静岡県のM&A・会社売却・買収事例、事業承継の動向

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現在、静岡県をはじめとした全国の中小企業において、後継者不在や事業の更なる成長を目的としたM&Aが注目を集めています。

本記事では、そうした静岡県のM&A動向を解説するとともに、静岡県における会社売却・買収事例や、事業承継の動向をまとめてご紹介します。

目次

静岡県のM&A・事業承継動向

静岡県の現状

県内の産業

静岡県は東京や大阪などの大消費地に近いという地理的条件を活かして製造業を中心に産業が集積している地域です。

東名高速道路が開通して以降は都市部に本社を持つ企業による静岡県に工場を建設する動きが加速した結果、県内の製造品出荷額は17兆1,539億円(2019年)で全国3位です。

これは全国シェアの5.3%を占めており、東北6県の出荷額に迫る水準であることから静岡県において製造業が盛んであることが分かります。

また、富士山や伊豆半島などの観光資源も豊富で旅館・ホテル数は北海道に次いで3位と、観光県としての一面も備えています。

静岡県「静岡県経済産業ビジョン2022~2025」においても、医療機器産業・電子関連産業・次世代自動車産業などをリーディングセクターとして県内経済を促進するための指標に掲げているほか、県外を本社とする製造業会社による工場の立地件数も推進しており、製造業を中心に据えた経済発展を構想している様子が伺えます。

労働者不足

静岡県では企業の人手不足が2007年以降で過去最低水準に近付きつつあります。

帝国データバンク「人手不足に対する静岡県内企業の動向調査(2022年4 月)」によると、県内企業のうち正社員が不足していると回答した割合は43.9%で2007年以降に記録した最低水準である45.8%(2019年)に迫っています。

コロナ禍により一時的に労働需給が緩んだことで2019年から2020年にかけて28.0%まで急低下しましたが、withコロナに伴い経済活動が再開したことで人手不足が再加速しました。

会社の規模別にみると、大企業の人手不足割合は53.2%であるのに対して小規模企業の同割合は38.3%となっており、企業の規模が大きくなるほど労働力不足に悩んでいることが分かります。

企業は上記のような状況に対応して賃上げによる労働力の確保に動いています。

帝国データバンク「2022 年度の賃金動向に関する静岡県内企業の意識調査」によると、2022年1月時点で54.8%の企業が賃金改善を見込んでおり、そのうち労働力の確保や定着を賃上げの理由と回答した割合は79.4%に及びます。

過去5年の総人件費の見通しをみると企業の人手不足感との相関がみられることから、今後も人材不足が継続する限り人件費を引き上げざるを得ない企業は多いと考えられます。

M&Aによる事業承継の普及が必要

静岡県では全国比でM&Aを通じた事業承継の普及が遅れている可能性が指摘できます。

静岡県の後継者不在率(後継者が「いない」、または「未定」とした企業の割合)は53.6%と全国平均の57.2%よりも低く良好な結果であると言えます。(帝国データバンク「静岡県「後継者不在率」動向調査」、「全国企業「後継者不在率」動向調査(2022)」)

一方で、事業承継の就任経緯をみると「同族承継」が41.2%、「M&Aほか」による承継が17.6%にとどまっています。全国平均は前者が34.0%で後者が20.3%であることから、静岡県内ではM&Aを通じた事業承継に対する理解度が相対的に低い可能性があります。

今後、第三者への承継が一層周知されることで後継者不足のさらなる解消が期待されます。

静岡県のM&A・会社売却・事業承継動向

静岡県では今後も事業承継のニーズは高まっていくことが見込まれます。

県内の社長平均年齢は年々増加しており、2020年には過去最高となる60.7歳まで達しました。80歳以上の割合も4.5%に達しており社長の交代が進んでいない現状が反映されています。(帝国データバンク「静岡県「社長年齢」分析調査(2021年)」)

コロナ以降の2021年、2022年の休廃業・解散数は全国平均を下回っていましたが、2019年の休廃業・解散率は4.57%と全国平均の4.02%を大きく上回っていることから、コロナ終息以降も動向に注視する必要があります。(帝国データバンク「静岡県「休廃業・解散」動向調査(2021年)」)

静岡県でM&A・事業承継を推進するには

M&A仲介会社などの専門家へ相談する

静岡県でM&Aや会社売却を推進する手段として、M&A仲介会社などの専門家に相談する方法があります。

M&A仲介会社とは、M&Aの専門家であるM&Aアドバイザーが売り手企業と買い手企業の間に立って、中立的な立場でM&Aの成立を支援する会社です。

M&Aにおいては法務的な手続きや税務処理、相手企業の選定まで、幅広い領域の専門性が必要不可欠であるため、こうした専門のアドバイザーに相談することは有効な手段の一つと言えます。

M&A仲介会社は得意領域や事業規模によって多数の会社が存在しているため、自社に合った会社を見つけることが重要です。

公的機関や金融機関へ相談する

静岡県事業承継・引継ぎ支援センター

静岡県事業承継・引継ぎ支援センターとは、令和3年4月に静岡県事業引継ぎ支援センターと静岡県プッシュ型事業承継支援高度化事業事務局が統合された機関です。

親族内承継支援、従業員承継支援、第三者承継支援などの事業承継を総合的に支援しています。

2023年1月時点では22名の支援スタッフが在籍しており、事業者のニーズに応じて、事業承継計画策定、事業承継資金の補給、事業承継税制に関するアドバイスなどを無料で受けることができます。

