宮崎県のM&A・会社売却・買収事例、事業承継の動向
現在、宮崎県をはじめとした全国の中小企業において、後継者不在や事業の更なる成長を目的としたM&Aが注目を集めています。
本記事では、そうした宮崎県のM&A動向を解説するとともに、宮崎県における会社売却・買収事例や、事業承継の動向をまとめてご紹介します。
宮崎県のM&A・事業承継動向
宮崎県の現状
宮崎県の概要
宮崎県の人口は約106.9万人です。また15歳未満の人口は約14.0万人(13.1%)、15~64歳の人口は58.0万人(54.3%)、65歳以上の人口は約17.9万人(32.6%)です。(参照:宮崎県「みやざきの人口早わかり」)
宮崎県は暖流である黒潮の影響で暖かく、年間の日照時間も長いことが特徴です。温暖な気候を利用してキャンプやマリンスポーツが盛んに行われています。
また、海岸部ではほとんど積雪は見られませんが、山間部では雪が積もる地域もありアイススケート場やスキー場があります。
宮崎県では温暖な気候を活かして様々な農業・畜産業が行われています。ビニールハウスを利用したきゅうりやピーマン、宮崎牛をはじめとする肉用牛や豚、ブロイラーが有名です。
宮崎県の製造業
宮崎県の県内総生産は3兆7,402億円です。うち第一次産業が5.3%、第二次産業が25.4%、第三次産業が68.6%になっています。(参照:宮崎県「経済のうごき」)
製造業では食料品、電子部品・デバイス、化学工業などが盛んです。品目別では硝酸、線形回路、ニット製乳幼児用外衣の出荷額が全国で1位になっています。
地域別では事業所の20.9%を宮崎市が占めており、次いで都城市、延岡市となっています。また従業者数の20.2%、出荷額の22.4%を都城市が占めています。
都城市ではゴムの生産が盛んで、次いで食料、飲料となっています。都城市に次いで出荷額の多い延岡市では化学が盛んで、次いで電子、繊維となっています。(参照:経済産業省「我が国の工業」)
宮崎県の事業所
宮崎県の事業所数は48,325事業所で、全国36位です。
産業大分類別に見ると卸売業・小売業が最も多く12,607事業所(25.0%)で、次いで宿泊業・飲食サービス業が6,280事業所(13.0%)、建設業が4,865事業所(10.1%)となっています。
また従業者数は439,315人で、全国37位です。
産業大分類別に見ると卸売業・小売業が最も多く88,069人(20.0%)で、次いで医療・福祉が83,785人(19.1%)、製造業が58,556人(13.3%)となっています。
従業者の割合を全国と比べると宮崎県は医療・福祉で4.9ポイント、農林漁業で2.3ポイント高くなっています。一方製造業で2.1ポイント、情報通信業で2.1ポイント低くなっています。(参照:宮崎県「令和3年経済センサス」)
宮崎県のM&A・会社売却・事業承継動向
日本政策金融公庫の調査によると60歳以上の経営者のうち50%が将来的な廃業を予定しており、そのうち約3割が後継者不足を理由にしています。この課題は宮崎県も例外ではありません。
宮崎県内企業の51.0%が後継者不在であると回答しています。5年ぶりに前年の結果を下回っていますが、依然として半数の企業は後継者がいない、もしくは未定の状態です。
また後継者不在率を社長の年齢別で見ると、50代、70代、80代以上では前年を下回っており、政府の事業承継支援策の効果が表れていると考えられます。
宮崎県は事業承継の支援機関や補助金制度が充実しており、まずは相談してみる事も後継者問題の有効な手段です。
宮崎県でM&A・事業承継を推進するには
M&A仲介会社などの専門家へ相談する
宮崎県でM&Aや会社売却を推進する手段として、M&A仲介会社などの専門家に相談する方法があります。
M&A仲介会社とは、M&Aの専門家であるM&Aアドバイザーが売り手企業と買い手企業の間に立って、中立的な立場でM&Aの成立を支援する会社です。
M&Aにおいては法務的な手続きや税務処理、相手企業の選定まで、幅広い領域の専門性が必要不可欠であるため、こうした専門のアドバイザーに相談することは有効な手段の一つと言えます。
M&A仲介会社は得意領域や事業規模によって多数の会社が存在しているため、自社に合った会社を見つけることが重要です。
公的機関や金融機関へ相談する
宮崎県よろず支援拠点
宮崎県よろず支援拠点は国が設置している無料の経営相談所です。
宮崎市の拠点と5つのサテライトがあり、電話と相談フォームから予約できます。
