京都府のM&A・会社売却・買収事例、事業承継の動向

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現在、京都府をはじめとした全国の中小企業において、後継者不在や事業の更なる成長を目的としたM&Aが注目を集めています。

本記事では、そうした京都府のM&A動向を解説するとともに、京都府における会社売却・買収事例や、事業承継の動向をまとめてご紹介します。

目次

京都府のM&A・事業承継動向

京都府の現状

京都府の産業動向

京都府では、平安時代から江戸時代まで都であった歴史の中で独自の伝統技術が発展してきました。

伝統産業とは、伝統的な技術と技法で日本の文化や生活に結びついている製品などを作り出す産業を指します。京都市では平成17年に施行された京都市伝統産業活性化推進条例第2条に基づいて、西陣織や京友禅など74品目が京都市の伝統産業に指定されています。(京都市統計ポータル「京都市統計書」)

京都府全体の産業をみると、府内の事務所数は全国の2.1%を、従業員数は全国の2.0%を占めています。

京都府「平成28年経済センサス-活動調査確報集計結果概要」によると、卸売・小売業の事務所数が産業全体に占める割合(25.5%)が最も高くなっており、次いで宿泊業・飲食サービス(13.4%)、製造業(11.9%)の割合が大きく、上位3産業で5割を超えています。京都府では京都市に産業が集中しており、府内の事務所および従業員のうちそれぞれ62.6%、65.0%を京都市が占めています。

産業別の売上高は、全体の31.9%を占める卸売・小売業が最も多いほか、金融・保険業(11.4%)が全国比で3.9ポイント、製造業(23.6%)が全国比で2.7ポイント高くなっています。

中小企業の動向

京都府の中小企業の景況感は2022年第3四半期(7~9月期)調査においてわずかに改善しています。

京都府「第144回京都市中小企業経営動向実態調査」によると、第三四半期の中小企業における企業景気DI(景況感や業況判断の方向性を示す指標で、50%を目安として数カ月連続して上回っているときは景気拡大期にあるとされる)は、製造業で51.2(前期比+3.8ポイント)、非製造業で56.1(前期比-1.3ポイント)、全産業で53.5(前期比+1.1ポイント)と産業全体では基準値となる50を上回りました。

コロナによる行動制限が緩和されてきていることが業況が改善している要因のひとつとして挙げられています。コロナ禍の影響を最も受けた観光業のDIは前期比ではわずかに減少しているものの、75.5と人の流れが回復しつつあることが分かります。

第四四半期に向けての見通しでは製造業・非製造業ともにDIは低下することが予測されています。仕入れ価格の高騰による受注減や人件費の高騰による利益減が懸念されており、資金力や価格転嫁力がない中小企業においては厳しい経営環境になるとみられていました。

府内の経済

京都府全体でみても、経済活動正常化に向けての期待感が高まっています。

京都商工会議所「経営経済動向調査」によると、2022年10~12月期の国内景気BSI(プラスならば「強気」「楽観」を、マイナスならば「弱気」「悲観」を意味する)は11.5で、前期(2022年7~9月)の-0.4から大幅に改善しました。2023年第一四半期には海外経済に対する不透明感や全国旅行支援制度の見直しなどにより0.6まで落ち込みますが、第二四半期には6.6までの拡大が見込まれます。

経済の回復が期待される一方で労働力不足が加速しています。

2022年11月時点で、正規雇用者が「不足している」と回答したのは53.0%と、半数以上の企業で正規雇用者が不足していたことが分かります。「応募が少ない」ことが雇用における一番の課題とされているため、企業からすると今後の労働市場次第ではさらなる人件費の増加が懸念されます。

京都府のM&A・会社売却・事業承継動向

京都府は全国比で事業承継が進んでいます。

帝国データバンク「全国企業「後継者不在率」動向調査(2022)」によると、全国の後継者不在率(後継者が「いない」、または「未定」とした企業の割合)は57.2%である一方、京都府の後継者不在率は50.8%と大幅に良好な結果であるといえます。

社長年齢は全国平均と等しい60.3歳ですが、後継者が不足している都道府県と比較して後継者不在を理由とする休廃業・解散は少ないと考えられます。(帝国データバンク「全国「社長年齢」分析調査(2021年)」)

実際帝国データバンク「全国企業「休廃業・解散」動向調査(2022年)」によると、2022年における京都府の休廃業・解散率は3.01%であるのに対して、全国平均は3.66%です。

M&Aなど第三者への承継が加速することで後継者不在による休廃業・解散を一層減少させることができます。

京都府でM&A・事業承継を推進するには

M&A仲介会社などの専門家へ相談する

京都府でM&Aや会社売却を推進する手段として、M&A仲介会社などの専門家に相談する方法があります。

M&A仲介会社とは、M&Aの専門家であるM&Aアドバイザーが売り手企業と買い手企業の間に立って、中立的な立場でM&Aの成立を支援する会社です。

M&Aにおいては法務的な手続きや税務処理、相手企業の選定まで、幅広い領域の専門性が必要不可欠であるため、こうした専門のアドバイザーに相談することは有効な手段の一つと言えます。

