茨城県のM&A・会社売却・買収事例、事業承継の動向

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現在、茨城県をはじめとした全国の中小企業において、後継者不在や事業の更なる成長を目的としたM&Aが注目を集めています。

本記事では、そうした茨城県のM&A動向を解説するとともに、茨城県における会社売却・買収事例や、事業承継の動向をまとめてご紹介します。

目次

茨城県のM&A・事業承継動向

茨城県の現状

茨城県の人口と産業

茨城県の人口は約284万人で全国11位です。うち15歳未満は約32万人(11.5%)、15~64歳は約161万人(57.9%)、65歳以上は約85万人(30.6%)です。(参照:茨城県「茨城県の年齢別人口四半期報」)

茨城県では農業と製造業が盛んで、特に製造業は県内総生産の約3割を占めます。中でも生産用機械、化学工業、鉄鋼業の生産額が高くなっています。事業所数では古河市、従業者数では日立市、出荷額では神栖市が最も多くなっており、県の広い範囲で工業が盛んです。(参照:経済産業省「我が国の工業」)

また、つくば市や東海村に国や企業の研究機関が集中しているため、学術研究も盛んに行われています。

茨城県の主要な事業と後継者問題

茨城県の事業所数は118,553事業所で全国13位です。

そのうち事業所数が最も多いのは「卸売業、小売業」で25,883事業所(24.2%)、「建設業」が13,985事業所(13.1%)、「宿泊業、飲食サービス業」が10,634事業所(9.9%)でした。(参照:茨城県「令和3年経済センサス」)

茨城県の中小企業・小規模事業所では後継者不在が問題になっています。しかし、改善も見られており2022年の後継者不在率は42.7%で調査開始以来最小を記録しています。

理由として、地元金融機関の相談窓口の普及、第三者へのM&Aや事業譲渡、事業承継メニューの整備が考えられます。(参照:帝国データバンク「茨城県「後継者不在率」動向調査」)

茨城県の人材問題

茨城県の企業のうち正社員が不足していると感じている割合は56.1%でした。これは前年に比べて12.0ポイント上昇しており、コロナ禍前の水準を上回っています。

特に、建設業や運輸・倉庫、サービス業での不足が目立ちました。一方適正であると感じている企業は44.4%、過剰であると感じている企業は17.7%でした。

また、非正規社員が不足していると感じている企業は39.0%で、こちらもコロナ禍以前の水準を上回りました。

この数値は4月としては調査以来最高です。業界別では小売、製造、サービス業での不足が目立っています。

中小企業や小規模事業者ではすぐに人材を確保することが難しく、人材不足も大きな経営課題の一つと言えます。

そのためM&Aによって人手不足の解決を目指す企業も増えています。(参照:帝国データバンク「人手不足に対する茨城県内企業の動向調査(2022年4月)」)

茨城県のM&A・会社売却・事業承継動向

茨城県では県外から県内の企業へのM&Aが盛んです。

茨城県は特に製造業が盛んですが、製造業は廃業すると設備の撤去や解体の必要があり、多くの経費が掛かる場合があります。そのため廃業せず、M&Aによって企業を売却するケースも増えています。

また、M&Aは後継者問題の解決にも繋がっています。茨城県内企業の社長の平均年齢は年々上がっており、近い将来多くの企業が廃業してしまう懸念があります。県内産業を守っていくためにもM&Aは有効な手段です。

2020年5月から茨城県ではM&Aマッチング促進事業が行われており、今後ますますその数は増えると予想されています。

茨城県でM&A・事業承継を推進するには

M&A仲介会社などの専門家へ相談する

茨城県でM&Aや会社売却を推進する手段として、M&A仲介会社などの専門家に相談する方法があります。

M&A仲介会社とは、M&Aの専門家であるM&Aアドバイザーが売り手企業と買い手企業の間に立って、中立的な立場でM&Aの成立を支援する会社です。

M&Aにおいては法務的な手続きや税務処理、相手企業の選定まで、幅広い領域の専門性が必要不可欠であるため、こうした専門のアドバイザーに相談することは有効な手段の一つと言えます。

M&A仲介会社は得意領域や事業規模によって多数の会社が存在しているため、自社に合った会社を見つけることが重要です。

公的機関や金融機関へ相談する

茨城県よろず支援拠点

茨城県よろず支援拠点では事業承継からIT化まで、企業の様々な課題に対してアドバイスを行っています。地域の支援ネットワークとも連携しているため、課題の解決に向けてワンストップで支援を行っています。セミナーやイベントも行っており、気軽に参加することができます。

