愛知県のM&A・会社売却・買収事例、事業承継の動向

  • URLをコピーしました!

現在、愛知県をはじめとした全国の中小企業において、後継者不在や事業の更なる成長を目的としたM&Aが注目を集めています。

本記事では、そうした愛知県のM&A動向を解説するとともに、愛知県における会社売却・買収事例や、事業承継の動向をまとめてご紹介します。

目次

愛知県のM&A・事業承継動向

愛知県の現状

日本の製造業を牽引

愛知県には、自動車、航空機などの輸送用機械産業を始め多くの産業が集積しています。

愛知県「令和3年経済センサス‐活動調査 産業別集計(製造業・詳細版)」によると、愛知県内の工業事業所数は14,593事業所、従業員数は807,694人でいずれも全国1位です。

特に、製造品出荷額は48兆9,880億円で1977年以来44年連続1位となっています。これは全国の14.6%を占めており、2位の大阪が5.6%を占めていることからも日本の工業における愛知県の重要度がうかがえます。

愛知県には販売台数世界トップクラスのトヨタ自動車を中心に世界的規模の自動車関連産業が集積しています。

製造品出荷額の53.1%を輸送機械が占めており、県内輸送用機器出荷額は全国の約40%を占めています。(JETRO「地域進出支援ナビ愛知県」)

また、電子機械にも全国比で高い比重が置かれており、輸送機械に次ぐ分野としての製造品出荷額の7.7%を占めています。愛知県では航空宇宙産業も活発で、航空機、部品(航空機エンジン除く)は全国市場の約50%を占めています。

「アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区(航空宇宙産業の一大集積地の形成を図るために総合特別区域法に基づき国から指定を受けた国際戦略総合特区)」にも指定されており、緑地規制の緩和や関税免税手続の一部簡素化などのメリットを享受できます。(愛知県「アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区」)

コロナによる転入数減少

愛知県の人口はコロナにより県外からの転入者が減少したことで2020年から減少傾向にあります。

愛知県「愛知県の人口 愛知県人口動向調査結果 年報(2022年)」によると、県内人口は2019年(7,554,242人)まで一貫して増加していましたが、以降は3年連続で減少しています。

自然増減数も人口減少の要因ですが自然減少のペースは以前から変わらないため、社会増減数が主要因であると考えられます。

愛知県への転入者は2012年以降増加していましたが、2021年には10年ぶりの転出超過となりました。

2022年には12,107人の転入超過になりましたが、コロナ以前の水準には戻っておりません。こうした状況により労働力不足が加速することが懸念されます。

帝国データバンク「人手不足に対する愛知県企業の動向調査(2022年4月)」によると、2022年4月時点で正社員が不足していると回答した愛知県内企業は44.3%に上り、前年(34.1% )から10.2%増加しました。

コロナにより経済活動が停滞したことで2019年から2020年にかけての人手不足の割合が急落しましたが、再度労働需給がタイトになっている状況がうかがえます。

転入者数が以前の水準まで回復しない場合は、一層人材不足が深刻化する恐れがあります。

中小企業の景況感

愛知県内の中小企業は引き続き改善すると見込まれます。

愛知県「中小企業景況調査」によると、2022年10月から12月における中小企業の業況判断DI は-29.7と前期の-31.0から1.3ポイント増加しました。

来季(2023年1月から3月期)の業況判断DIは-24.7と大幅に改善する見通しであり、愛知県の主要産業である製造業では来期にかけて7.2ポイントの改善が見込まれています。

愛知県全体の経済をみると、2022年11月の消費支出(勤労者世帯、名古屋市)は、前年比+76.1%と9か月連続の増加となるなど家計部門では持ち直しの兆しが見られました。

一方、企業部門では、2022年11月の鉱工業生産指数が前年比-1.6%と4か月ぶりに低下するなど、依然として半導体不足や感染再拡大による不透明感は払拭されておりません。

また、12月の倒産件数は34件で5か月ぶりに減少しましたが、資源価格の高騰や過度な円安などにより再度倒産件数が増加に転じる可能性も指摘されています。(三十三総研「愛知県経済の現状と見通し」)

