岩手県のM&A・会社売却・買収事例、事業承継の動向

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現在、岩手県をはじめとした全国の中小企業において、後継者不在や事業の更なる成長を目的としたM&Aが注目を集めています。

本記事では、そうした岩手県のM&A動向を解説するとともに、岩手県における会社売却・買収事例や、事業承継の動向をまとめてご紹介します。

目次

岩手県のM&A・事業承継動向

岩手県の現状

経営者の高齢化

岩手県の社長の平均年齢は62.0歳で、年齢の高い順では全国2位に位置しています(参照:帝国データバンク「岩手県社長年齢分析」)。

統計調査を開始した1990年の岩手県の社長の平均年齢は54.8歳で、約30年で7.2歳も上昇していることになります。

社長の平均年齢は年々上昇し続けており、70歳以上の現役社長も珍しくありません。年代別の割合を見ると、60代が32.0%で最も多く、70代が22.8%、50代が22.6%を占めています。

また、岩手県の後継者不在率は2020年時点で69.0%で、かなり高い水準にあると言えます(参照:帝国データバンク「全国企業『後継者不在率』動向調査(2020年)」)。

後継者問題と休業・廃業率

岩手県では事業承継が上手くいかず、休業・廃業してしまう企業も多くあります。

2021年に岩手県で休業や廃業、解散になった企業は449件で前年比1.5%減となりました(参照:帝国データバンク「岩手県内企業「休廃業・解散」動向調査(2021年)」)。

休廃業した企業のうち、54.5%は黒字で後継者問題の深刻さが分かります。

また、業種別では建設業(83件)が最も多く、次いでサービス業(63件)、小売業(41件)が続きました。

深刻な人手不足

岩手県には後継者だけでなく従業員不足に悩んでいる企業も多くあります。

2022年1月時点で正社員が不足していると感じている企業は54.9%でした(参照:帝国データバンク「人手不足に対する岩手県内企業の動向調査(2022年1月)」)。

新型コロナにより一旦は人手不足感は落ち着いたものの、2022年に入ると人手不足はコロナ禍以前の水準まで戻っています。

また、非正規社員が不足していると感じている企業は39.2%で、こちらもコロナ禍以前とほぼ同様の値です。

中でも電気機械製造では100.0%、精密機械、医療機器・器具製造では75.0%と高い水準で、ついで旅館や医療業界でも人手不足が問題となっています。

岩手県のM&A・会社売却・事業承継動向

岩手県の2020年のM&A件数は25件で、売り手・買い手共に岩手県内企業のM&Aが12件、買い手のみ岩手県内企業のM&Aが7件、売り手のみ岩手県内企業のM&Aが6件と活発に行われており、長期的に見ても岩手県のM&A件数は増加しています。(M&AOnline「2021年「都道府県別」M&Aランキング」)

岩手県内の中小企業は高齢化が進んでおり、事業が継承されないまま廃業した場合、地域の雇用だけでなく、企業の技術やノウハウの消失・漏洩のおそれがあります。

また事業継承には準備期間が必要なため、早い段階から事業承継計画の策定を行うことが重要と考えられます。

岩手県でM&A・事業承継を推進するには

M&A仲介会社などの専門家へ相談する

岩手県でM&Aや会社売却を推進する手段として、M&A仲介会社などの専門家に相談する方法があります。

M&A仲介会社とは、M&Aの専門家であるM&Aアドバイザーが売り手企業と買い手企業の間に立って、中立的な立場でM&Aの成立を支援する会社です。

M&Aにおいては法務的な手続きや税務処理、相手企業の選定まで、幅広い領域の専門性が必要不可欠であるため、こうした専門のアドバイザーに相談することは有効な手段の一つと言えます。

M&A仲介会社は得意領域や事業規模によって多数の会社が存在しているため、自社に合った会社を見つけることが重要です。

公的機関や金融機関へ相談する

岩手県事業承継・引継ぎ支援センター

岩手県事業承継・引継ぎ支援センターは産業競争力強化法に基づき、盛岡商工会議所が東北経済産業局から委託を受けて設置された相談窓口で、事業承継に悩む全ての中小企業をサポートしています。

事業承継に関する相談やM&Aマッチング支援、事業承継計画策定支援を行っています。定期移動相談会も行われており、最寄りの商工会議所で相談することも出来ます。

専門家による相談は無料で受けることが出来ます。

岩手県よろず支援拠点

よろず支援拠点は中小企業庁が全国に設置している公的なビジネスコンサルファームです。

中小企業診断士や社会保険労務士、ITコーディネーターなどさまざまな人材が相談に対応してくれます。独自のネットワークや公的制度への知識を基に、ワンストップでの課題解決を目指しています。

