化学品業界の業界動向、M&A・売却・買収事例30選!

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化学品業界は近年M&Aが活発な業界の一つです。国内の化学品市場は飽和状態にあり、成長戦略の一つとしてM&Aが実施されています。

本記事では、そうした化学品業界の市場動向を解説するとともに、化学品業界におけるM&Aのメリット、今後のM&A動向、買収事例をまとめてご紹介します。

目次

化学品業界の概要・市場動向

化学品業界とは

化学品業界とは、ガスや石油、パルプ、繊維などの原料から合成・分解などの化学変化によって商品を製造し販売する業界を指します。

1950年代に政府が「石油化学工業育成対策」を推し進めたことから、日本で化学品業界が発展していきました。

総務省「日本標準産業分類」によると化学品業界は、「化学肥料」、「無機化学工業製品」、「有機化学工業製品」、「油脂加工製品」、「医薬品」、「化粧品」、「その他」に分けられます。

化学製品の出発原料になる重要製品が「エチレン」です。そのためエチレンの生産動向は、化学品業界の動向を見る指標の一つになります。

化学品業界には他産業に原料を提供する上流の企業から、最終製品を生産する下流の事業まで様々な企業があります。

化学品業界の市場動向

市場規模は横ばいで推移

総務省「法人企業統計」によると、2021年の科学製造の売上高は44兆299億円で前年比11.3%増でした。

化学品業界の売上は年によってばらつきがあり、直近では18年から20年は減少傾向でしたが21年に上昇に転じていますが、長期的に見ると横ばいに推移しています。

2021年は石油化学基礎製品の売り上げが好調でした。世界的に供給不足となっていた半導体も回復傾向にあり、半導体や自動車向けも売上向上に貢献しました。

原料価格の高騰

2020-2021年は化学製品の主な原料となる原油や天然ガスの価格が乱高下しました。

原油の高騰は一旦は落ち着きを見せましたが、今後も原料価格の先行きは不透明で再び高騰する可能性も考えられます。

こうした原料の高騰により、従来のビジネスモデルでは収益が出ずらくなっていることが問題になっています。

原油や天然ガスなどの原料の高騰は製造コストに大きく影響し、輸入に頼るしかない日本では仕入れコストが収益性を下げる要因になります。

そのため、化学品メーカーでは石油を原料としない製品の開発や、利益性の減少している事業からの撤退などの対応が必要になっています。

環境問題への意識向上

化学品業界では環境問題への意識が高まっています。

高度経済成長期に化学品業界では多くの公害事件が問題となりました。それ以前は有害な化学物質の取り扱いは法律によって規制されていましたが、様々な化学品の登場により各社が責任を持って対応する必要が出てきました。

また近年では脱炭素化の動きも強まり、CCSなどの新たな技術も誕生しました。

CCSは化石燃料を燃焼することで発生するCO2を分離・回収し、地中の特定の地層に圧入し、貯留・固定化するというものです。現在は実用化に向けて研究が進められています。

化学品業界のM&A動向

化学品業界の国内市場は縮小傾向にあります。国内市場はすでに飽和状態にあり、新たな市場を見つけるのが困難になっているためです。

そのため技術・ノウハウの獲得、成長分野への進出、海外市場への参入を目的としたM&Aが増えています。

化学素材の製造・販売を行う企業が、最終製品の製造・販売を行う企業を買収し、業務の上流から下流まで一貫して行う垂直型M&Aも見られます。

化学品メーカーは自動車メーカーとのM&Aが多く、自動車の金型や車載シートの企業を譲り受ける例もあります。

また、日本の労働人口減少や市場規模の縮小により、海外企業とのM&Aによって経済成長が著しく人口増加を続けている東南アジアへの進出を図る企業も増えています。

化学品業界におけるM&Aのメリット

売り手のメリット

化学品業界のM&A活用において、売り手側のメリットは以下が挙げられます。

  • 後継者が不在の場合、廃業せず事業を継続し社員の雇用を守ることができる
  • 後継者問題を解決し、株式譲渡による譲渡収入とともに経営から退くことができる
  • M&Aを契機に代表者による借入金の個人保証や担保を解消できる
  • 単独では難しい新規事業に投資できる
  • 経営者の創業者利益を獲得できる

買い手のメリット

化学品業界のM&A活用において、買い手側のメリットは以下が挙げられます。

  • 海外進出の足掛かりを創出できる
  • 売り手企業のノウハウ・技術を獲得できる
  • 新規参入するコストを削減できる
  • 業務の川上から川下まで一貫して請け負うことができる

化学品業界のM&A・売却・買収事例

三井化学アグロによるMeiji SeikaファルマのM&A

三井化学グループの農業化学品分野を担う三井化学アグロは、明治ホールでイングスの傘下企業で医薬品製造を手掛けるMeiji Seikaファルマの農業分野を取得しました。

