佐賀県のM&A・会社売却・買収事例、事業承継の動向
現在、佐賀県をはじめとした全国の中小企業において、後継者不在や事業の更なる成長を目的としたM&Aが注目を集めています。
本記事では、そうした佐賀県のM&A動向を解説するとともに、佐賀県における会社売却・買収事例や、事業承継の動向をまとめてご紹介します。
佐賀県のM&A・事業承継動向
佐賀県の現状
県内の産業
佐賀県の事業所数は35,274事業所、従業員数は356,527人です。(さが統計情報館「令和3年経済センサス-活動調査(速報)」)
平成28年調査では事業所数は37,479事業所、従業員数は354,733人であったためいずれも減少しており、減少率は全国比で大きいです。
事業所数を産業大分類別にみると、卸売・小売業が25.9%を占めており全産業の約4分の1を占めています。
また、全国では卸売・小売業の割合が23.6%であるため、県内における卸売・小売業の事業所数が相対的に多いことがうかがえます。
佐賀県庁「佐賀県の商工業」によると、佐賀県における第一次産業の就業者数は就業者全体の8.7.0%を占めており、全国で12番目に高い結果です。
佐賀県の工業を製造品出荷額(平成28年度調査)でみると、食料品が3,389億円で18.7%を、化学(基礎素材型)が1,884億円で10.4%を、輸送機械器具(加工組立型)が1,826億円で10.1%を占めています。
前年と比較すると、非鉄金属(基礎素材型)が512億円増加するなど全体で797億円増加しました。
人口減少
佐賀県では人口減少による労働力の減少が懸念されます。
佐賀県庁「推計人口/令和4年度(2022年度)」によると、佐賀県の人口は1995年をピークに以降は一貫して減少傾向にあります。2022年3月時点での佐賀県の人口は80.3万人でピークからは10%以上減少してます。
近年での人口減少の要因は死亡者数が出生児数を上回ることで生じる自然減少が加速していることです。佐賀県庁「2-2 人口動態」によると、平成元年に2,553人の増加であった自然増減数が平成30年には3,577人の減少に転じています。
社会減少も人口減少に寄与していますが、平成30年時点での社会減少数は1,472人の減少で平成10年以降は1,500人から2500人程度の減少で推移しています。
少子高齢化による自然減少は全国的な傾向で改善することが困難であるため、県外への転出者を抑制することが求められます。
直近の経済動向
2023年1月時点での公表されている経済指標をみると、全体的な景気は持ち直していると言えます。
さが統計情報館「主要経済統計/令和4年度(2022年度)」によると、個人消費を示す百貨店・スーパー販売額は2022年11月には2か月連続で前月比プラスで推移しているほか、乗用車新規登録台数も前年比でプラスに転じています。
企業の生産活動も拡大傾向にあり、九州・沖縄地区における設備投資では前年を上回っています。輸出・鉱工業生産も持ち直しの兆しが見られるために今後の経済活動が一層活発化することが期待されます。
佐賀県のM&A・会社売却・事業承継動向
近年では佐賀県においてM&Aが増加しています。
佐賀新聞「県内企業関連M&A増加 19年、最多の12件」によると、後継者不足に対しての解決策としてM&Aが選択される傾向が強まっていることが指摘されています。
実際、佐賀県の休廃業・解散率は全国でも低い水準にあります。帝国データバンク「全国企業「休廃業・解散」動向調査(2022 年)」によると、2022年における佐賀県の休廃業・解散率は2.59%で全国で6番目に低い結果です。この背景には、後継者の不在が解消されつつあることが挙げられます。
佐賀県の2022における後継者不在率(後継者が「いない」、または「未定」とした企業の割合)は46.8%で2021年の50.7%から大幅に改善しました。
また、2022年の後継者不在率は全国で6番目に良好であるため、他都道府県に対して事業承継が進んでいる地域であると言えます。(帝国データバンク「全国企業「後継者不在率」動向調査(2022)」)
佐賀県でM&A・事業承継を推進するには
M&A仲介会社などの専門家へ相談する
佐賀県でM&Aや会社売却を推進する手段として、M&A仲介会社などの専門家に相談する方法があります。
M&A仲介会社とは、M&Aの専門家であるM&Aアドバイザーが売り手企業と買い手企業の間に立って、中立的な立場でM&Aの成立を支援する会社です。
M&Aにおいては法務的な手続きや税務処理、相手企業の選定まで、幅広い領域の専門性が必要不可欠であるため、こうした専門のアドバイザーに相談することは有効な手段の一つと言えます。
M&A仲介会社は得意領域や事業規模によって多数の会社が存在しているため、自社に合った会社を見つけることが重要です。
公的機関や金融機関へ相談する
佐賀県事業承継・引継ぎ支援センター
佐賀事業承継・引継ぎ支援センターとは、産業競争力強化法に基づいて国から委託を受けて設置された、事業承継を支援する公的相談窓口です。