愛知県のM&A・会社売却・事業承継動向

愛知県では全国比で事業承継が遅れている可能性があります。

帝国データバンク「全国企業「後継者不在率」動向調査(2022)」によると、愛知県内で後継者が「いない」、または「未定」とした企業の割合(後継者不在率)は58.4%で全国平均の57.2%よりもわずかに高い状況です。

また、後継者不在に伴って休廃業や解散も発生しています。

2022年における愛知県の休廃業・解散率は4.04%で東京、神奈川、埼玉に次ぐ4位です。都市部では企業数が多いことも要因として挙げられますが、M&Aなどの第三者への承継を検討することも解決策の一つです。

愛知県でM&A・事業承継を推進するには

M&A仲介会社などの専門家へ相談する

愛知県でM&Aや会社売却を推進する手段として、M&A仲介会社などの専門家に相談する方法があります。

M&A仲介会社とは、M&Aの専門家であるM&Aアドバイザーが売り手企業と買い手企業の間に立って、中立的な立場でM&Aの成立を支援する会社です。

M&Aにおいては法務的な手続きや税務処理、相手企業の選定まで、幅広い領域の専門性が必要不可欠であるため、こうした専門のアドバイザーに相談することは有効な手段の一つと言えます。

M&A仲介会社は得意領域や事業規模によって多数の会社が存在しているため、自社に合った会社を見つけることが重要です。

公的機関や金融機関へ相談する

愛知県事業承継・引継ぎ支援センター

愛知県事業承継・引継ぎ支援センターとは、中小企業庁からの委託事業として各都道府県に設置された事業引継ぎ支援センターと、各都道府県が独自に組織した事業承継ネットワークが2021年4月に統合された公的機関です。

事業承継に関する相談、事業承継・引継ぎに向けた課題の抽出、事業承継計画の策定、事業引継ぎにおけるマッチング支援、経営者保証解除に向けた専門家支援などを無料で受けることができます。

2023年1月時点で12名のコーディネーターが在籍しています。

愛知県よろず支援拠点

愛知県よろず支援拠点とは、中小企業・小規模事業者(NPO法人、一般社団法人、社会福祉法人、創業予定者を含む)の相談に応じて経営相談サービスの提供を行う機関で、愛知県ではあいち産業支援機構によって運営されています。

愛知県では豊橋市にサテライトが設置されており、経営、金融、マーケティング・販売支援、農商工連携、IT、税務などのあらゆる相談を受けています。

2023年1月時点では、支援拠点に19名のコーディネーターが、サテライトに8名のコーディネーターが在籍しています。

愛知県商工会議所連合会

愛知県商工会議所連合会は、愛知県下の22の商工会議所で組織されており、各商工会議所を総合調整し、県内及び県外の経済団体と連携することによって商工業の振興に寄与することを目的としています。

商工会議所のほか、57の商工会も設置されており、会員であれば経営に関する相談を無料で行うことができます。

愛知県信用保証協会

愛知県信用保証協会とは、中小企業・小規模事業者が金融機関から事業資金の融資を受ける際に、公的な保証人となることで借入れを円滑にする公的機関です。

本店または事業所のいずれかを愛知県に有している法人、もしくは住居または事業所のいずれかを愛知県内に有している個人事業主が信用保証の対象になります。

創業時や創業後間もない場合は、「愛知県経済環境適応資金創業等支援資金『環創』」や「創業者カードローン当座貸越根保証」を、設備投資を図りたい場合は「愛知県経済環境適応資金『パワーアップ資金(設備投資促進枠)』」や「ものづくり新エネ応援保証」など、用途に応じた制度が用意されています。

愛知県のM&A・売却・買収事例

日本ホスピスホールディングスによるサービス付き高齢者向け住宅のM&A

ホスピス住宅事業、訪問看護事業、在宅介護事業を手掛ける日本ホスピスホールディングス(東京都千代田区)は、子会社を通じて、医療・介護関連事業のナンブ(愛知県岡崎市)から愛知県名古屋市にある「ハートケアメゾンたつみの風 金山(サービス付き高齢者向け住宅)」を譲り受けました。