  • 実行時期:2022年1月
  • スキーム:吸収分割・株式譲渡
  • 取引価額:約442億円
  • 目的:国内市場におけるプレゼンス向上と海外市場の開拓

石原ケミカルによるキザイのM&A

兵庫県神戸市に拠点を置く化学薬品メーカーである石原ケミカルは、めっき薬品などの表面処理薬品全般を取り扱うキザイを子会社化しました。

  • 実行時期:2019年10月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:製品提案力やサポート力の向上

三菱ケミカルグループとDAIZの資本提携

化学製品、産業ガス、ファーマなどの事業を手掛ける三菱ケミカルグループは、発芽大豆で作った大豆ミートを手掛けるDAIZと資本業務提携を締結しました。

  • 実行時期:2021年9月
  • スキーム:資本業務提携
  • 取引価額:非公開
  • 目的:三菱ケミカルグループの持つ油脂技術を使った商品開発

アカルタスホールディングスによる美濃化学工業のM&A

一般廃棄物、産業廃棄物の収集・運搬から最終処理まで請け負うアカルタスホールディングスは、プラスチック加工を手掛ける美濃化学工業を子会社化しました。

  • 実行時期:2021年12月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:売り手企業のノウハウ獲得

エア・ウォーターによる環境技術センターのM&A

産業ガス事業や医療関連事業を手掛けるエア・ウォーターは、関東を中心に環境測定や騒音測定などの分析業務を手掛ける環境技術センターを子会社化しました。

  • 実行時期:2018年12月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:提案力強化、シナジーの獲得

佐々木化学薬品によるバイオエックスのM&A

一般化学薬品や金属表面処理薬品、ライフサイエンス分野を手掛ける佐々木化学薬品は、酵素反応モニターや生理活性反応測定装置を手掛けるバイオエックスを子会社化しました。

  • 実行時期:2020年10月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:ライフサイエンス分野におけるサービス拡充

住友化学によるEMAS PLASTIK A.S.のM&A

住友化学は子会社である住化ポリマーコンパウンドヨーロッパを通じて、トルコの樹脂コンパウンド企業であるEmas Plastik A.S.を子会社化しました。

  • 実行時期:2019年8月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:コンパウンド事業の海外進出

カミ商事によるハクビ化学のM&A

紙の総合事業社であるカミ商事は、製紙用接着剤製造会社であるハクビ化学を子会社化しました。

  • 実行時期:2021年12月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:新規取引先の拡充

レンゴーによるサン・トックスおよび三井化学東セロ2社のM&A

段ボール・板紙・包装の最大手であるレンゴーは、プラスチックフィルム製造販売を行うサン・トックスと、産業用フィルム・シート事業を行う三井化学東セロを子会社化しました。

  • 実行時期:2024年4月
  • スキーム:吸収合併
  • 取引価額:非公開
  • 目的:海外での事業拡大

日本ユピカによる日本ファインケムのM&A

熱硬化性樹脂の事業を行っている日本ユピカは、無機および有機化学製品を扱う日本ファインケムを合併しました。

  • 実行時期: 2023年06月
  • スキーム:吸収合併
  • 取引価額:非公開
  • 目的:事業運営全体の効率化

MGCウッドケムによる三菱瓦斯化学のホルマリン・ホルマロール・ホルマリン安定剤に関する事業のM&A

質系接着剤・塗料・化学品等の製造・販売を行うMGCウッドケムは、化学品の製造販売を行っている三菱瓦斯化学のホルマリン・ホルマロール・ホルマリン安定剤に関する事業を譲り受けました。

  • 実行時期:2024年4月
  • スキーム:吸収合併
  • 取引価額:非公開
  • 目的:収益改善のための合理化

大崎工業によるSC有機化学の有機リン化合物販売事業ののM&A

無機・有機化学製品の製造販売などを行う大崎工業は、有機化成品などの製造販売を行っているSC有機化学の有機リン化合物販売事業の一部を譲り受けました。

  • 実行時期:2023年7月
  • スキーム:吸収合併
  • 取引価額:非公開
  • 目的:グループの事業運営の合理化

林原によるナガセケムテックスの生化学品事業のM&A

医薬品原料等の製造販売を行う林原は、エポキシ樹脂変性品等を製造販売するナガセケムテックスの生化学品事業を譲り受けました。

  • 実行時期:2023年4月
  • スキーム:事業譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:事業承継

ユシロ化学工業による日本シー・ビー・ケミカルのM&A

金属加工油剤等の製造販売を行うユシロ化学工業は、化学薬品の製造販売などを行っている日本シー・ビー・ケミカルを吸収合併しました。

  • 実行時期:2023年3月
  • スキーム:吸収合併
  • 取引価額:非公開
  • 目的:経営資源を最大限活用

武州製薬によるFUKUSHIMA工園のM&A

固形製剤・固形剤一次包装などを製造する武州製薬は、自社固形剤の製造工場および受託製造工場のFUKUSHIMA工園の全事業を譲り受けました。

  • 実行時期:2022年9月
  • スキーム:事業譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:さらなる事業展開

