富山県のM&A・会社売却・買収事例、事業承継の動向

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現在、富山県をはじめとした全国の中小企業において、後継者不在や事業の更なる成長を目的としたM&Aが注目を集めています。

本記事では、そうした富山県のM&A動向を解説するとともに、富山県における会社売却・買収事例や、事業承継の動向をまとめてご紹介します。

目次

富山県のM&A・事業承継動向

富山県の現状

労働力の減少

とやま統計ワールド「『富山県勢要覧』令和3年版」によると、富山県全体の人口は平成10年をピークに、令和3年までに8.94%減少しています。

この人口減少に伴い労働力も減少しており、平成12年の619,025人から平成27年の556,356人まで10.1%減少しています。

また県内での人口分布をみると、人口集中地区が富山県に占める割合は平成12年には38.3%でしたが令和2年には40.0%に上昇しており、今後は都市部以外での一層の労働力減少が懸念されます。

減少する労働力を補う施策として移民の受け入れが挙げられます。

富山県における外国人住民数は平成28年から令和2年にかけて29.2%増加しています。特にベトナムやフィリピンなど東南アジア出身の外国人住民数が急増しており、県内の労働者数を下支えする存在として期待されます。

県内の産業

とやま統計ワールド「経済センサスー活動調査」の令和3年における産業別事務所数をみると、卸売・小売業(24.8%)が最も多く、次いで建設業(11.1%)、宿泊・飲食サービス業(9.8%)の事務所数が多いです。

また、富山県全体の事務所数は48,420で平成28年の51,785から6.5%減少しています。同期間における全国の事務所数は4.9%減であったことを踏まえると、全国比で事務所数の減少が顕著であるといえます。

一方、直近の休廃業・解散率は全国平均が3.66%であるのに対して富山県の休廃業・解散率は2.71%と1%近く良好な結果です。

したがって事務所数の減少は、倒産数の多さによるものか、M&Aなどを通じた統合や再編が加速した結果であることが指摘できます。(帝国データバンク「全国企業「休廃業・解散」動向調査(2022年)」)

直近の景気動向

2022年12月時点での富山県の業況感は改善しつつあります。

withコロナに向けた動きが確立される中で人の流れが回復してきたために、これまで業況回復が遅れていた非製造業が経済全体の押し上げに貢献しています。

一方、高騰する原材料価格の転嫁が遅れていることで製造業の業況は悪化しています。(日本銀行富山事務所「短観(22/12月調査、富山県分)の調査結果を受けて」)

年間を通してみると2022年度の売上高は製造業・非製造業ともに増収増益となり、行動制限が緩和され経済活動が活発化している様子がうかがえます。

また、2022年度の設備投資額は前年比で17.8%の増加となり2年連続で増加していることから、企業が今後の景気に対して楽観的な見通しを持っていると言えます。

個人消費においても持ち直しの兆しが見られます。

富山県「今月の経済情勢報告」によると、2022年10月の大型小売店(百貨店・スーパー等)販売額は108億8,100万円で前月比で5.3%増加しました。

また、耐久消費財の販売動向を乗用車の新車新規登録台数でみると、10月は3,017台で前期比25.6%増加、11月は3,196台で前期比2.3%の増加となりました。

富山県のM&A・会社売却・事業承継動向

富山県では、人口減少に伴う労働力減少を背景に事業の継続が困難となる企業が増加していると予測されます。

2022年における富山県の後継者不在率(後継者が「いない」、または「未定」とした県内企業の割合)は60.3%と全国平均の57.2%より3%ほど高く、今後は休廃業・解散を選択せざるを得ない企業が増加する恐れがあります。

富山県ではこのような状況に備えてクラウドファンディングや、金融機関とM&Aのマッチングを支援する民間企業との提携など、事業承継を推進する活動が進められています。

富山県でM&A・事業承継を推進するには

M&A仲介会社などの専門家へ相談する

富山県でM&Aや会社売却を推進する手段として、M&A仲介会社などの専門家に相談する方法があります。

M&A仲介会社とは、M&Aの専門家であるM&Aアドバイザーが売り手企業と買い手企業の間に立って、中立的な立場でM&Aの成立を支援する会社です。

M&Aにおいては法務的な手続きや税務処理、相手企業の選定まで、幅広い領域の専門性が必要不可欠であるため、こうした専門のアドバイザーに相談することは有効な手段の一つと言えます。

