歯科業界の業界動向、M&A・売却・買収事例23選

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歯科業界は近年M&Aが活発な業界の一つです。歯科業界の市場動向は、歯科医師の増加を背景に歯科医院間の競争が激化している状況です。

本記事では、そうした歯科業界の市場動向を解説するとともに、歯科業界におけるM&Aのメリット、今後のM&A動向、買収事例をまとめてご紹介します。

目次

歯科業界の概要・市場動向

歯科業界とは

歯科業界とは、歯の治療を行う歯科医院、人口歯を作成する歯科技工、歯科機器の製造販売を担う企業、医薬品の製造販売を担う企業などを含む業界をいいます。

歯科医院には歯科のほか、矯正歯科、小児歯科、歯科口腔外科などの診療科目があります。

歯科業界の市場動向

歯科医師増加を背景とした競争激化

歯科業界では、歯科医師数が歯科医院以上に増加していることで業界構造が変化しています。

歯科医師数は一貫して増加傾向にあり、歯科医院間の競争激化に繋がっています。厚生労働省「令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」によると、歯科医師数は平成2年の74,028人から令和2年には107,443人まで増加しています。人口10万人当たりの歯科医師数も同期間で59.9人から85.2人まで増加していることから、歯科業界は飽和状態にあると言えます。

一方で、厚生労働省「令和3(2021)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」によると、歯科医師の増加に反して、歯科診療所数は微増に留まっていることが分かります。

この背景には、歯科医院の集約化が加速していることが挙げられます。また、勤務医の継続を選択する歯科医師の増加や院長の高齢化などの要因により医療法人の割合も増加しています。

したがって、現状では歯科医師数の増加傾向は継続しているものの、歯科医院の減少により将来的には十分な歯科医療サービスを受けることできない地域が生まれることが懸念されています。

歯科ニーズの多様化

近年では患者の歯科ニーズが変化しており、各歯科医院には患者の需要に適した経営が求められています。

かつては虫歯治療が歯科医院に求められる主なニーズでしたが、虫歯の罹患率が低下したことで虫歯治療医以外で収益を上げる歯科医院が増加しています。

厚生労働省「平成28年歯科疾患実態調査」によると、平均DMF歯数(1人当たりの未処置虫歯、虫歯原因の喪失歯、充填歯の合計数)は1993年以降全年代で低下しています。

また、8020達成者(80歳以上で20本以上の歯が残っている人)の割合は平成23年度の40.2%から平成28年度には51.2%まで上昇しています。口腔内の健康状態の改善は、フッ素化物応用などの予防ケアや歯科検診が普及したことが主な要因とされています。

昨今では保護者による子どもに対する歯科予防の意識が高まっていることから、今後も虫歯治療のニーズは減少していくことが予想されます。

虫歯治療に代わる治療として、予防・ホワイトニング・歯科矯正分野を強化する歯科医院が増加しています。また、保険が適用されない治療を施す際、患者にデンタルローンを提供する仕組みを導入する事例も見られます。

歯科医師以外の人手不足

前述のように歯科医師数は年々増加していますが、歯科医師以外の歯科医療従事者では人手不足が深刻化しています。

具体的には歯科衛生士、歯科助手、歯科技工士が慢性的に不足しています。特に歯科衛生士は売り手市場であるために有効求人倍率は20倍、転職経験率も70%と非常に高く、人材の定着が難しい状態です。

また、歯科医師の人数自体は増加しているものの、歯科医師の33.5%は60歳以上が占めており、高齢化が進行しています。したがって、歯科業界全体で見ると人手不足が加速する業界と言えます。

歯科業界のM&A動向

歯科業界では、競争激化により廃業数が増加しており事業を引き継ぐためのM&Aが増加しています。

従来は親族内継承が一般的でしたが、近年では子どもが継がないケースも増えており、M&Aが選択される事例も増加しています。

廃業した歯科医院の施設や医療機器をそのまま活用できる「居抜き物件」の購入は開業資金の節約になりますが、M&Aとは異なり従業員や顧客を引き継ぐことができないデメリットがあります。