事業承継に際しての相談を無料で受け付けており、M&A支援会社や各種専門家の紹介も行っています。
認定登録を経た弁護士・会計士・土地家屋調査士・社会保険労務士などの専門家派遣制度のほか、創業を目指す起業家と後継者不在の中小企業とのマッチングを目指す後継者人材バンクなどを運営しています。
佐賀県商工会連合会
佐賀県商工会連合会とは、県内17箇所に設置されている商工会の連合組織で、商工会の運営指導をはじめ、商工会の健全な発達と商工業の振興に寄与するために様々な事業に取り組む組んでいます。
経営指導、金融・専門経営指導、全税務・経理指導、IT化支援、労務支援などの各種支援を受けることができます。
佐賀県よろず支援拠点
佐賀県よろず支援拠点とは、経済産業省が平成26年度から実施する中小企業支援制度で、都道府県毎に設置された無料の経営相談窓口です。
2023年2月時点では33名のスタッフが在籍しています。
県内8カ所のサテライトで月2回~週2回ほどの頻度で相談所を設けているほか、様々なテーマを取り扱うセミナーも実施されています。
佐賀県信用保証協会
佐賀県信用保証協会とは、中小企業者が金融機関から事業資金の融資を受ける際に、「公的な保証人」となって金融の円滑化を図ることを目的として設立された、信用保証協会法に基づく特殊法人です。
信用保証協会とは、信用補完制度(信用保証制度と信用保険制度の総称)において中核的な役割を担っています。
信用保証制度では、中小企業者による事業資金借り入れに際して、信用保証協会が保証料を受領してが公的な保証人になることにより、資金繰りを円滑にすることを目的とします。
信用保険制度では、信用保証協会が日本政策金融公庫と信用保険契約を結び、融資が返済不履行になった場合は金融機関に対し代位弁済を行います。
佐賀県のM&A・売却・買収事例
木下によるアイ・セレモニーのM&A
冠婚葬祭の施行業務、文化事業などを手掛ける木下(福岡県久留米市)は、葬儀事業を手掛けるアイ・セレモニー(佐賀県伊万里市)の株式95%を取得しました。
- 実行時期:2019年9月
- スキーム:株式譲渡
- 取引価額:非公開
- 目的:経営資源の有効活用
大町自動車学校による若楠自動車学校のM&A
自動車教習事業を手掛ける大町自動車学校(佐賀県大町町)は、同業の若楠自動車学校(佐賀県佐賀市)の全株式を取得しました。
- 実行時期:2019年10月
- スキーム:株式譲渡
- 取引価額:非公開
- 目的:自動車教習事業の強化
佐銀ベンチャーキャピタル投資事業有限責任組合第三号によるシーアンドサガダイニングとの資本提携
佐賀銀行が出資し、佐銀キャピタル&コンサルティングが運営する佐銀ベンチャーキャピタル投資事業有限責任組合第三号(佐賀県佐賀市)は、香港で佐賀県食材を提供する飲食店「佐楽(さら)」を運営するシーアンドサガダイニングの1460万円の第三者割当増資、および3500万円の優先株を引き受けました。
- 実行時期:2018年2月
- スキーム:第三者割当増資
- 取引価額:4960万円
- 目的:佐賀県産品の販路拡大
モロフジホールディングスによる多良岳のM&A
農産物生産事業、パッケージ事業、化成品・紙製品製造事業、ロジスティクス事業などを手掛けるモロフジホールディングス(福岡市中央区)は、わさびの栽培・販売、わさび加工品の販売を手掛ける多良岳(佐賀県藤津郡太良町)の全株式を取得しました。
- 実行時期:2019年10月
- スキーム:株式譲渡
- 取引価額:非公開
- 目的:販売する農産物の拡大
友桝ホールディングスによるハクレイ酒造のM&A
ソフトドリンク・健康飲料・酒類の企画・開発・製造・販売を行うグループの持株会社である友桝ホールディングス(佐賀県小城市)は、老舗酒造メーカーであるハクレイ酒造(京都府宮津市)の全株式を取得しました。
- 実行時期:2018年10月
- スキーム:株式譲渡
- 取引価額:非公開
- 目的:後継者不在を背景とした事業承継
巨樹の会による久喜総合病院のM&A
新武雄病院などを運営する一般社団法人巨樹の会(佐賀県武雄市)は、久喜総合病院(埼玉県久喜市)、熊谷総合病院(埼玉県熊谷市)を運営する埼玉県厚生農業協同組合連合会から久喜総合病院を譲受しました。
- 実行時期:2016年4月
- スキーム:事業譲渡
- 取引価額:数十億円
- 目的:経営再建
おわりに
本記事のまとめ
佐賀県におけるM&A・事業承継の動向や、会社売却・買収事例をご紹介しました。
佐賀県でM&Aを行う際は、佐賀県で実績のあるM&A仲介会社などの専門家や、全国を対象にM&Aを取り扱う仲介会社を活用することがおすすめです。
各M&A仲介会社は、業種や地域、取引規模、手数料体系などで強みが分かれ、提供しているサービスも異なるため、地域への強みに加え、こうしたポイントも事前に確認しておくとよいでしょう。
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