M&A仲介会社は得意領域や事業規模によって多数の会社が存在しているため、自社に合った会社を見つけることが重要です。

公的機関や金融機関へ相談する

富山県事業承継・引継ぎ支援センター

富山県事業承継・引継ぎ支援センターとは、中小企業庁からの委託を受けて設置された、中小企業や小規模事業者の事業承継を支援する公的機関です。

2021年4月に富山県事業引継ぎ支援センターと富山県事業承継ネットワークという2つの機関が統合されて、現在の富山県事業承継・引継ぎ支援センターとなりました。

県内企業の事業承継に関する総合窓口として、経営者保証の解除に向けた支援や後継者人材バンクを通じたマッチング支援などが実施されています。

富山県よろず支援拠点

富山県よろず支援拠点は、国が富山県に設置している無料の経営相談所で、中小企業・小規模事業者・NPO法人・一般社団法人・社会福祉法人などの中小企業や創業予定者の経営相談に対応する機関です。

2023年1月時点では15名のコーディネーターが在籍しており、経営課題に対する総合的・先進的経営アドバイスを無料で受けることができます。

また、IT戦略やインボイス制度などの特定領域に関する勉強会やセミナーも頻繁に実施されています。

富山県商工連合会

富山県商工連合会とは、各地域の商工業の発達と振興を図る自由会員制の公益経済団体です。

富山県には8つの商工会議所と、12の商工会が設置されています。会員企業が抱える経営、税務、金融、労務、人材育成に関する相談を受け付けています。

富山県信用保証協会

富山県信用保証協会とは、中小企業が金融機関から資金調達する際に、公的な保証人となって円滑に融資が受けられる信用保証制度を提供する公的機関です。

目的に応じて、事業者カードローン当座貸越根保証、有効活用流動資産担保融資保証(ABL)、特定社債保証、経営力強化保証、創業関連・再挑戦支援保証、短期継続サポート融資保証などの保証を受けることができます。

富山県のM&A・売却・買収事例

東部ネットワークによる魚津運輸のM&A

トラック輸送事業、3PL事業、不動産賃貸事業などを手掛ける東部ネットワーク(神奈川県横浜市)は、工業用ガス、セメント、化成品の輸送などを手掛ける魚津運輸(富山県魚津市)の株式75.8%を取得しました。

  • 実行時期:2022年10月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:業容拡大

オージックグループによる広進工業のM&A

オージックグループは、連結子会社で各種精密ギアの製造などの金属部品加工事業を手掛けるオージック(大阪府東大阪市)を通じて、自動車部品切削加工業を手掛ける広進工業の(富山県滑川市)の議決権所有割合70.0%にあたる株式を取得しました。

  • 実行時期:2022年6月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:金属部品加工事業における業容拡大

スキットによるアヤトのM&A

商業印刷事業とオリジナル印刷商品開発・販売を手掛けるスキット(福井県福井市)は、企業や公的機関向けに定期刊行物・販促宣伝品・伝票などの印刷事業を手掛けるアヤト(富山県小矢部市)の全株式を取得しました。

  • 実行時期:2020年8月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:顧客層の更なる拡大

アルビスによるオレンジマートのM&A

北陸三県で食料品スーパーマーケットを54店舗(富山県32店舗、石川県18店舗、福井県4店舗)運営しているアルビスは、食料品スーパーマーケットを展開するオレンジマート(富山県富山市)の株式を取得しました。

  • 実行時期:2018年10月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:富山県内の食品売上高のシェア拡大

ジャパン・フラワー・コーポレーションによるジャパンフラワーグループのM&A

生花店「花まつ」を展開するジャパン・フラワー・コーポレーション(富山県射水市)は、伊藤忠商事の子会社で、バラ専門店「ローズギャラリー」事業を会社分割して設立されたジャパンフラワーグループ(東京都中央区)を買収しました。

  • 実行時期:2018年4月
  • スキーム:会社分割、株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:首都圏での事業拡大

日医工によるエルメッドエーザイのM&A

後発医薬品メーカーの国内最大手である日医工(富山県富山市)は、エーザイの全額出資子会社であり、ジェネリック医薬品の開発、製造、販売を手掛けるエルメッドエーザイ(東京都豊島区)の全株式を段階的に取得することを決定しました。

  • 実行時期:2018年3月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:ジェネリック医薬品事業の拡大

盛田による銀盤酒造のM&A

食品類や酒類、飲料の製造および販売事業を手掛ける盛田(愛知県名古屋市)は、1910年で創業した酒蔵である銀盤酒造(富山県荻生村)の議決権株式95%を取得して子会社化しました。

  • 実行時期:2017年10月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:5億100万円
  • 目的:商品の共同開発

おわりに

本記事のまとめ

富山県におけるM&A・事業承継の動向や、会社売却・買収事例をご紹介しました。

富山県でM&Aを行う際は、富山県で実績のあるM&A仲介会社などの専門家や、全国を対象にM&Aを取り扱う仲介会社を活用することがおすすめです。

各M&A仲介会社は、業種や地域、取引規模、手数料体系などで強みが分かれ、提供しているサービスも異なるため、地域への強みに加え、こうしたポイントも事前に確認しておくとよいでしょう。

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