スーパーマーケット業界のM&A・売却・買収事例、業界動向

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スーパーマーケット業界は近年M&Aが活発な業界の一つです。大規模のスーパーマーケットが順調に売上を伸ばす一方、中小規模のスーパーマーケットは厳しい状況に置かれています。

本記事では、そうしたスーパーマーケット業界の市場動向を解説するとともに、スーパーマーケット業界におけるM&Aのメリット、今後のM&A動向、買収事例をまとめてご紹介します。

目次

スーパーマーケット業界の概要・市場動向

スーパーマーケット業界とは

スーパーマーケットは、全国スーパーマーケット協会によると「単独経営のもとに、セルフサービス方式を採用している総合食料品小売店で、年商1億円以上のもの」と定義されています。

スーパーマーケットは大きく2つに分けることができ、食料品、衣料品、玩具など日常生活に必要なあらゆるものを取り扱う「総合スーパー」と、主に食料品を取り扱う「食品スーパー」に分けられます。

経済産業省の「商業動態統計」によると、2021年のスーパーマーケットの販売額は約15兆円で前年比1.3%増でした。スーパーマーケットの販売額は2020年に大幅に増加しており、要因として新型コロナウイルスによって家で食事をする人が増加したことが挙げられます。

スーパーマーケット業界の市場動向

人材不足が深刻化

他の多くの業界と同じように、スーパーマーケット業界も人材不足が問題となっています。

その解決策としてセルフレジの導入によるレジ店員の削減や、ICタグによる在庫発注管理の無人化が行われており、これにより店舗の早朝深夜営業も可能になっています。

一部の総合スーパーではIoTにより物流センターやプロセスセンターを地域の店舗ごとに最適化し、さらなる機械化に取り組んでいます。

一方、このような機械やITの導入はコストがかかるため、中小規模のスーパーマーケットではあまり進んでおらず、人材不足解決の糸口を見出せない企業が多く存在します。

低価格化に依存しない差別化対応

スーパーマーケットは商品の価格が他店との大きな差別化要因になるため、過剰な価格競争に陥ることがあります。そのため、深夜営業や24時間営業を行うなど、サービス面で他店との差別化を図る企業も現れています。

また、大手企業ではプライベートブランドの展開によって低価格、高品質な商品を販売したり、大規模スーパーマーケットの運営により品揃えを豊富にするなどの対策が取られています。

人口減少により市場は縮小していくと考えられるので、価格以外の面でどのように他店と差別化を行うか、各社対応が求められています。

ネットスーパー・無人スーパーの拡大

近年、店舗に行けない高齢者や富裕層に向けたネットスーパー事業が注目されています。

しかし、多くの消費者は食料品を店舗で買うものと認識しているため、現時点ではそれほど浸透しているとは言えません。今後いかに消費者の目をネットスーパーに向けるかがカギとなっています。

また「Amazon Go」やアリババの手掛ける「フーマ」などの無人スーパーも登場しています。これらの無人スーパーは、カメラやセンサー技術によって店舗の無人化、キャッシュレス化を実現しています。こういった業態は独自性が強いため、既存のスーパーマーケットとは競合になりにくいと見られています。

スーパーマーケット業界のM&A動向

スーパーマーケット業界では大手企業による買収が盛んです。理由としては人口減少による市場規模縮小への対策と、地域密着型スーパーのノウハウ、顧客の獲得が挙げられます。

中小規模のスーパーは大手の傘下に入ることで、経済基盤の確保、大手企業のプライベートブランドの販売が可能になるため、今後も大手企業のM&Aによる業界再編は続くと見られています。

