北海道のM&A・会社売却・買収事例、事業承継の動向

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現在、北海道をはじめとした全国の中小企業において、後継者不在や事業の更なる成長を目的としたM&Aが注目を集めています。

本記事では、そうした北海道のM&A動向を解説するとともに、北海道における会社売却・買収事例や、事業承継の動向をまとめてご紹介します。

目次

北海道のM&A・事業承継動向

北海道の現状

社長の高齢化

道内の社長平均年齢は1990年の54.3歳から一貫して上昇しており、2021年には過去最高となる61.1歳まで上昇しています。社長の年代別構成比をみると、2010年後頃を境に60歳以上の社長数が60歳未満の社長数を上回っており、経営者の高齢化が反映されています。(参照:帝国データバンク「北海道内企業の社長年齢分析」)

特に小規模の企業では高齢化の進行が顕著です。年商1億円未満の企業では80歳以上の社長が5.5%、70代の社長が24.9%となっており後継者の選定に苦戦していることがうかがえます。

後継者の不在

社長高齢化の要因には、後継者が不在であることが挙げられます。

北海道の後継者不在率は68.1%で、2022年時点では全国で4番目に不在率が高い都道府県です。前年の71.0%から2.9ポイントの改善は見られたものの、全国平均は4.3ポイント改善して57.2%に低下したことを踏まえると、未だに高い不在率であることが分かります。(参照:帝国データバンク「全国企業「後継者不在率」動向調査(2022)」)

北海道における2021年の休廃業・解散件数は2,104件で全体の3.06%にあたります。このうち58.4%の企業は黒字のまま休廃業・解散に至っており、資産が負債を上回る資産超過の状態であった企業も67.6%に及びます。

後継者がいない中で代表者の高齢化が進行していることが休廃業・解散の要因となっており、今後も財務的、経営的に余裕のある企業の休廃業が懸念されます。(参照:帝国データバンク「北海道の「休廃業・解散」動向調査(2021年)」)

労働者の不足

後継者不足のほか、従業員不足にも抜本的な改革が求められています。道内企業における正規社員・非正規社員の不足割合は、新型コロナによる経済停滞を背景に10ポイント以上改善しましたが、あくまでも一時的な効果だと考えられます。

コロナ以前は従業員が不足している割合は増加傾向にあったことから、労働需給が引き締まっているうちに人手不足を解消する対策を講じる必要があります。(帝国データバンク「人手不足に対する道内企業の動向調査(2021年4月)」)

北海道のM&A・会社売却・事業承継動向

北海道では、社長の高齢化を背景に中小企業の休廃業が増加しています。

そのため、公的機関をはじめとして事業承継を促進する支援が整備されています。面積が広い点を考慮して拠点や支店が各地域に配置されているため、都市部へ出ることなく関係機関のネットワークへアクセスすることが可能です。

2020年には、道内の上場企業が関連するM&A事例が過去10年で最多の13件に達しており、企業の規模に関係なくM&Aが活発化してきていることが分かります。(日本経済新聞「道内M&A、過去10年で最多の13件に」)

北海道でM&A・事業承継を推進するには

M&A仲介会社などの専門家へ相談する

北海道でM&Aや会社売却を推進する手段として、M&A仲介会社などの専門家に相談する方法があります。

M&A仲介会社とは、M&Aの専門家であるM&Aアドバイザーが売り手企業と買い手企業の間に立って、中立的な立場でM&Aの成立を支援する会社です。

M&Aにおいては法務的な手続きや税務処理、相手企業の選定まで、幅広い領域の専門性が必要不可欠であるため、こうした専門のアドバイザーに相談することは有効な手段の一つと言えます。

M&A仲介会社は得意領域や事業規模によって多数の会社が存在しているため、自社に合った会社を見つけることが重要です。

公的機関や金融機関へ相談する

北海道事業承継・引継ぎ支援センター

北海道事業承継・引継ぎ支援センターは、札幌商工会議所が国から委託を受けて事業を支援している公的機関です。

親族内承継のほか、役員・従業員承継や第三者への譲渡なども支援対象としています。経済産業省直轄の事業であるため、行政機関や金融機関、法務・税務などの専門家とのネットワークも活用できます。

承継の準備段階から実行支援までワンストップで支援を受けることができ、道内8カ所の商工会議所に設置しているサテライトも同センターの窓口として機能しています。

北海道よろず支援拠点

北海道よろず支援拠点は、北海道中小企業総合支援センターが国からの受託を受けて、札幌本部及び道内6か所(函館・帯広・釧路・旭川・北見・室蘭)の支部内に設置した無料の経営相談所です。