静岡県よろず支援拠点

静岡県よろず支援拠点とは、中小企業・小規模事業者(NPO法人、一般社団法人、社会福祉法人、創業予定者を含む)の相談に応じて経営相談サービスの提供を行う機関で、静岡県では静岡商工会議所静岡事務所内に設置されています。

2023年1月時点では15名のコーディネーターが在籍しています。

売上拡大、経営改善(創業、販路開拓、生産性向上、工場管理、資金繰り、事業承継)、広報(ブランディング、広告デザイン、IT活用)、雇用(労務管理、人手不足対応)、法律(債権回収、損害賠償、不動産、事業再生、知的財産)など多様な相談を無料で行うことができます。

静岡県商工会議所連合会

静岡県商工会議所連合会とは、地域の経済発展に向けて活動している公益経済団体で、静岡県では県内15の商工会議所が会員として組織されています。

各商工会議所の会員は商工者や企業の経営者によって構成されており、経営相談・セミナーの開催などの支援が提供されています。

静岡県信用保証協会

静岡県信用保証協会とは、「信用保証協会法」に基づき設立された認可法人で、中小企業が金融機関から事業資金の融資を受ける際に公的な保証人となることで資金借入を支援する機関です。

開業資金、緊急の資金需要、事業引継ぎ、資金繰りの安定化に向けた借り入れなどあらゆる目的に応じた保証に対応しています。

静岡県のM&A・売却・買収事例

TOKAIホールディングスによる沖縄ケーブルネットワークのM&A

静岡県・神奈川県・千葉県・長野県・岡山県で事業を展開するTOKAIホールディングス(静岡県静岡市)は、ブロードバンドタワー傘下でケーブルテレビ放送事業を手掛ける沖縄ケーブルネットワーク(沖縄県那覇市)の株式70%を取得しました。

  • 実行時期:2022年10月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:ケーブルテレビ事業の拡大

ウェルビングループによる綿仁のM&A

軽自動車の販売から、整備、車検、保険、鈑金修理などのアフターサービスまでを手掛けるウェルビングループ(埼玉県所沢市)は、静岡県東部地区11店舗でガソリンスタンド経営を手掛ける綿仁(静岡県沼津市)の全株式を取得しました。

  • 実行時期:2022年11月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:2億1,140万円
  • 目的:営業エリアの拡大

豊栄会によるきゅう眼科医院のM&A

埼玉・東京で複数の眼科クリニックを展開する医療法人である豊栄会は、緑内障・白内障・網膜硝子体疾患・ロービジョンを中心に最新設備による診療を行う眼科医院であるきゅう眼科医院(静岡県静岡市)から事業を承継しました。

  • 実行時期:2020年1月
  • スキーム:非公開
  • 取引価額:非公開
  • 目的:医療高度化への対応

リサイクルクリーンによるサスダイ工業のM&A

一般廃棄物の収集運搬、産業廃棄物の収集運搬・中間処理、古紙再資源化、建物解体業などを手掛けるリサイクルクリーン(静岡県浜松市)は、基礎鉄筋製造を手掛けるサスダイ工業(静岡県浜松市)を子会社会しました。

  • 実行時期:2019年11月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:経営資源統合によるシナジー創出

アルコニックスによる富士根産業のM&A

電子機能材事業、アルミ銅事業、装置材料事業、金属加工事業を手掛けるアルコニックス(東京都千代田区)は、空調機器向け配管部品の製造を手掛ける富士根産業(静岡県沼津市)の株式95%(既存保有の3%を含む)を取得しました。

  • 実行時期:2020年11月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:3億8,600万円
  • 目的:金属加工に関する製販一体の事業体制整備

静甲による共和テックのM&A

包装機械等の産業機械、冷間鍛造、電機機器、車両関係、不動産等賃貸などを手掛ける静甲(静岡県静岡市)は、組立てロボット等の産業用ロボット、画像検査等の検査装置、液体充填機等の包装機械、木工機械などの産業機械の設計・製造・販売を手掛ける共和テック(静岡県静岡市)の全株式を取得しました。

  • 実行時期:2020年5月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:電機機器事業の拡大

特種東海製紙による駿河サービス工業のM&A

紙類の製造・加工・販売などを手掛ける特種東海製紙(東京都中央区)は、一般及び産業廃棄物収集の運搬・処分、建物解体業、不動産賃貸業などを手掛ける駿河サービス工業(静岡県御殿場市)の全株式を取得しました。

  • 実行時期:2020年1月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:環境関連事業セグメントの立ち上げ

おわりに

本記事のまとめ

静岡県におけるM&A・事業承継の動向や、会社売却・買収事例をご紹介しました。

静岡県でM&Aを行う際は、静岡県で実績のあるM&A仲介会社などの専門家や、全国を対象にM&Aを取り扱う仲介会社を活用することがおすすめです。

各M&A仲介会社は、業種や地域、取引規模、手数料体系などで強みが分かれ、提供しているサービスも異なるため、地域への強みに加え、こうしたポイントも事前に確認しておくとよいでしょう。

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