こうした大手企業の勢力に対抗するため、ブランド力の向上や顧客拡大を目的とした中小規模スーパー同士の業務提携も見られます。

また、近年異業種とのM&Aも進んでおり、特定の分野に力を入れることでコンビニやディスカウントストアに対抗する動きも増えています。

スーパーマーケット業界におけるM&Aのメリット

売り手のメリット

スーパーマーケット業界のM&A活用において、売り手側のメリットは以下が挙げられます。

  • 安定した経営基盤を確保することができる
  • 中小規模のスーパーでは難しいデジタル化を投資をかけて推進できる
  • 後継者が不在の場合、廃業せず事業を継続し社員の雇用を守ることができる
  • 後継者問題を解決し、株式譲渡による譲渡収入とともに経営から退くことができる
  • M&Aを契機に代表者による借入金の個人保証や担保を解消できる

買い手のメリット

スーパーマーケット業界のM&A活用において、買い手側のメリットは以下が挙げられます。

  • 一定地域内で更なるドミナント戦略を進めることができる
  • 売り手の顧客基盤をそのまま引き継ぐことができる
  • 売り手の経営資源を統合することで、新たな事業に挑戦しやすくなる

スーパーマーケット業界のM&A・売却・買収事例

イオンによるダイエーのM&A

スーパーマーケット業界で国内最大手のイオンは、1957年に神戸で創業したスーパーマーケットのダイエーを子会社化しました。

  • 実行時期:2013年8月
  • スキーム:株式公開買付
  • 取引価額:非公開
  • 目的:経営回復と企業価値の向上

エービーシー・マートによるオッシュマンズ・ジャパンのM&A

靴の企画・製造・販売を手掛けるエービーシー・マートは、アメリカンスポーツを中心としたスポーツ用品の販売を手掛けるオッシュマンズ・ジャパンを子会社化しました。

  • 実行時期:2022年3月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:スポーツ用品業界への参入

ヤオコーによるせんどうのM&A

埼玉県を中心にスーパーを展開するヤオコーは、千葉県市原市を中心にスーパーを展開するせんどうと資本業務提携を締結しました。

  • 実行時期:2021年10月
  • スキーム:資本業務提携
  • 取引価額:非公開
  • 目的:協業による更なる事業成長の推進

PPIHによるGRCY HoldingsのM&A

ドン・キホーテなどのディスカウントストアを手掛けるPPIHは、高級スーパーマーケットを手掛けるGRCY Holdingsを子会社化しました。

  • 実行時期:2021年2月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:海外事業の拡大

イズミによるユアーズのM&A

中国、四国、九州を中心にショッピングセンターやスーパーマーケットを展開するイズミは、広島県、岡山県、山口県、福岡県でスーパーを展開するユアーズを第三者割当増資の引き受けにより子会社化しました。

  • 実行時期:2015年10月
  • スキーム:第三者割当増資
  • 取引価額:非公開
  • 目的:経営統合によるスケールメリットの享受

アトラグループによるビーユーのM&A

鍼灸師などのサポートを行うアトラグループは、玩具などを販売しているビーユーを子会社化しました。

  • 実行時期:2021年12月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:新規事業への参入

クスリのアオキによるホーマス・キリンヤ、フードパワーセンター・バリューのM&A

ドラックストアと調剤薬局を展開するクスリのアオキは、宮城県と岩手県でスーパーを展開するホーマス・キリンヤと、ホーマス・キリンヤが販売する商品の仕入業務を行っているフードパワーセンター・バリューを吸収合併しました。

  • 実行時期:2022年3月
  • スキーム:吸収合併
  • 取引価額:非公開
  • 目的:流通・販売チャネルの統合によるシナジー創出

おわりに

本記事のまとめ

スーパーマーケット業界の市場動向、M&A動向、買収事例についてご紹介しました。

スーパーマーケット業界では人口減少による市場規模の縮小に直面し、激しい市場競争が繰り広げられており、また、人材不足によって中小規模のスーパーは厳しい状況に置かれています。

このような問題を解決する手段として、大手企業と中小企業のM&Aは今後ますます増加すると見られています。また、他社との差別化を図るため、異業種とのM&Aもますます注目を集めています。

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