M&A仲介会社は得意領域や事業規模によって多数の会社が存在しているため、自社に合った会社を見つけることが重要です。

公的機関や金融機関へ相談する

京都府事業承継・引継ぎ支援センター

京都府事業承継・引継ぎ支援センターとは、国からの委託事業として京都商工会議所内に設置されている公的機関です。

引継ぎ者探し、事業価値試算、譲渡契約書案作成、資金調達サポート、事業計画書作成などにおいて支援を受けることができます。

2023年1月時点で9名の専門家が在籍しています。

京都府よろず支援拠点

京都府よろず支援拠点とは、国が各都道府県に設置している無料の経営相談所で、有料の経営コンサルティングを受けることが難しい中小企業・小規模事業者を支援するために国が設置した公的機関です。

2023年1月時点では13名のコーディネーターが在籍しています。

売上拡大、経営改善(創業、販路開拓、生産性向上、工場管理、資金繰り、事業承継)、広報(ブランディング、広告デザイン、IT活用)、雇用(労務管理、人手不足対応)、法律(債権回収、損害賠償、不動産、事業再生、知的財産)など多様な相談を行うことができます。

京都商工会議所連合会

京都府商工会議所連合会とは、各地域の商工業の総合的な改善・発達・振興を図る公益経済団体です。

京都府では、36の商工会(支所含む)、8つの商工会議所があります。

連合会は、要望活動、各会議所の会員が有する経営課題をテーマにした支援事業の共同実施、府内商工会議所の役員・議員懇談会、先進地視察調査などに取り組んでおり、会員は各商工会で無料で経営相談することができます。

京都信用保証協会

京都信用保証協会とは、中小企業・小規模事業者が金融機関から事業資金の融資を受ける際に、公的な保証人となることで借入れを円滑にする公的機関です。

融資枠の拡大のための当座貸越(貸付専用型)根保証制度・事業者カードローン当座貸越根保証制度や、小規模事業者向けの小口零細企業保証制度・無担保無保証人保証制度など、目的別に最適な保証制度を活用できます。

ライフステージに応じた経営支援も行われており、創業支援、海外展開支援、事業承継支援などに関する相談をすることができます。

京都府のM&A・売却・買収事例

中央倉庫によるテスパックのM&A

倉庫業、貨物運送業、通関業、梱包業、包装資材の加工・販売を手掛ける業中央倉庫(京都府京都市)は、梱包輸送や梱包資材の製造・販売を手がけるテスパック(京都府京都市)の全株式を取得しました。

  • 実行時期:2023年1月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:梱包事業の体制強化

カゴヤHDによるミップのM&A

図書管理クラウドサービス、グローバルマーケティングコンサルティング、人工衛星の開発・運用などを手掛けるカゴヤHDは(京都府京田辺市)、企業向けのホームページ制作、ASPサービス、ホスティングなどのWebソリューション事業を手掛けるミップ(大阪市⼤阪市)の全株式を取得しました。

  • 実行時期:2022年9月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:DX⽀援サービスのラインナップ拡充

メディアスホールディングスによる佐野器械のM&A

医療機器販売事業、ソリューション事業、介護・福祉事業を手掛けるメディアスホールディングス(東京都千代田区)は、医療機器販売・修理を手掛ける佐野器械(京都府京都市)の全株式を取得しました。

  • 実行時期:2021年9月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:医療機器の販売エリア拡大

明光ネットワークジャパンによるケイ・エム・ジーコーポレーションのM&A

明光義塾を直営とフランチャイズの2方式で全国約2000教室を展開する明光ネットワークジャパン(東京都新宿区)は、個別指導塾「明光義塾」フランチャイジーのケイ・エム・ジーコーポレーション(京都府京都市)の全株式を取得しました。

  • 実行時期:2018年12月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:明光義塾チェーン全体の競争力強化

ベストワンドットコムによるえびす旅館のM&A

クルーズ旅行・船旅を専門としたオンライン・トラベル・エージェント事業を手掛けるベストワンドットコム(東京都新宿区)は、GLOBAL NETWORK(京都府京都市)からえびす旅館(京都府京都市)の全株式を取得しました。

  • 実行時期:2018年12月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:ホテル・旅館・ホステル事業への展開

武蔵精密工業による浅田可鍛鋳鉄所のM&A

輸送用機械器具の製造および販売を手掛ける武蔵精密工業(愛知県豊橋市)は、自動車・建設機械・産業機械用の球状黒鉛鋳鉄(ダクタイル)の鋳造、機械加工などを手掛ける浅田可鍛鋳鉄所(京都府福知山市)の全株式を取得しました。

  • 実行時期:2018年10月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:生産体制の強化、商品開発力の向上

友桝ホールディングスによるハクレイ酒造のM&A

「こどもびいる」や、地域の物語を織り込んだ「地サイダー」等を製造する友桝飲料(佐賀県小城市)は、持株会社である友桝ホールディングスを通じて、日本酒・リキュール類の製造販売、全酒類卸売業、和・洋菓子製造(蔵Sweets白嶺舎)、観光酒蔵を手掛けるハクレイ酒造(京都府宮津市)の全株式を取得しました。

  • 実行時期:2018年10月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:酒造事業の横展開

おわりに

本記事のまとめ

京都府におけるM&A・事業承継の動向や、会社売却・買収事例をご紹介しました。

京都府でM&Aを行う際は、京都府で実績のあるM&A仲介会社などの専門家や、全国を対象にM&Aを取り扱う仲介会社を活用することがおすすめです。

各M&A仲介会社は、業種や地域、取引規模、手数料体系などで強みが分かれ、提供しているサービスも異なるため、地域への強みに加え、こうしたポイントも事前に確認しておくとよいでしょう。

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