高知県のM&A・会社売却・買収事例、事業承継の動向

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現在、高知県をはじめとした全国の中小企業において、後継者不在や事業の更なる成長を目的としたM&Aが注目を集めています。

本記事では、そうした高知県のM&A動向を解説するとともに、高知県における会社売却・買収事例や、事業承継の動向をまとめてご紹介します。

目次

高知県のM&A・事業承継動向

高知県の現状

第一次産業が盛んな産業構造

高知県は温暖な気候を活かした第一次産業が盛んです。

日本銀行「統計でみる高知県のすがた」によると、高知県は森林面積割合(83.3%)、年間日照時間(2,310時間)、年間降水量(3,238mm)において全国トップです。

年平均気温も全国トップクラスであるため地理的条件を活かした第一次産業の比率が高いです。

各産業が総生産に占める割合をみると、高知県では農林水産業が県内総生産の3.6%を占めるのに対して全国では国内総生産の1%に留まっています。

また、全体に占める農林水産業の事業所数は1.4%(全国は0.8%)、従業者数は1.9%(全国は0.8%)と、県内における農林水産業の重要度がうかがえます。

高知県では農業生産性の高さも特徴的です。

2020年度における農業産出額は1,113億円で全国28位ですが、1haあたりの産出額は全国1位です。農産物の構成比をみると、なす・みょうが・ショウガなどの比率が高く、これらはいずれも収穫量が全国1位です。

一方、林業においては改善の余地が見られます。森林面積が全国1位である一方、林業産出額は72億円で全国17位に相当します。

全国で2番目に小さい経済規模

高知県の2019年における県内名目総生産は2兆4,646億円で鳥取県に次いで2番目に小さいです。(日本銀行「統計でみる高知県のすがた」)

令和3年度の県内の事業所数は35,258事業所で全国45位、従業者数は275,520人で全国46人と、労働力の少なさが経済規模に直結している様子が分かります。(高知県産業振興推進部統計分析課「令和3年経済センサス-活動調査(速報)-高知県分(結果の要約)-」)

製造業が活発でないことも要因の一つです。

製造品出荷額は5,471億円で沖縄県に次いで2番目に少ないです。総生産に占める割合も全国での20.1%に対して高知県では8.7%と、全国比で11.4ポイント小さいです。

全国では輸送用機械、食料品、化学が出荷額の上位を占めますが、高知県では食料品、パルプ・紙、窯業・土石が上位を占めており、産業構造が異なることがわかります。

労働力の減少

高知県では人口減少に伴う労働力不足が懸念されます。

高知県産業振興推進部統計分析課「高知県の推計人口月報(令和5年2月1日現在)」によると、直近の人口は672,724人で前月比で1,093人減少しました。高知県では1980年代以降人口が減少しており、2000年の80万人から15%以上減少しています。

2000年以降社会減少が増加したことで人口減少が加速しましたが、現在では社会減少は一定であるものの自然減少が拡大している状況です。(日本銀行「統計でみる高知県のすがた」)

年齢構成も高齢化が進行しており、年少人口割合は10.79%で全国44位、生産年齢人口割合は53.70%で全国45位と、将来的にも労働力が減少することが予測されます。

全国の労働力は2010年代半ばから緩やかな増加傾向にありますが、高知県では減少傾向が継続しています。近年は横ばいで推移していましたが2020年から2021年にかけて減少しました。

県内全体の労働力は減少している一方で、女性の労働力率(15歳以上の人口に占める労働力人口の割合)は上昇しています。

高知県では2015年から2020年にかけて全年齢層で女性の労働力率が上昇しており、25歳以上の全年齢層で全国平均を上回っています。

高知県のM&A・会社売却・事業承継動向

高知県では倒産件が減少している一方、休廃業・解散件数が増加しています。

高知新聞「高知県内で休廃業・解散の企業237件、高水準続く2021年 倒産はコロナ禍支援で過去最少」によると、2021年において高知県内で休廃業もしくは解散した企業数は237件で、2000年以降で5番目に多い水準でした。

休廃業・解散件数は増加件数にある一方で、コロナ禍での資金支援により倒産件数は減少したことで倒産件数に対する休廃業・解散件数の倍率は13.9倍まで上昇しました。

後継者不足が要因の一つと考えられており、高知県の社長平均年齢は61.8歳で全国で4番目に高い水準でした。(帝国データバンク「全国「社長年齢」分析調査(2021年)」)

長引くコロナにより事業継続に対しての意欲が失われたことで、今後も休廃業・解散件数が高止まりすることが警戒されています。

高知県でM&A・事業承継を推進するには

M&A仲介会社などの専門家へ相談する

高知県でM&Aや会社売却を推進する手段として、M&A仲介会社などの専門家に相談する方法があります。

M&A仲介会社とは、M&Aの専門家であるM&Aアドバイザーが売り手企業と買い手企業の間に立って、中立的な立場でM&Aの成立を支援する会社です。

M&Aにおいては法務的な手続きや税務処理、相手企業の選定まで、幅広い領域の専門性が必要不可欠であるため、こうした専門のアドバイザーに相談することは有効な手段の一つと言えます。

