奈良県のM&A・会社売却・買収事例、事業承継の動向

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現在、奈良県をはじめとした全国の中小企業において、後継者不在や事業の更なる成長を目的としたM&Aが注目を集めています。

本記事では、そうした奈良県のM&A動向を解説するとともに、奈良県における会社売却・買収事例や、事業承継の動向をまとめてご紹介します。

目次

奈良県のM&A・事業承継動向

奈良県の現状

県内の産業

奈良県は古代日本の首都として日本の文化や文明を牽引する地域であったため、重要な文化財が数多く残っています。

奈良市観光協会サイト「奈良の世界遺産」によると、「古都奈良の文化財」が1998年12月に世界遺産リストに登録されており、国宝建造物があり敷地が史跡に指定されている6つの資産(東大寺・興福寺・春日大社・元興寺・薬師寺・唐招提寺)と特別史跡・特別天然記念物に指定されている2つの資産(平城宮跡・春日山原始林)によって構成されています。

「古都奈良の文化財」は単一施設の登録ではなく街全体が世界遺産に登録されており、世界遺産への推薦に必須な緩衝地帯に加えて広域の景観を守るための歴史的環境調整区域を独自に定めるなどの取り組みが行われています。

国宝や重要文化財への指定数も多く、2022年4月時点で東京・京都に次いで全国3位となる1,328件が国宝・重要文化財に指定されています。(奈良県庁「奈良県のすがた2022-グラフと解説で見る統計ガイド-」)

奈良県の事務所数を産業別にみると、医療・福祉およびサービス業(飲食サービスを除く)が全国と比べて相対的に多いです。

卸売・小売業(県内事務所の22.8%)が最も多いですが、医療・福祉(10.7%)は全国より1.4ポイント、サービス業(9.5%)は全国より2.4ポイント高いです。(奈良県庁「経済センサス」)

労働者の県外就業

奈良県では県外就業率が高く、労働供給量の減少が懸念されます。

奈良県庁「奈良県のすがた2022-グラフと解説で見る統計ガイド-」によると、15歳以上の就業者のうち奈良県以外で就業する人の割合は27.3%で全国3位です。

1位は埼玉県(29.3%)、2位は千葉県(27.4%)、4位は神奈川県(24.9%)と大都市周辺の都道府県の県外就業率が高い傾向にありますが全国平均が8.9%であり、奈良県内の労働需給が逼迫する原因になり得ます。

県外就業率が高い地域は県北部に集中しており、最も高い生駒市では51.5%と過半数を超えています。

県内人口が減少していることで労働者の絶対数も減少しています。奈良県の人口は1999年の144万9,138人をピークに2021年には131万5,350人まで減少しています。

これは2005年に死亡率が出生率を上回って以降人口の自然減少が加速していることや、1998年から2021年まで24年連続で転出超過が継続していることが原因です。

また、労働参加率の低さも顕著です。

女性就業率は2015年の42.9%から2021年の46.8%まで同期間で3.9ポイント改善されたもののものの、これは全国最下位の就業率です。男性の就業率は55~59歳を除く全年齢層で全国平均を下回ったほか、全体の就業率も全国45位です。

県民の県外就業と労働参加率の低さを改善しない限り、人手不足が深刻化する恐れがあります。

直近の経済動向

奈良県内の企業の景況感は悪化傾向にあります。

奈良県庁「県内企業動向調査」によると、令和4年10-12月期の業況DI(景気が「好転」したと回答した企業の割合ー景気が「悪化」したと回答した企業の割合)は、前期比(令和4年7-9月期)で0.1ポイント低下して-28.0になっています。

悪化した原因としては仕入れ単価の上昇や国内景気の動向を懸念している割合が多く、来期も悪化傾向が強まる見通しです。

設備投資を実施した企業も24.4%から21.8%まで減少しており、来期には21.2%までのさらなる減少が予測されています。

一方、家計の経済活動には改善傾向が見られます。

南都経済研究所「奈良県経済の概況」によると、11月の百貨店・スーパー販売額は前年同月比2.5%増で3か月連続の増加と個人消費は増加傾向にあるほか、11月の新設住宅着工戸数も前年同月比29.8%増で2か月ぶりの増加と、家計による消費・投資は増加しつつあります。

以上を踏まえると、いくつかの経済指標は回復傾向にありますが、引き続き国内景気を中心にマクロ動向を注視する必要があると言えます。

奈良県のM&A・会社売却・事業承継動向

奈良県の労働者不足が懸念される点は前述した通りですが、後継者不足を始めとした事業承継の懸念は少ない状況です。

帝国データバンク「全国企業「後継者不在率」動向調査(2022)」によると、奈良県の後継者不在率(後継者が「いない」、または「未定」とした企業の割合)は49.9%と全国平均の57.2%よりも大幅に良好であるといえます。

また、2022年の休廃業・解散率は2.56%で、徳島・大分・和歌山に次いで全国で4番目に低い水準です。

奈良県でM&A・事業承継を推進するには

M&A仲介会社などの専門家へ相談する

奈良県でM&Aや会社売却を推進する手段として、M&A仲介会社などの専門家に相談する方法があります。

M&A仲介会社とは、M&Aの専門家であるM&Aアドバイザーが売り手企業と買い手企業の間に立って、中立的な立場でM&Aの成立を支援する会社です。

M&Aにおいては法務的な手続きや税務処理、相手企業の選定まで、幅広い領域の専門性が必要不可欠であるため、こうした専門のアドバイザーに相談することは有効な手段の一つと言えます。