相談は無料で回数制限は設けられてないほか、オンラインや電話での相談も可能です。

マーケティングや人材などの各分野に特化したコーディネーターも配置されており、事業承継やIT分野などを政策的重点分野として支援しています。

北海道商工会議所連合会

北海道商工会議所連合会は、道内42カ所に設置されている商工会議所で構成されています。

連合会の事業活動は中小企業振興から環境対策まで多岐に渡り、各商工会議所では金融相談、記帳指導、経営診断などの包括的な経営相談サービスを受けることができます。

北海道信用保証協会

北海道信用保証協会は、事業者が金融機関から貸し付けを受ける際の借入債務を保証することを主な業務としており、北海道では札幌市の本店に加えて道内9カ所に支店を設置しています。

近年では事業者の経営支援や創業支援などのサービスも充実しています。

札幌市事業承継マッチングポータルサイト

札幌市事業承継マッチングポータルサイトは、連携中枢都市圏を構成する12市町村(札幌市、小樽市、岩見沢市、江別市、千歳市、恵庭市、北広島市、石狩市、当別町、新篠津村、南幌町及び長沼町)の中小企業事業を支援するポータルサイトです。

このポータルサイトでは事業の譲受に関心のある方を対象として、譲渡を希望する企業の情報が掲載されています。

交渉段階では北海道事業承継・引継ぎ支援センターに引き継ぐ形で事業承継が支援されます。

北海道のM&A・売却・買収事例

サツキャリによる推奨販売事業のM&A

インパクトホールディングスの連結子会社でマネキン紹介・人材紹介・人材派遣・業務委託事業などを手掛けるサツキャリ(北海道札幌市)は、人材紹介・人材派遣を中心とした人材サービス事業を手掛けるブライトサッポロ(北海道札幌市)から量販店における推奨販売事業を譲り受けました。

  • 実行時期:2021年12月
  • スキーム:事業譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:北海道での同事業の維持・拡大

ミナトホールディングスによるエクスプローラのM&A

メモリーモジュール事業、テレワークソリューション事業、デバイスプログラミング事業、ディスプレイソリューション事業、システムソリューション事業などを行うグループの持株会社であるミナトホールディングス(東京都)は、PALTEXの完全子会社でソフトウェア設計事業、ハードウェア設計・製造事業などを手掛けるエクスプローラ(北海道函館市)の全株式を取得しました。

  • 実行時期:2021年12月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:画像関連事業とのシナジー効果

川崎地質によるユニオン・コンサルタントのM&A

地質調査、防災・減災事業、海洋・資源・エネルギー事業などを手掛ける川崎地質(東京都港区)は、建設コンサルティングを手掛けるユニオン・コンサルタント(北海道札幌市)の全株式を取得しました。

  • 実行時期:2022年12月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:地質調査事業の体制強化

エア・ウォーターによるグループのホクエイと日江金属のM&A

デジタル&インダストリー事業やエネルギーソリューション事業を手掛けるエア・ウォーターは、グループ会社でプロパンガス容器などの金属加工を手掛けるホクエイ(北海道札幌市)と、スケードガレージなどの金属加工を手掛ける日江金属(北海道江別市)をホクエイを存続会社として吸収合併しました。

  • 実行時期:2022年10月
  • スキーム:吸収合併
  • 取引価額:非公開
  • 目的:生産性の向上と製品開発力の強化

理想ケアサービスによるあんしんケアホーム和光の事業のM&A

日本ヒューマンサポートのグループ会社で、小規模多機能ホームや看護師家政婦紹介などを手掛ける理想ケアサービス(埼玉県)は、認知症対応型共同生活介護施設を運営するあんしんケアホーム和光(北海道小樽市)の株式を取得しました。

  • 実行時期:2019年3月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:北海道への事業拡大

北海印刷による清文堂印刷のM&A

印刷事業、webサイト制作、映像制作などを手掛ける北海印刷(北海道室蘭市)は、企画・デザイン制作や紙媒体全般の印刷を手掛ける清文堂印刷(北海道むかわ町)の株式を取得しました。

  • 実行時期:2020年5月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:苫小牧方面における拠点獲得

おわりに

本記事のまとめ

北海道におけるM&A・事業承継の動向や、会社売却・買収事例をご紹介しました。

北海道でM&Aを行う際は、北海道で実績のあるM&A仲介会社などの専門家や、全国を対象にM&Aを取り扱う仲介会社を活用することがおすすめです。

各M&A仲介会社は、業種や地域、取引規模、手数料体系などで強みが分かれ、提供しているサービスも異なるため、地域への強みに加え、こうしたポイントも事前に確認しておくとよいでしょう。

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