神奈川県のM&A・会社売却・買収事例、事業承継の動向

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現在、神奈川県をはじめとした全国の中小企業において、後継者不在や事業の更なる成長を目的としたM&Aが注目を集めています。

本記事では、そうした神奈川県のM&A動向を解説するとともに、神奈川県における会社売却・買収事例や、事業承継の動向をまとめてご紹介します。

目次

神奈川県のM&A・事業承継動向

神奈川県の現状

神奈川県の人口と産業

神奈川県の人口は約923万人で全国2位と非常に人口の多い県です。15歳未満の人口は約106.5万人(11.8%)、15~64歳の人口は562.7万人(62.4%)、65歳以上の人口は232.4万人(25.8%)です。(参照:神奈川県「神奈川県年齢別人口統計調査結果報告」)

神奈川県は東京に近く人口も多いため、多くの事業所があります。

神奈川にある事業所数は全国の5.4%を占め、従業者数は全国の6.1%を占めます。特に「不動産・物品賃貸業」、「教育・学習支援業」、「医療・福祉」に関する事業所が多くなっています。

従業者数では「学術研究、専門・技術サービス業」、「情報通信業」、「不動産業・物品賃貸業」の割合が高くなっています。(参照:神奈川県「わたしたちの神奈川県」)

神奈川県の製造業

神奈川県の製造業で出荷額が特に高いのは輸送用機械、化学工業、食料品などです。工業が盛んな理由として近くに横浜港があり、工業製品の輸送に便利であることが挙げられます。

またレンズ付き写真フィルム、写真用印画紙などの出荷額は全国で1位になっています。

市町村別では事業所数の32.3%を横浜市が占めており、次いで川崎市、相模原市となっています。従業者数も26.5%を横浜市が占めており、次いで川崎市、相模原市となっています。

出荷額では川崎市が23.6%を占めており、次いで横浜市、相模原市となっています。横浜市や川崎市には主に埋立地を利用した京浜工業地帯があり、そのためこれらの市での出荷額が高くなっていると考えられます。(参照:経済産業省「我が国の工業」)

神奈川県内企業の後継者問題

神奈川県内企業の後継者不在率は72.3%で、後継者問題は深刻化しています。後継者問題の解決のため、M&Aや事業承継を考えている企業が増えています。

事業承継にかかる期間は3~5年と考えている企業が29.0%で最も多く、3年以上と考える企業は53.3%に上りました。このことから一般的に事業承継には長い期間がかかり、早期に考えておく必要があると分かります。

また移行期間が3年以上であると考える大企業は40.4%、中小企業では55.1%、小規模企業では63.5%でした。事業承継の長期にわたる傾向は、企業規模が小さい程強まっています。(参照:帝国データバンク「事業承継に関する神奈川県内企業の意識調査」)

神奈川県のM&A・会社売却・事業承継動向

神奈川県の社長平均年齢は年々上がっており、それに伴って後継者不在問題も深刻になっています。

神奈川県の企業では後継者問題の解決のためにM&Aが積極的に行われています。2020年の神奈川県のM&A件数は156件で、うち買い手・売り手ともに県内企業のM&Aが10件、買い手のみ県内企業のM&Aが56件、売り手のみ県内企業のM&Aが90件でした。(参照:レコフ「神奈川県のM&A」)

一方、M&Aは長期間かかることもあるため、事前にM&A仲介会社や公的機関に相談しておくことが有効です。

神奈川県でM&A・事業承継を推進するには

M&A仲介会社などの専門家へ相談する

神奈川県でM&Aや会社売却を推進する手段として、M&A仲介会社などの専門家に相談する方法があります。

M&A仲介会社とは、M&Aの専門家であるM&Aアドバイザーが売り手企業と買い手企業の間に立って、中立的な立場でM&Aの成立を支援する会社です。

M&Aにおいては法務的な手続きや税務処理、相手企業の選定まで、幅広い領域の専門性が必要不可欠であるため、こうした専門のアドバイザーに相談することは有効な手段の一つと言えます。

M&A仲介会社は得意領域や事業規模によって多数の会社が存在しているため、自社に合った会社を見つけることが重要です。

公的機関や金融機関へ相談する

神奈川県よろず支援拠点

神奈川県よろず支援拠点では中小企業や小規模企業に対して経営課題に関するアドバイスや、地域の支援機関への紹介を行っています。横浜市にある本部では平日9時から17時まで、サテライト拠点では月・水・金曜日の9時から17時まで相談を受け付けています。