  • 実行時期:2022年12月
  • スキーム:事業譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:ホスピス住宅の機能やノウハウの共有

日創プロニティによるニッタイ工業及びエヌ・トレーディングのM&A

各種金属製品を提供する日創プロニティ(福岡県福岡市)は、タイル製造・販売を手掛けるニッタイ工業(愛知県知多郡)の株式88.2%と、、ニッタイ工業向けにタイルの輸入販売を手掛けるエヌ・トレーディング(愛知県知多郡)の全株式を取得しました。

  • 実行時期:2022年9月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:事業基盤の強化

日東工業による北川工業のM&A

分電盤などの電気製品を取り扱う日東工業(愛知県長久手市)は、工業用プラスチックおよびEMC対策部品を取り扱う北川工業(愛知県稲沢市)を子会社化しました。

  • 実行時期:2018年11月
  • スキーム:TOB
  • 取引価額:非公開
  • 目的:新製品開発と海外事業の拡大

日輪によるライフ・コーポレーションのM&A

人材派遣事業を運営する日輪(愛知県刈谷市)は、施設常駐警備事業を運営するライフ・コーポレーション(愛知県名古屋市)の全株式を取得しました。

  • 実行時期:2019年7月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:警備事業への進出

ブロンコビリーによる松屋栄食品本舗のM&A

食材調達・工場加工・店舗調理を手掛けるブロンコビリー(愛知県名古屋市)は、たれやドレッシング等の調味料や惣菜を製造する松屋栄食品本舗(愛知県犬山市)の全株式を取得しました。

  • 実行時期:2022年6月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:自社ブランドの認知度強化

パーカーコーポレーションによる東海化学工業所のM&A

機械事業、化成品事業、化学品事業、産業用素材事業、化工品事業を手掛けるパーカーコーポレーション(東京都中央区)は、食品用の乾燥剤メーカーである東海化学工業所(愛知県豊田市)の全株式を取得しました。

  • 実行時期:2021年2月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:製品販売網の共有

ユアサ商事による丸建サービスのM&A

複合専門商社グループとして、産業、くらし、住設・管材・空調、建設・エクステリア、建設機械、エネルギー、消費財・木材部門の7つのコア事業を展開するユアサ商事(東京都千代田区)は、建設機械の修理・メンテナンスを手掛ける丸建サービス(愛知県名古屋市)の株式93.4%を取得しました。

  • 実行時期:2020年10月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:建設機械販売にかかる事業領域拡大

おわりに

本記事のまとめ

愛知県におけるM&A・事業承継の動向や、会社売却・買収事例をご紹介しました。

愛知県でM&Aを行う際は、愛知県で実績のあるM&A仲介会社などの専門家や、全国を対象にM&Aを取り扱う仲介会社を活用することがおすすめです。

各M&A仲介会社は、業種や地域、取引規模、手数料体系などで強みが分かれ、提供しているサービスも異なるため、地域への強みに加え、こうしたポイントも事前に確認しておくとよいでしょう。

M&A・事業承継のご相談はハイディールパートナーズへ

M&A・事業承継のご相談は経験豊富なM&Aアドバイザーの在籍するハイディールパートナーズにご相談ください。

ハイディールパートナーズは、中堅・中小企業様のM&Aをご支援しております。弊社は成約するまで完全無料の「譲渡企業様完全成功報酬型」の手数料体系を採用しており、一切の初期費用なくご活用いただけます。

今すぐに譲渡のニーズがない企業様でも、以下のようなご相談を承っております。

  • まずは現状の自社の適正な株式価値を教えてほしい
  • 株式価値を高めるために今後何をすればよいか教えてほしい
  • 数年後に向けて株式価値を高める支援をしてほしい
  • どのような譲渡先が候補になり得るか、業界環境を教えてほしい

ご相談は完全無料となりますので、まずはお気軽にご相談ください。

目次