宮崎県事業承継・引継ぎ支援センター
宮崎県事業承継・引継ぎ支援センターでは事業承継支援だけでなく、ニーズの掘り起こしも行っています。
プッシュ型事業承継診断を実施し、経営者の課題や事業承継ニーズを掘り起こします。
宮崎市事業バトンタッチ支援
宮崎市事業バトンタッチ支援では、事業承継やM&Aを予定している企業(譲渡側)に「引継ぎ準備支援補助金」を、事業承継やM&Aを実施した企業(譲り受ける側)に「引継ぎおめでとう補助金」を、費用の一部として補助しています。
宮崎銀行
宮崎銀行ではM&Aや事業承継を支援しています。
「後継者はいないが、事業を存続させたい」、「子会社や事業の一部を分離したい」、「新規事業に参入したい」などの様々な課題に対応しています。
宮崎県のM&A・売却・買収事例
Misumiによる石井商店のM&A
南九州を中心にエネルギー、ライフスタイル、フード&ビバレッジの領域で事業を展開するMisumiは、宮崎県を中心にLPガスおよび器具の販売を行う石井商店(宮崎県宮崎市)の株式を取得し子会社化しました。
- 実行時期:2022年5月
- スキーム:株式譲渡
- 取引価額:非公開
- 目的:宮崎県での事業拡大
リテールパートナーズによる戸村精肉本店のM&A
グループ企業を通して九州・中国地方で269店舗のスーパーマーケットを運営するリテールパートナーズは、地場スーパー4店舗とレストラン1店舗を展開する戸村精肉本店(宮崎県日南市)の全株式を取得し子会社化しました。
- 実行時期:2021年3月
- スキーム:株式譲渡
- 取引価額:非公開
- 目的:ドミナント戦略の一環
スタートトゥデイによるアラタナのM&A
ファッションショッピングサイトZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイ(現:ZOZO)は、ECサイト構築やWEBマーケティングを手掛けるアラタナ(宮崎県宮崎市)を株式交換により完全子会社化しました。
- 実行時期:2015年5月
- スキーム:株式交換
- 取引価額:非公開
- 目的:ファッションブランド多様化への対応
キヤノンによる宮崎ダイシンキヤノンのM&A
カメラ・ビデオをはじめとする映像機器や、プリンタ・複写機などの事務機器の製造・販売を手掛けるキヤノンは、デジタルカメラを製造する宮崎ダイシンキヤノン(宮崎県木城市)を株式交換により完全子会社化しました。
- 実行時期:2017年6月
- スキーム:株式交換
- 取引価額:非公開
- 目的:カメラ市場での地位向上
ナガワによる住重ナカミチハウスのM&A
大型商業施設、事務所、店舗などの工事やユニットハウスの企画・製造・販売を手掛けるナガワは、ユニットハウスメーカーの住重ナカミチハウス(宮崎県都城市)からユニットハウスとプレハブハウスの製造・販売・レンタル事業を取得しました。
- 実行時期:2009年1月
- スキーム:事業譲渡
- 取引価額:非公開
- 目的:九州地区での事業拡大
日創プロニティによる天神製作所のM&A
福岡県に拠点を置き金属材料の板金加工・組立・塗装を手掛ける日創プロニティは、畜産排泄物処理プラントの設計・製造を手掛ける天神製作所(宮崎県都城市)の全株式を取得し子会社化することを決議しました。
- 実行時期:2023年3月
- スキーム:株式譲渡
- 取引価額:8億4,000万円
- 目的:金属加工事業の拡大
興電舎による野田電気興業のM&A
電気・計装・電力設備の保全設計・保全サービスや太陽光発電のパネル設置を手掛ける興電舎(宮崎県延岡市)は、九州を拠点に住宅用機器・設備用機器・関連部材の卸売を手掛ける野田電気工業の全株式を取得しました。
- 実行時期:2017年5月
- スキーム:株式譲渡
- 取引価額:非公開
- 目的:大分県での事業拡大
おわりに
本記事のまとめ
宮崎県におけるM&A・事業承継の動向や、会社売却・買収事例をご紹介しました。
宮崎県でM&Aを行う際は、宮崎県で実績のあるM&A仲介会社などの専門家や、全国を対象にM&Aを取り扱う仲介会社を活用することがおすすめです。
各M&A仲介会社は、業種や地域、取引規模、手数料体系などで強みが分かれ、提供しているサービスも異なるため、地域への強みに加え、こうしたポイントも事前に確認しておくとよいでしょう。
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