医療機器メーカーのM&Aでは、ノウハウの共有や事業領域の拡大を目的にする場合が多く、クロスボーダーの案件も見られます。

歯科業界におけるM&Aのメリット

売り手のメリット

歯科業界のM&A活用において、売り手側のメリットは以下が挙げられます。

  • 買い手の医療機器やノウハウを活用し事業を拡大できる
  • 後継者不在の場合、廃業しないことで廃院コストを削減できる
  • 後継者が不在の場合、廃業せず事業を継続し社員の雇用を守ることができる
  • 後継者問題を解決し、株式譲渡による譲渡収入とともに経営から退くことができる
  • M&Aを契機に代表者による借入金の個人保証や担保を解消できる

買い手のメリット

歯科業界のM&A活用において、買い手側のメリットは以下が挙げられます。

  • 売り手の抱える専門人材を確保できる
  • 売り手の医院や機器をそのまま利用することができる
  • 未進出の新たなエリアに素早く進出できる
  • 売り手が得意とする分野の治療を提供できるようになる
  • 分院展開のコストを削減することができる

歯科業界のM&A・売却・買収事例

デンタスによるアイオニックのM&A

歯科医療材料の研究開発などを手掛けるデンタスは、歯科材料の販売などを手掛けるアイオニックの全株式を、技工物の製造・販売や歯科材料の販売などを手掛けるシケンとの共同出資によるDSソリューションを通じて取得しました。

  • 実行時期:2021年6月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:企業価値の向上

ナカニシによるIntegration Diagnostics Sweden ABのM&A

歯科製品関連事業を主力事業とするナカニシは、インプラントの定着度を計測する振動テスターの開発・製造・販売を手掛けるIntegration Diagnostics Sweden ABの全株式を取得しました。

  • 実行時期:2018年12月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:製品開発の連携強化

メディカルネットによるオカムラのM&A

歯科医療情報ポータルサイトの運営などを手掛けるメディカルネットは、歯科医院に関する器材の販売などを展開するオカムラの全株式を取得しました。

  • 実行時期:2018年11月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:事業の拡大

AccelmedによるKeystone DentalのM&A

イスラエルで医療機器開発を手掛けるAccelmedは、アメリカで歯科インプラントの製造を手掛けるKeystone Dentalの全株式を取得しました。

  • 実行時期:2018年6月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:ヨーロッパやアジア地域への進出

メディカルネットによるサクセス・サウンドのM&A

歯科医療プラットフォームビジネスなどを手掛けるメディカルネットは、タイで歯科医院を運営するサクセス・サウンドの株式を取得し、子会社化しました。

  • 実行時期:2017年8月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:3,000万円
  • 目的:東南アジアへの進出

デンタスによるネオックスのM&A

歯科医療機器のレンタル事業などを手掛けるデンタスは、歯科技工事業を営むネオックスから歯科医療機器のレンタル事業を譲受しました。

  • 実行時期:2017年3月
  • スキーム:事業譲渡
  • 取引価額:3億2,877万円
  • 目的:既存の歯科技工事業とのシナジー創出

エア・ウォーターと歯愛メディカルの資本業務提携

医療全般の支援業務を手掛けるエア・ウォーターは、医療機関への通信販売事業などを行う歯愛メディカルの株式39.9%を取得して資本業務提携を結びました。

  • 実行時期:2016年10月
  • スキーム:資本業務提携
  • 取引価額:96億円
  • 目的:BtoC領域での医療事業拡大

北海道歯科産業によるオールデンタルマートのM&A

歯科材料の販売会社である北海道歯科産業は、歯科医療用機器・歯科材料の販売会社のオールデンタルマートを子会社化しました。

  • 実行時期:2023年4月20日
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:販促企画の共通化と営業の効率化

