埼玉県のM&A・会社売却・買収事例、事業承継の動向

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現在、埼玉県をはじめとした全国の中小企業において、後継者不在や事業の更なる成長を目的としたM&Aが注目を集めています。

本記事では、そうした埼玉県のM&A動向を解説するとともに、埼玉県における会社売却・買収事例や、事業承継の動向をまとめてご紹介します。

目次

埼玉県のM&A・事業承継動向

埼玉県の現状

埼玉県の産業動向

埼玉県は事業所数(全国3位)、従業員数(全国4位)、製造品出荷額(全国6位)と全国的にも経済活動が盛んな県です。

彩の国埼玉県「令和3年経済センサス – 活動調査 調査結果」の産業別の売上高を見ると、卸売業・小売業が31.7%と最も多く、製造業が21.3%と続いています。

事業所数に着目すると、最も多い産業は卸売業で18.2%を占めていますが、製造業の11.7%は全国平均よりも2.4ポイント高く相対的に製造業が盛んであることが分かります。

減少傾向にある倒産数

埼玉県の倒産数は、政府や民間金融機関の資金供給を受けて減少しています。

帝国データバンク「埼玉県内の企業倒産推移に関する特別調査」によると2021年の倒産数は268件で2006年以降初めて300件を切っています。同件数は2015年以降は350件程度で推移していました。

しかし直近の解散数減少は政府による中小企業への迅速な資金供給策や休業協力金をはじめ給付型マネーによるものであるため、中長期的には企業単体で競争力を高めることが不可欠です。

その際に障壁になり得るのが原材料価格の高騰です。

帝国データバンク「価格転嫁に関する埼玉県企業の実態調査」によると、2022年1月時点で原材料不足や価格高騰の影響があると回答した企業は81.8%に上り、うち価格転嫁が全くできていない企業は40.0%です。

実際、埼玉県内の仕入単価DIと販売単価DI(仕入(販売)単価 DI は 0~100 の値をとり、50 を上回ると前年同月より仕入(販売)単価が上昇、50 を下回ると低下していることを示す)は2020年以降乖離幅が拡大しており、仕入れ価格の上昇を企業側が吸収していることが分かります。

こうした状況は2023年時点でも継続しており、74.2%の企業が原油・素材価格の上昇を景気への懸念材料として回答しています。

したがって、今後の企業の倒産数は資金供給が終了した後の価格転嫁力に依存すると言えます。

コロナによる事業承継の遅延

コロナの影響は企業の事業承継にも影響を与えています。

帝国データバンク「全国企業「後継者不在率」動向調査(2022)」によると、埼玉県の後継者不在率は61.9%と全国平均の57.2%よりも4.7ポイント高いです。

さらにコロナの影響で事業承継への意識が変化した企業10.7%のうち6.4%は事業承継の時期を延期すると回答しています。(帝国データバンク「事業承継に関する埼玉県企業の意識調査(2021年8月)」)

埼玉県では70代以上の代表者年齢が年々増加していることもあり、事業承継のタイミングが遅れたことで一層代表者の高齢化が懸念されます。

埼玉県のM&A・会社売却・事業承継動向

埼玉県ではコロナに対応した資金供給を受けて倒産数は減少しましたが休廃業・解散数は依然として高く事業承継の必要性は高まっています。

休廃業・解散件数の自体は若干減少しているものの対倒産数倍率は2016年以降で最高の8.7倍になっています。休廃業・解散する際の代表者年齢は年々上昇しており、2016年から2021年にかけて80歳以上の割合は13.5%から21.9%まで増加しています。

したがって企業の存続のためには、資金面の支援のみならず後継者の確保など事業承継面での支援強化が不可欠です。

埼玉県でM&A・事業承継を推進するには

M&A仲介会社などの専門家へ相談する

埼玉県でM&Aや会社売却を推進する手段として、M&A仲介会社などの専門家に相談する方法があります。

M&A仲介会社とは、M&Aの専門家であるM&Aアドバイザーが売り手企業と買い手企業の間に立って、中立的な立場でM&Aの成立を支援する会社です。

M&Aにおいては法務的な手続きや税務処理、相手企業の選定まで、幅広い領域の専門性が必要不可欠であるため、こうした専門のアドバイザーに相談することは有効な手段の一つと言えます。

M&A仲介会社は得意領域や事業規模によって多数の会社が存在しているため、自社に合った会社を見つけることが重要です。

公的機関や金融機関へ相談する

埼玉県事業承継・引継ぎ支援センター

埼玉県事業承継・引継ぎ支援センターとは、ワンストップで総合的な事業承継を支援する公的機関です。

2021年4月に、中小企業庁からの委託事業として各都道府県に設置されていた事業引継ぎ支援センターと、各都道府県が独自に組織していた事業承継ネットワークが統合されました。

