家具・オフィス業界のM&A・売却・買収事例、業界動向

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家具・オフィス業界は近年M&Aが活発な業界の一つです。家具・オフィス業界は異業種からの参入が多く、新規参入のためのM&Aも少なくありません。

本記事では、そうした家具・オフィス業界の市場動向を解説するとともに、家具・オフィス業界におけるM&Aのメリット、今後のM&A動向、買収事例をまとめてご紹介します。

目次

家具・オフィス業界の概要・市場動向

家具・オフィス業界とは

家具・オフィス業界とは、椅子やベッドなどの家具からキッチン用品やバス用品などの生活雑貨まで、幅広く取り扱っている業界を指します。

家具の開発だけでなく、顧客のニーズに合わせてインテリアを提案する空間デザインも家具・オフィス業界に入ります。

家具・オフィス業界は企業によってコンセプトが異なり、ターゲットとなる消費者のニーズに合わせて家具を開発・販売します。オーダーメイドの高級家具から、量産型のリーズナブルな家具を販売するメーカーまで様々です。

一般的に大手家具メーカーは開発から販売まで行い、中小企業は販売のみ行います。大手家具メーカーにニトリ、良品計画、イケア・ジャパンなどが挙げられます。

家具・オフィス業界の市場動向

家具需要の回復

家具・オフィス業界は住宅業界の動向に影響を受けやすいと言われています。理由は引越しや住宅リフォームの際に家具を買い替える人が多いためです。

国土交通省「建築着工統計調査報告書」によると、2021年の新設住宅着工戸数は865,909件で前年比6.6%増でした。

新築戸数は2020年まで減少が続いていましたが、2021年に増加に転じたことは家具業界の生産額にもプラスに働いていると考えられます。

さらに2021年に入り、ホテルやオフィスが再開し需要が回復してきたため、大口の発注も増えつつあります。

生活雑貨需要の拡大

近年のインターネット通販やフリマアプリの台頭によって消費者の購買活動は多様化しました。

大型家具の需要が頭打ちになり、家具メーカーは新たな販売戦略を求められています。

その戦略の一つとして生活雑貨の充実があります。生活雑貨の需要は堅調で、家具・オフィス業界ではキッチン用品やバス用品の品ぞろえを増やすことで、消費者の来店を促すビジネスモデルが増えました。

家具メーカー大手のニトリではインテリア雑貨を取り扱う「デコホーム」の出店を増やし、消費者の需要を取り込んでいます。

都市型店舗の出店が増加

家具メーカー大手は都市型店舗の出店を加速させています。理由として近年都心回帰や車を持たない若者が増えており、駅から近い店舗を新設することで若者の需要を取り込む狙いがあります。

イケアジャパンは2020年から2021年にかけて原宿、新宿、渋谷に都市型店舗を開店しています。従来の郊外型店舗だけでなく、都市型店舗により都心の消費者にもアプローチする狙いがあると考えられます。

ニトリは2015年にマロニエゲート銀座、2017年に東武池袋、2022年には池袋東急ハンズの跡地に出店予定です。

家具・オフィス業界のM&A動向

近年家具・オフィス業界では異業種からの参入や、家具・オフィス業界からの異業種参入を目的としたM&Aが増えています。具体的にはインテリア専門店、家具店、ホームセンターがあります。

2017年にヤマダ電機は家具・オフィス業界への参入意向を示し、2019年には大塚家具を子会社化しました。他業種からの参入で事業規模を大きくする場合、既存企業のM&Aは有効な手段のため今後も継続的な需要が予想されます。

家具・オフィス業界から他業種への参入ではニトリが有名です。ニトリは2017年にアパレル業界への参入を表明しました。アパレル業界への進出により、衣・住の領域で消費者を取り込む狙いがあると考えられます。

また後継者問題は家具・オフィス業界の中小企業にも存在し、この問題解決のためのM&Aも多く見られます。

家具・オフィス業界におけるM&Aのメリット

売り手のメリット

家具・オフィス業界のM&A活用において、売り手側のメリットは以下が挙げられます。

  • 後継者が不在の場合、廃業せず事業を継続し社員の雇用を守ることができる
  • 後継者問題を解決し、株式譲渡による譲渡収入とともに経営から退くことができる
  • M&Aを契機に代表者による借入金の個人保証や担保を解消できる
  • 創業者利益を獲得できる
  • 倒産・廃業のリスクを回避できる

買い手のメリット

家具・オフィス業界のM&A活用において、買い手側のメリットは以下が挙げられます。

  • 事業エリア・販路を拡大できる
  • 内製化によるコスト削減ができる
  • 経営基盤を強化できる
  • 売り手企業のブランドを活用することができる

家具・オフィス業界のM&A・売却・買収事例

アント・キャピタル・パートナーズによるイーナのM&A

未上場株式等への投資を行う投資会社であるアント・キャピタル・パートナーズは、Webサイト制作、Webマーケティング、EC事業などを手掛けるイーナの株式を取得しました。

  • 実行時期:2021年11月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:EC事業の成長性

オカムラとTelexistenceの資本提携

家具・産業用機器の製造を手掛けるオカムラは、ロボットを通じて店舗内の商品陳列業務を遠隔から可能にするサービスを提供するTelexistenceと業務提携を締結しました。

  • 実行時期:2021年6月
  • スキーム:資本業務提携
  • 取引価額:非公開
  • 目的:店舗運営における両社の問題解決

ヤマダ電機による大塚家具のM&A

大手家電量販店のヤマダ電機は、大手家具メーカーの大塚家具と資本提携を締結し、第三者割当により発行される新株式および新株予約権を引き受けることで合意しました。

  • 実行時期:2019年12月
  • スキーム:第三者割当増資
  • 取引価額:43億7,400万円
  • 目的:売り手のブランド力・商品力

ニトリによるネゴロのM&A

家具業界最大手のニトリは、タイでカーペット製造業を手掛けるネゴロ社を子会社化しました。

  • 実行時期:2019年1月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:自社製造能力の強化

イトーキによるダルトンのM&A

事務用品・各種設備を取り扱うイトーキは、研究・教育施設事業を手掛けるダルトンを子会社化しました。

  • 実行時期:2016年8月
  • スキーム:TOB
  • 取引価額:非公開
  • 目的:木製家具の内製化による収益向上

フォーバルによるえすみのM&A

中小企業に対しビジネスフォン、OA機器、ウェブサイト制作などを手掛けるフォーバルは、オフィス機器、オフィス家具や家電機器販売を手掛けるえすみを子会社化しました。

  • 実行時期:2020年4月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:既存サービスとのシナジー獲得

ウェブシャークによるYogiboのM&A

バンズの代わりに卵を使用したハンバーガーであるエッグウィッチの販売を手掛けるウェブシャークは、アメリカのビーズソファブランドであるYogiboを子会社化しました。

  • 実行時期:2022年1月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:防衛策としてのM&A

おわりに

本記事のまとめ

家具・オフィス業界の市場動向、M&A動向、買収事例についてご紹介しました。

家具・オフィス業界は他業種からの参入が活発です。また家具・オフィス業界から他業種への参入も見られます。

こうした新規参入を効率的に実施するため、M&Aが取られています。

また大型家具の需要が減少し、新たな戦略が必要な家具・オフィス業界では、M&Aによる業界再編はますます進むと考えられます。

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