歯愛メディカルによるナイキ歯研のM&A

デンタルケア製品の開発・製造・販売を中心に事業を展開する歯愛メディカルは、歯科技工物の製造・販売を行っているナイキ歯研を子会社化しました。

  • 実行時期:2022年11月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:共同でのサービス提供

歯愛メディカルによるサクラ歯研のM&A

デンタルケア製品の開発・製造・販売を中心に事業を展開する歯愛メディカルは、歯科技工に関する事業を行うサクラ歯研を子会社化しました。

  • 実行時期:2022年9月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:共同でのサービス提供

歯愛メディカルによるTDSのM&A

デンタルケア製品の開発・製造・販売を中心に事業を展開する歯愛メディカルは、歯科技工事業を行っているTDSを子会社化しました。

  • 実行時期:2022年9月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:共同でのサービス提供

シケンによるF・ソリューションズのM&A

シケンは、歯科技工物の歯科診療所向け営業を担っているF・ソリューションズを子会社化しました。

  • 実行時期:2019年08月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:外注取引の拡大

リベルタによるファミリー・サービス・エイコーのM&A

オリジナル美容、日雑商品の企画販売などを行うリベルタは、歯ブラシおよび除菌装置など様々な商品販売を行うファミリー・サービス・エイコーを子会社化しました。

  • 実行時期:2022年4月 
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:取扱い商品の販路拡大

小林製薬によるオーガンテックのM&A

医薬品、医薬部外品などの製造販売を行っている小林製薬は、次世代インプラントの研究開発および事業化に取り組むオーガンテックへの出資を決定しました。

  • 実行時期:2023年02月
  • スキーム:不明
  • 取引価額:非公開
  • 目的:人材育成の取り組みの推進

NISSHAによるゾンネボード製薬のM&A

フィルム状の製剤の開発を進めているNISSHAは、むし歯予防剤「レノビーゴ」などのロングセラー製品を手掛けるゾンネボード製薬を子会社化しました。

  • 実行時期:2019年11月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:販売チャネルなどの事業基盤の獲得

光ハイツ・ヴェラスは、歯科診療所やマッサージ治療院等の施設を行っている医療法人天馬会

介護付有料老人ホーム等を運営する光ハイツ・ヴェラスは、歯科診療所やマッサージ治療院等の施設を行っている医療法人天馬会と業務提携を行いました。

  • 実行時期: 2022年04月
  • スキーム:業務提携
  • 取引価額:非公開
  • 目的:合同研修や共同開発

アスクルによるAP67のM&A

オフィス通販を主な事業として展開しているアスクルは、「FEEDデンタル」の運営等を行う企業を傘下に持つAP67を子会社化しました。

  • 実行時期:2023年2月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:グループ全体でのシナジー創出

地域ヘルスケア連携基盤による医療法人白愛会のM&A

医院への経営支援などを行うユニゾン・キャピタルはCHCPデンタルの設立を通じて、歯科医院を開業した医療法人白愛会をグループ化しました。

  • 実行時期:2022年6月
  • スキーム:不明
  • 取引価額:非公開
  • 目的:新たな地域包括モデルの創出

上新井歯科によるまつおか矯正歯科神谷医院のM&A

矯正治療を中心歯科治療を行うK.D.C.グループの上新井歯科は、マウスピース型矯正治療法まつおか矯正歯科神谷医院を吸収合併しました。

  • 実行時期:2019年5月
  • スキーム:吸収合併
  • 取引価額:非公開
  • 目的:事業の継続

メディカルネットによるFukumori Dental Clinic Co., Ltd. のM&A

歯科医療の総合ビジネスを展開するメディカルネットは、タイ、バンコクにて歯科医院運営を行っているFukumori Dental Clinic Co., Ltd. を孫会社化しました。

  • 実行時期: 2022年3月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:タイ、バンコクの歯科業界におけるグループの進出

トクヤマデンタルによるTokuyama Dental Deutschland GmbHのM&A

歯科医療器材の製造・輸出入・販売を行っているトクヤマデンタルは、歯科材料販売業を行っているTokuyama Dental Deutschland GmbHを子会社化しました。

  • 実行時期: 2023年04月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:重要市場での拡販

メディカルネットによるPacific Dental Care Co., Ltd.のM&A

歯科医療の総合ビジネスを展開するメディカルネットは、タイにて歯科医院運営を行っているPacific Dental Care Co., Ltd.を子会社化しました。

  • 実行時期:2020年10月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:5,371万3千円。
  • 目的:歯科医院運営事業以外の新規歯科事業の推進

メディカルネットによるDental Clinic Co., Ltd. のM&A

歯科医療の総合ビジネスを展開するメディカルネットは、タイ・バンコクにて歯科医院運営を行っているDental Clinic Co., Ltd. を子会社化しました。

  • 実行時期:2022年3月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:タイ、バンコクの歯科業界におけるグループの拡大

おわりに

本記事のまとめ

歯科業界の市場動向、M&A動向、買収事例についてご紹介しました。

歯科業界では、歯科医師数が歯科医院数以上に増加しており、歯科医院の集約化が加速しています。また、患者による歯科予防に対する意識が改善されたことで虫歯治療のニーズが減少し、歯科医院には新たな治療ニーズに対応することが求められています。

今後は、歯科医師以外の人材確保や競争力を高めることを目的としたM&Aがさらに加速すると見込まれます。

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