外品・衛生用品等の販売、福祉用具のレンタル・販売、住宅の増改築、建て替えおよびリフォームなどを手掛けるフロンティア(大阪市淀川区)は、グループホーム、訪問介護など高齢者福祉サービスを中心に事業を行っている百々(岐阜県羽島郡岐南町)の全株式を取得しました。

  • 実行時期:2019年12月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:業容拡大と売上規模拡大

アクトスによるアプロ―チのM&A

スポーツクラブを運営するアクトス(岐阜県可児市)は、大阪店、京都店、熊谷店を販売拠点としてテニス・バドミントン関連を中心とするスポーツ用品の販売を手掛けるアプローチの株式を取得しました。

  • 実行時期:2019年12月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:物販・情報提供機能の強化

デリカスイトによる蔦茂のM&A

食品製造業を手掛けるデリカスイト(岐阜県大垣市)は、創業から107年を迎える料亭「蔦茂(つたも)」を完全子会社化しました。

  • 実行時期:2019年10月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:業容拡大

バローホールディングスによるファーストのM&A

スーパーマーケット、ドラッグストア、ペットショップ、ホームセンター、スポーツクラブなどの運営を手掛けるバローホールディングスは(岐阜県恵那市)、資材・工具のインターネット販売を手掛けるファースト(宮城県仙台市)の全株式を取得しました。

  • 実行時期:2018年2月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:インターネット販売業の効率的運営

ヤマガタヤ産業による伊藤木工のM&A

木材販売を手掛けるヤマガタヤ産業(岐阜県岐南町)は、注文住宅などで使う地元産材や国産材で家具などの製造を手掛ける伊藤木工(岐阜県瑞穂市)を買収しました。

  • 実行時期:2018年5月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:家具製造販売への参入

おわりに

本記事のまとめ

岐阜県におけるM&A・事業承継の動向や、会社売却・買収事例をご紹介しました。

岐阜県でM&Aを行う際は、岐阜県で実績のあるM&A仲介会社などの専門家や、全国を対象にM&Aを取り扱う仲介会社を活用することがおすすめです。

各M&A仲介会社は、業種や地域、取引規模、手数料体系などで強みが分かれ、提供しているサービスも異なるため、地域への強みに加え、こうしたポイントも事前に確認しておくとよいでしょう。

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