M&A仲介会社は得意領域や事業規模によって多数の会社が存在しているため、自社に合った会社を見つけることが重要です。

公的機関や金融機関へ相談する

高知県事業承継・引継ぎ支援センター

高知県事業承継・引継ぎセンターとは、令和3年4月に高知県事業引継ぎ支援センターと高知県事業承継ネットワーク事務局が統合された、事業承継についてワンストップで相談できる窓口です。

高知県では、高知商工会議所が四国経済産業局から受託し運営しています。

県内の商工団体、金融・保険関係及び保証協会、士業関係団体、国・県関係団体などから構成されており、創業を目指す個人の方と後継者不在の中小企業をマッチングする後継者バンクなどのネットワークを形成しています。

高知県よろず支援拠点

高知県よろず支援拠点とは、平成26年度から国が全国に設置した無料の経営相談所で、高知県では高知県産業振興センター内に設置されています。

中小企業・小規模事業者、NPO法人・一般社団法人・社会福祉法人などの中小企業・小規模事業者に類する方、創業予定の方を対象に、経営上の課題に関する相談を無料で受け付けています。

2023年2月時点で、17名のコーディネーターが在籍しています。

コーディネーターが講師で定員5名という少人数環境でのセミナーも実施されており、セミナー終了後にはコーディネーターと個別の経営相談も可能です。

高知県商工会連合会

高知県商工会連合会とは、国や都道府県の小規模企業施策(経営改善普及事業)の実施機関で、地域の事業者が業種に関わりなく会員となり互いの事業の発展や地域の発展のために総合的な活動を行う経済団体です。

高知県には33つの商工会と6つの商工会議所が設置されています。

小規模事業者持続化補助金や商工貯蓄共済などの支援のほか、各商工会では経営相談も受け付けています。

高知県信用保証協会

高知県信用保証協会とは、信用保証協会法に基づいて内閣総理大臣と経済産業大臣から設立の認可を受けた特殊法人で、中小企業者などが、金融機関から事業資金の融資を受ける際に、金融上の「公的保証人」となることで資金調達の円滑化を図ることを目的としています。

高知県内に住所または事業所がある個人や、高知県内に本店または事業所がある法人で、資本金・従業員数などの企業規模や業種の条件を満たす事業者が利用できます。

創業、小規模事業の実施、借入枠の確保・継続利用、低コストでの資金調達、支援機関等を利用した経営改善、不動産・動産(売掛債権等)を活用した資金調達、事業継承など目的に応じた保証制度を取り扱っています。

高知県のM&A・売却・買収事例

ウエルシアHDによるよどやのM&A

ドラッグストア事業や介護事業などを手掛けるウエルシアHD(東京都千代田区)は、高知県内に24店舗のドラッグストアを展開するよどや(高知県高知市)の株式を取得し株式の保有割合を50.1%まで高めました。

  • 実行時期:2019年10月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:ノウハウや人材などの経営資源の共有

四電工による関西設備のM&A

首都圏で電気設備工事業などを展開する四電工(香川県高松市)は、高知県内において空調設備工事、給排水・衛生設備工事などを手掛ける関西設備(高知県高知市)の全株式を取得しました。

  • 実行時期:2019年8月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:四国における総合設備企業としての基盤強化

極洋によるクロシオ水産との資本提携

市販品食品や業務用食品の製造販売を手掛ける極洋(東京都港区)は、マダイなどの養殖を手掛けるクロシオ水産(高知県大月町)への70%の出資により資本参加することに合意しました。

  • 実行時期:2019年8月
  • スキーム:資本提携
  • 取引価額:非公開
  • 目的:調達力の多様化

萩原工業による東洋平成ポリマーのM&A

合成樹脂加工製品事業などを手掛ける萩原工業( 岡山県倉敷市)は、合成樹脂製包装資材および加工品の製造・販売を手掛ける東洋平成ポリマー(高知県高知市)の全株式を取得しました。

  • 実行時期:2018年5月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:合成樹脂加工における共通技術の一体化

旭食品によるマスダのM&A

トモシアホールディングスの傘下で食品卸売業を手掛ける旭食品(高知県南国市)は、アサヒビールからアサヒグループホールディングスの孫会社で酒類卸を手掛けるマスダ(大阪府大阪市)の全株式を取得しました。

  • 実行時期:2017年6月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:関西地区での酒類販売事業拡大

技研製作所によるジェイスチールグループのM&A

建設関連機械の技研製作所(高知県高知市)は、オーストラリアで建設工事向け鋼材の仕入れ販売などを手掛けるジェイスチールグループの株式50.1%を取得しました。

  • 実行時期:2017年11月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:9億5,800万円
  • 目的:くい圧入技術の海外展開

おわりに

本記事のまとめ

高知県におけるM&A・事業承継の動向や、会社売却・買収事例をご紹介しました。

高知県でM&Aを行う際は、高知県で実績のあるM&A仲介会社などの専門家や、全国を対象にM&Aを取り扱う仲介会社を活用することがおすすめです。

各M&A仲介会社は、業種や地域、取引規模、手数料体系などで強みが分かれ、提供しているサービスも異なるため、地域への強みに加え、こうしたポイントも事前に確認しておくとよいでしょう。

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