また岩手県よろず支援拠点と岩手県内の金融機関による「合同相談会」もほぼ毎週行われています。

盛岡商工会議所

盛岡商工会議所は商業や工業、地場産業の振興・育成、国際化の推進、文化事業の推進など地域経済の振興にとどまらず地域振興全体を支援している機関です。

経営支援だけでなく、福利厚生支援や人材育成支援も行っており、定期相談会は無料で参加することができます。

岩手県信用保証協会

岩手県信用保証協会は商工会議所及び金融機関が中心となって、中小企業対策の一環を担う社団法人です。

盛岡市に本所があり、岩手県内に6つの支所と4つの相談所があります。中小企業・小規模事業者のライフステージに合わせて金融相談や経営相談を受け付けています。

金融支援だけでなく事業承継ネットワークや各支援機関との連携体制を整えています。

後継者人材バンク

後継者人材バンクは創業希望者と後継者不在の企業や事業主を引き合わせ、創業と事業承継の両方の実現に向けた支援を行う機関です。

創業希望者は後継者人材バンクに登録し後継者不在の企業は相談を行うことで、後継者人材バンクがマッチングを行い双方の希望の実現を目指します。

既存の店舗設備を活用することで、新規で起業するよりもコストを低く抑えられるというメリットがあります。

岩手県のM&A・売却・買収事例

クスリのアオキによるホーマス・キリンヤ、フードパワーセンター・バリューのM&A

ドラッグストアチェーンを展開するクスリのアオキ(石川県白山市)は、岩手県及び宮城県に食品スーパーを展開するホーマス・キリンヤ(岩手県一関市)と、飲食料品及び日用雑貨の仕入業務を手掛けるフードパワーセンター・バリュー(岩手県一関市)を吸収合併しました。

  • 実行時期:2022年1月
  • スキーム:吸収合併
  • 取引価額:非公開
  • 目的:東北地区におけるドミナントの強化

メイホーホールディングスによるエムアンドエムの人材派遣事業のM&A

メイホーホールディングスは福島県、宮城県、山形県を中心に人材派遣事業を展開するスタッフアドバンス(福島県二本松市)を通じて、業務請負などの事業を手掛けるエムアンドエム(岩手県山田町)から人材派遣事業を譲り受ける契約を締結しました。

  • 実行時期:2023年1月
  • スキーム:事業譲渡
  • 取引価額:2,000万円
  • 目的:事業エリアの拡大

公楽による菊の司酒造のM&A

岩手県内を中心にパチンコ事業、飲食業、ドローン事業、日本酒業など幅広く展開する公楽(岩手県盛岡市)は、1772年創業の老舗酒蔵である菊の司酒造(岩手県雫石町)を子会社化しました。

  • 実行時期:2021年3月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:商品開発力の強化

いわぎん農業法人投資事業有限責任組合によるありす畜産への資本参加

岩手県内の農業法人の経営基盤強化と企業価値向上を目的とするいわぎん農業法人投資事業有限責任組合は、岩手県住田町に位置し「ありすぽ~く」という四原種配合豚を飼育する養豚場のありす畜産に資本参加しました。

  • 実行時期:2018年9月
  • スキーム:資本参加
  • 取引価額:非公開
  • 目的:運転資金や設備投資への活用

北映商事によるみちのくオートバックスのM&A

カー用品総合専門店である「オートバックス」、「スーパーオートバックス」を岩手県で手掛ける北映商事は、オートバックスセブンの連結子会社であるみちのくオートバックスから、オートバックス宮古店とオートバックス盛岡西バイパス店を譲り受けました。

  • 実行時期:2018年1月
  • スキーム:事業譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:岩手県内での競争力強化

イリソ電子工業によるエスジーディーのM&A

基盤対基盤コネクタやフローティングコネクタなどを幅広く手掛けるイリソ電子工業は、射出成形金型の設計・制作、金型部品加工を手掛けるエスジーディー(岩手県花巻市)の全株式を取得しました。

  • 実行時期:2022年4月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:生産力の向上

アルコニックスによるジュピター工業のM&A

アルミ、銅、ニッケル、レアメタル・レアアースなどの各種製品と原材料の輸出入、および金属加工を中心とした製造業を手掛けるアルコニックスは、精密プレス金型設計制作やプレス加工を手掛けるジュピター工業(岩手県宮古市)を子会社化しました。

  • 実行時期:2022年4月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:2,000万円
  • 目的:シナジーの獲得

おわりに

岩手県におけるM&A・事業承継の動向や、会社売却・買収事例をご紹介しました。

岩手県でM&Aを行う際は、岩手県で実績のあるM&A仲介会社などの専門家や、全国を対象にM&Aを取り扱う仲介会社を活用することがおすすめです。

各M&A仲介会社は、業種や地域、取引規模、手数料体系などで強みが分かれ、提供しているサービスも異なるため、地域への強みに加え、こうしたポイントも事前に確認しておくとよいでしょう。

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