三井化学による旭化成のペリクル事業と旭化成EMSのM&A

三井グループの化学メーカである三井化学は、総合化学メーカーの旭化成のペリクル事業を譲り受け、ペリクル製造販売を行う旭化成EMSを子会社化しました。

  • 実行時期:2023年7月
  • スキーム:吸収合併
  • 取引価額:74億円
  • 目的:新製品の開発や最先端の技術向上

Mipoxによるミスミ化学のM&A

研磨フィルムなどの製造販売を行うMipoxは、 研磨ディスクの製造・販売を行っているミスミ化学を子会社化しました。

  • 実行時期:2022年06月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:迅速かつ的確に対応できる製品の提供

農薬事業北興化学工業によるOATアグリオの水稲除草剤事業のM&A

農薬事業北興化学工業は、農薬・肥料の研究開発、製造販売を行うOATアグリオの水稲除草剤事業を譲り受けました。

  • 実行時期:2021年9月
  • スキーム:事業譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:国内外における水稲除草剤ビジネスの拡大

ENEOSによるJSRより合成ゴムのJSRのエラストマー事業のM&A

石油製品の精製および販売を行うENEOSは、合成樹脂事業等を行っているJSRより合成ゴムの製造・販売を含むJSRのエラストマー事業を譲り受けました。

  • 実行時期:2021年05月
  • スキーム:事業譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:強靱なインフラ構築

アクティブファーマによる相模化成工業のM&A

医薬品原薬の製造・販売を行うアクティブファーマは、同業者の相模化成工業を吸収合併しました。

  • 実行時期:2023年10月
  • スキーム:吸収合併
  • 取引価額:非公開
  • 目的:コストの適正化

出光興産による出光クレイバレーのM&A

資源のセグメントで事業を展開している出光興産は、液状ゴムの製造・販売を行っている出光クレイバレーを吸収合併しました。

  • 実行時期:2023年10月
  • スキーム:吸収合併
  • 取引価額:非公開
  • 目的:事業成長

ADEKAによるインキュベーション・アライアンスのM&A

化学品の製造・販売を手掛けているADEKAは、グラフェンを中心とするナノカーボン素材を研究製造するインキュベーション・アライアンスを子会社化しました。

  • 実行時期:2023年4月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:放熱部材や電池向け材料などの分野での事業拡大

トクヤマによる新第一塩ビのM&A

環境事業部門の製造販売事業を行っているトクヤマは、塩化ビニル樹脂の製造販売を行っている新第一塩ビを子会社化しました。

  • 実行時期:2023年4月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:トクヤマのクロル・アルカリ事業との一体運営の強化

Nichino Europe Co., LtdによるInteragro(UK)LimitedのM&A

欧州における農薬の販売を行うNichino Europe Co., Ltdは、バイオスティミュラントの製造・販売会社のInteragro(UK)Limitedを子会社化しました。

  • 実行時期:2023年04月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:グループの欧州事業強化

東京応化工業によるNLM PhotonicsのM&A

無機・有機化学薬品等の製造・販売を行っている東京応化工業は、電気光学ポリマーを開発しているNLM Photonicsへ出資を行いました。

  • 実行時期:2023年06月
  • スキーム:資本業務提携
  • 取引価額:非公開
  • 目的:社会課題の解決への貢献

三井物産によるBharat Insecticides LimitedのM&A

総合商社の三井物産は、インドの農薬製造販売会社Bharat Insecticides Limitedを子会社化しました。

  • 実行時期:2020年09月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:地場農家の発展

三井物産によるKasso MidCo ApSのM&A

各種事業を多角的に展開している総合商社の三井物産は、太陽光発電とe-メタノール事業を展開しているKasso MidCo ApSを子会社化しました。

  • 実行時期:2023年07月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:戦略的パートナーシップの更なる深化

クミアイ化学工業によるAsiatic Agricultural Industries Pte. Ltd.のM&A

有機中間体・アミン硬化剤等の製造販売を行うクミアイ化学工業は、 農薬販売事業を行うAsiatic Agricultural Industries Pte. Ltd.を子会社化しました。

  • 実行時期:2021年2月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:社会の持続的発展

INEOS Holdings LimitedによるMitsui Phenols Singapore Pte. Ltd.のM&A

石油化学事業を行っているINEOS Holdings Limitedは、フェノール、アセトン等の製造販売を行っているMitsui Phenols Singapore Pte. Ltd.を子会社化しました。

  • 実行時期:2023年3月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:収益変動の低減

グローバル・ブレインによるVisolis, Inc.のM&A

VC投資会社のグローバル・ブレインは、カーボンネガティブ化学品の製造を行っているVisolis, Inc.へ出資を行いました。

  • 実行時期:2023年01月
  • スキーム:資本業務提携
  • 取引価額:非公開
  • 目的:Visolisの事業成長

おわりに

本記事のまとめ

化学品業界の市場動向、M&A動向、買収事例についてご紹介しました。

国内の化学品市場は既に飽和状態にあり、ここから大きな発展を見込むことが難しくなっています。

さらに近年の原料の高騰により収益性が悪化し、化学品業界は新たな戦略立案が必要になってきており、ノウハウの獲得や成長分野への進出を狙ったM&Aが増えています。

また成長著しい東南アジア諸国への進出を目指した海外企業とのM&Aもよく見られるようになりました。

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