M&A仲介会社は得意領域や事業規模によって多数の会社が存在しているため、自社に合った会社を見つけることが重要です。

公的機関や金融機関へ相談する

奈良県事業承継・引継ぎ支援センター

奈良県事業承継・引継ぎ支援センターとは、産業競争力強化法に基づいて、国から委託を受けたなら商工会議所が事業承継を支援する公的機関として創設した公的相談窓口です。

事業承継に関する相談、事業承継・引継ぎに向けた課題の抽出、事業承継計画の策定、事業引継ぎにおけるマッチング支援、経営者保証解除に向けた専門家支援などを無料で受けることができます。

奈良県よろず支援拠点

奈良県よろず支援拠点とは、中小企業・小規模事業者・NPO法人・一般社団法人・社会福祉法人からの経営・創業に関する相談に応えるために、国が設置した無料の経営相談所です。

2023年2月時点では15名のコーディネーターが在籍しています。

売上拡大、創業、事業承継、宣伝広告、資金繰りなどのあらゆる相談に対応しており、奈良市柏木町に設置された本部に加えて奈良駅前のサテライトオフィスでも相談できます。

奈良県商工会連合会

奈良県商工会連合会とは、国や都道府県の小規模企業施策(経営改善普及事業)の実施機関で、地域の事業者が業種に関わりなく会員となり互いの事業の発展や地域の発展のために総合的な活動を行う経済団体です。

奈良県には33つの商工会と4つの商工会議所が設置されています。

経営支援、補助金支援、融資支援、販路開拓、税務・記帳支援、労務支援のほか、起業家支援やISO認証取得支援などにも取り組んでいます。

奈良県信用保証協会

奈良県信用保証協会とは、信用保証協会法に基づき設立された特殊法人で、中小事業者のために信用保証の業務を行い、もって中小企業金融の円滑化を図ることを目的としています。

保証制度の対象者は、奈良県内に住所または事業所がある個人事業主、もしくは奈良県内に本店または事業所を有する法人で、そのほかに業種・資本金・従業員などの条件があります。

保証制度以外にも、経営相談や専門家派遣事業、事業承継相談などの経営支援や創業支援も受け付けています。

奈良県のM&A・売却・買収事例

キャス・キャピタルによるベトリードのM&A

バイアウトファンドを運営・管理する独立系の投資会社であるキャス・キャピタル(東京都千代田区)は、運用する投資ファンドの持株会社であるCCH7bを通じて、関西地域で高度医療を提供する動物病院3院を展開するベトリード(奈良県奈良市)の株式を取得しました。

  • 実行時期:2022年1月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:高度医療動物病院グループの体制強化

東洋テックによる明成のM&A

警備事業、ビルメンテナンス事業、不動産事業などを手掛ける東洋テック(大阪府大阪市)は、ビルメンテナンス事業、設備・セキュリティ事業、電気工事事業などを手掛ける明成(奈良県大和高田市)の全株式を取得しました。

  • 実行時期:2020年10月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:電気工事事業におけるシナジー効果

小田原機器によるアズマのM&A

ワンマン路線バス用運賃収受機器の設計・製造・販売、システム開発、エンジニアリング、ソフトウェア設計などを手掛ける小田原機器(神奈川県小田原市)は、完全子会社を設立し、小型電子計算機・電子計算機部品の製造販売、各種電子計算機器の製図設計の請負、ソフトウェア開発などを手掛けるアズマ(奈良県生駒郡三郷町)を吸収分割しました。

  • 実行時期:2020年7月
  • スキーム:吸収分割
  • 取引価額:非公開
  • 目的:ソフトウェア開発の効率化や開発ノウハウの共有

南都銀行による奈良証券のM&A

南都銀行(奈良県奈良市)は、奈良県において個人を中心に証券サービスを提供する奈良証券(奈良県大和郡)の株式を取得しました。

  • 実行時期:2018年8月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:グループ機能の強化

日東精工によるねじ製造・販売事業のM&A

日東精工は、工業用ファスナー部品の製造を手掛ける協栄製作所(奈良県五條市)を通じて、冷間圧造用鋼線、鉄線、溶接金網などを製造するサンロックオーヨド(大阪府泉大津市)からねじ製造・販売事業を譲受しました。

  • 実行時期:2018年4月
  • スキーム:事業譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:太物ボルト類の品ぞろえ強化

三菱ケミカルホールディングスによるジェニックスインドゥストリアファルマセウチカのM&A

三菱ケミカルホールディングスは、医薬品用カプセルの製造販売を手掛けるクオリカプス(奈良県大和郡山市)を通じて、ブラジルで医薬品用カプセルの製造販売を手掛けるジェニックスインドゥストリアファルマセウチカの全株式を取得しました。

  • 実行時期:2015年12月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:50億円
  • 目的:中南米医薬品市場の製造・販売拠点の獲得

おわりに

本記事のまとめ

奈良県におけるM&A・事業承継の動向や、会社売却・買収事例をご紹介しました。

奈良県でM&Aを行う際は、奈良県で実績のあるM&A仲介会社などの専門家や、全国を対象にM&Aを取り扱う仲介会社を活用することがおすすめです。

各M&A仲介会社は、業種や地域、取引規模、手数料体系などで強みが分かれ、提供しているサービスも異なるため、地域への強みに加え、こうしたポイントも事前に確認しておくとよいでしょう。

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