茨城県事業承継・引継ぎ支援センター

茨城県事業承継・引継ぎ支援センターは第三者による事業承継を支援していた茨城県事業引継ぎ支援センターと、親族内継承を支援していた茨城県事業承継支援ネットワークが統合された公的な相談窓口です。参加無料のセミナーも開催されています。

茨城県後継者人材バンク

茨城県後継者人材バンクは企業家と後継者不在の企業・個人事業主のマッチングを支援しています。申し込みをし、希望の業種・地域を後継者人材バンクに登録することで、定期的に要望に応じた企業の情報を配信してくれます。

筑波銀行

筑波銀行は中小企業・小規模事業者に対して、地元応援型M&Aサービス(筑波の結び目)を行っています。連携機関や地元密着型コンサルタント会社と共にワンストップで支援を行ってくれます。

常陽銀行

常陽銀行ではM&Aに関する支援だけでなく、親族内承継や医業承継のアドバイスも行っています。無料相談を行っており、専門スタッフによるM&Aパートナーの選定やアドバイスなどのトータルサポートを受けられます。

茨城県のM&A・売却・買収事例

日産自動車によるビークルエナジージャパンのM&A

大手国内自動車メーカーの日産自動車は、ハイブリッド車向けの車載用リチウムイオン電池、バッテリーマネジメントシステムの開発・製造・販売を手掛けるビークルエナジージャパン(茨城県ひたちなか市)の全株式を取得しました。

  • 実行時期:2022年11月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:電動化戦略の推進

ナルックスによるスーパーマルモのM&A

クスリのアオキの子会社で石川県内でスーパーマーケット及びドラッグストアを展開するナルックスは、1969年に創業しスーパーマーケットチェーンを展開するスーパーマルモ(茨城県土浦市)を吸収分割しました。

  • 実行時期:2021年6月
  • スキーム:吸収分割
  • 取引価額:非公開
  • 目的:茨城県でのドミナント戦略

ユニマットプレシャスによるグッド・ゴルフ・マネジメントのM&A

ゴルフ場やマリーナの運営、リゾートホテルの開発を手掛けるユニマットプレシャスは、マナゴルフクラブを運営するグッド・ゴルフ・マネジメント(茨城県常陸大宮市)の全株式を取得しました。

  • 実行時期:2021年7月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:会員数の増加、シナジーの獲得

茨城交通によるなの花交通バスのM&A

乗合バスや貸し切りバス、タクシー事業から旅行業・不動産業まで幅広く手掛ける茨城交通(茨城県水戸市)は、貸し切りバス事業を主とし、企業送迎や路線バスなどを手掛けるなの花交通バス(千葉県)の全株式を取得しました。

  • 実行時期:2021年8月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:成田空港からの送迎客獲得

戸田建設による昭和建設のM&A

オフィスビルや美術館の施工、浮体式洋上風力発電事業などを手掛ける戸田建設は、茨城県において地元大手の総合建設業者である昭和建設(茨城県水戸市)の全株式を取得しました。

  • 実行時期:2021年11月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:茨城県におけるシェア拡大

クオールホールディングスによる茨城県内の調剤薬局のM&A

調剤薬局の運営、医薬品の販売を手掛けるクオールホールディングスは、あおぞら薬局の金沢店、大和田店、メイプル薬局、メイプル薬局の日立店、取手店、双葉台店を取得しました。

  • 実行時期:2020年8月
  • スキーム:事業譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:事業拡大

京成電鉄による関東鉄道のM&A

東京都東部と千葉県北部に鉄道路線を有する大手私鉄の一つである京成電鉄は、茨城県内で鉄道事業やバス事業を手掛ける関東鉄道(茨城県土浦市)に対してTOBを実施しました。

  • 実行時期:2019年10月
  • スキーム:株式公開買付
  • 取引価額:最大35億4,700万円
  • 目的:経営体制の強化

おわりに

本記事のまとめ

茨城県におけるM&A・事業承継の動向や、会社売却・買収事例をご紹介しました。

茨城県でM&Aを行う際は、茨城県で実績のあるM&A仲介会社などの専門家や、全国を対象にM&Aを取り扱う仲介会社を活用することがおすすめです。

各M&A仲介会社は、業種や地域、取引規模、手数料体系などで強みが分かれ、提供しているサービスも異なるため、地域への強みに加え、こうしたポイントも事前に確認しておくとよいでしょう。

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