神奈川県事業承継・引継ぎ支援センター

神奈川県事業承継・引継ぎ支援センターでは親族内承継や第三者への事業承継など、事業承継に関する課題に対してアドバイスを行っています。専門的な知識を有するスタッフから無料でアドバイスを受けることができます。

横浜企業経営支援財団

横浜企業経営支援財団では後継者問題を抱えている企業の相談を受け付けています。相談は訪問でも受け付けており、事業承継・M&Aに関する助成金の紹介を無料で受けることができます。

横浜銀行

横浜銀行は中小企業庁が創設した「M&A支援機関登録制度」のM&A支援機関として認定されています。ソリューション営業部企業情報グループの約20名のスタッフが、M&Aサービスを提供しています。

神奈川県信用保証協会

神奈川県信用保証協会では、事業承継を考えている企業に対して保証制度や外部専門家派遣などのサポートを行っています。神奈川県事業承継・引継ぎ支援センターと相談業務の連携を行っています。

神奈川県のM&A・売却・買収事例

YCP Lifemateによる山口獣医科病院のM&A

投資事業やコンサルティング事業を展開するYCPグループは傘下のライフメイト動物病院を運営するYCP Lifemateを通じて、神奈川県で動物病院を運営する山口獣医科病院(神奈川県大和市)の動物病院事業を譲り受けました。

  • 実行時期:2018年5月
  • スキーム:事業譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:予防医療・高度医療の拡充

JPホールディングスによるアメニティライフのM&A

保育園や学童クラブ、児童館の運営などの子育て支援事業を手掛けるJPホールディングスは、神奈川県横浜市で5園の保育所を運営するアメニティライフを吸収合併しました。

  • 実行時期:2021年11月
  • スキーム:吸収合併
  • 取引価額:非公開
  • 目的:子育て支援サービスの向上と子育て支援プログラムの強化

平安レイサービスによるさがみライフサービスとシンエイ・クリエート・サービスのM&A

神奈川県平塚市に拠点を置き冠婚葬祭事業・介護事業・互助会事業などを手掛ける平安レイサービスは、1998年創立で葬儀事業を手掛けるさがみライフサービスと、神奈川県でビジネスホテルを展開するシンエイ・クリエート・サービスを子会社化しました。

  • 実行時期:2019年1月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:神奈川県での事業力強化

アートクレーンによる塚本工務店のM&A

地盤調査・地盤改良事業・クレーン事業などを手掛けるアートクレーン(現アートフォースジャパン)は、神奈川県小田原市で土木工事や建築営繕工事などを手掛ける塚本工務店を子会社化しました。

  • 実行時期:2017年4月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:両社によるシナジー効果

スマイルダイニングによる「パティスリー雪乃下」事業のM&A

神奈川県横浜市に拠点を置き、鎌倉市と横浜市で居酒屋やハワイ料理のフードトラックを手掛けるスマイルダイニングは、高級レストランからラーメン店・居酒屋まで幅広く展開するエイトから「パティスリー雪乃下」の事業を譲り受けました。

  • 実行時期:2020年2月
  • スキーム:事業譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:事業内容の拡大

安田倉庫によるエーザイ物流のM&A

医薬品を含む物流事業、ITキッティング、文書保管・情報管理などを手掛ける安田倉庫は、医薬品の物流や包装・表示・保管を手掛け全国に物流拠点を持つエーザイ物流(神奈川県厚木市)を子会社化することを決めました。

  • 実行時期:2023年3月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:医薬品物流事業の強化

ロピア・ホールディングスによるスーパーバリューのM&A

埼玉県・千葉県・東京都でスーパーマーケットを24店舗、スーパーマーケットとホームセンターの複合施設を10店舗運営するスーパーバリューは、神奈川県川崎市に拠点を置き、全国で65店舗のスーパーマーケットを手掛けるロピアホールディングスに対し第三者割当を行いロピアの子会社になりました。

  • 実行時期:2022年8月
  • スキーム:第三者割当増資
  • 取引価額:非公開
  • 目的:店舗のエリア補完、商品提供

おわりに

本記事のまとめ

神奈川県におけるM&A・事業承継の動向や、会社売却・買収事例をご紹介しました。

神奈川県でM&Aを行う際は、神奈川県で実績のあるM&A仲介会社などの専門家や、全国を対象にM&Aを取り扱う仲介会社を活用することがおすすめです。

各M&A仲介会社は、業種や地域、取引規模、手数料体系などで強みが分かれ、提供しているサービスも異なるため、地域への強みに加え、こうしたポイントも事前に確認しておくとよいでしょう。

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