事業承継に向けた個別相談から後継者人材バンクを通じたマッチング支援、専門家の派遣など多様な支援内容が備えられています。

埼玉県よろず支援拠点

埼玉県よろず支援拠点とは、全国の各都道府県に設置されている経営に関する相談所です。主に中小企業・小規模事業者・NPO法人・一般社団法人・社会福祉法人からの経営に関する相談に無料で対応しています。

大宮をはじめ県内27ヵ所に出張相談所・サテライト相談所が設置されており、セミナーやイベントも開催されています。

埼玉県内各商工会議所・商工会

埼玉県内各商工会議所・商工会とは、それぞれ「その地区内における商工業の総合的な発達を図り、兼ねて社会一般の福祉の増進に資すること」(商工会議所法第6条)を目的として地区内の商工業者により自主的な組織された法人と、「その地区内における商工業の総合的な改善発達を図り、あわせて社会一般の福祉の増進に資すること」(商工会法第3条)を目的として地区内の商工業者により自主的に組織された法人を指します。

埼玉県には16の商工会議所と53の商工会が存在しており、M&A・事業承継等の経営に関する相談を受け付けています。

埼玉県信用保証協会

埼玉県信用保証協会とは、信用保証協会法に基づき設立された公的機関で、中小企業・小規模事業者が事業資金を借入れする際に、その保証をすることで資金調達を円滑にする役割を担っています。

融資保証以外にも創業支援などの経営相談や保証を利用した後のフォローアップも行っています。

埼玉県のM&A・売却・買収事例

ブイ・テクノロジーによるジャパンクリエイトのM&A

フラットディスプレー用製造・検査装置の製造を手掛けるブイ・テクノロジー(神奈川県横浜市)は、半導体製造の工程で用いられるウエハー洗浄機やエッチング装置、スピンドライヤー、プラズマCVD(化学気相成長)装置などの製造を手掛けジャパンクリエイト(埼玉県所沢市)の全株式を取得しました。

  • 実行時期:2023年1月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:顧客基盤や製品・技術とのシナジー創出

東京インキによる荒川塗料工業のM&A

インキ事業、化成品事業、加工品事業を手掛ける東京インキ(東京都北区)は、紙加工用塗料や建築用塗料の製造を手掛ける荒川塗料工業(埼玉県加須市)の全株式を取得しました。

  • 実行時期:2021年1月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:事業領域の補完

ウェルビングループによる綿仁のM&A

軽自動車の販売から、整備、車検、保険、鈑金修理に至るアフターサービスまでを手掛けるウェルビングループ(埼玉県所沢市)は、ガソリンスタンド経営を手掛ける綿仁(静岡県沼津市)の全株式を取得しました。

  • 実行時期:2022年11月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:2億1140万円
  • 目的:南関東への拡大

日本ピストンリングによるノルメカエイシアのM&A

自動車関連製品、金属射出成形部品、医療・災害救急関連製品、半導体製造関連商品などの製造を手掛ける日本ピストンリング(埼玉県さいたま市)は、救急災害用器材などの輸入販売を手掛けるノルメカエイシア(埼玉県越谷市)の全株式を取得しました。

  • 実行時期:2021年12月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:医療分野での新製品事業推進

サックスバーHDによるギアーズジャムのM&A

株式会社東京デリカ、アイシン通商株式会社、ロジェールジャパン株式会社などをグループ会社として持ち、経営管理および不動産管理を手掛けるサックスバーHD(東京都葛飾区)は、「ギアーズジャム」「ジャムハウス」のショップブランドを持ち、メンズバッグ、財布、雑貨などの小売販売を手掛けるギアーズジャム(埼玉県さいたま市)の全株式を取得しました。

  • 実行時期:2022年9月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:製品ポートフォリオの拡充

インターアクションによるラステックのM&A

IoT関連事業、環境エネルギー事業、インダストリー4.0推進事業などを手掛けるインターアクション(神奈川県横浜市)は、レーザー加工機の受託開発を手掛けるラステック(埼玉県ふじみ野市)の全株式を取得しました。

  • 実行時期:2020年5月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:事業ポートフォリオの拡大

グランディーズによるもりぞうのM&A

建売住宅・投資用マンション・投資用アパートの販売、建築請負、建築・不動産コンサルティング業を手掛けるグランディーズ(大分県大分市)は、関東地方・中部地方を中心に戸建注文住宅の設計・施工・監理を手掛けるもりぞう(埼玉県戸田市)をレオパレス21から譲受した。

  • 実行時期:2022年9月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:経営資源の最適配分

おわりに

本記事のまとめ

埼玉県におけるM&A・事業承継の動向や、会社売却・買収事例をご紹介しました。

埼玉県でM&Aを行う際は、埼玉県で実績のあるM&A仲介会社などの専門家や、全国を対象にM&Aを取り扱う仲介会社を活用することがおすすめです。

各M&A仲介会社は、業種や地域、取引規模、手数料体系などで強みが分かれ、提供しているサービスも異なるため、地域への強みに加え、こうしたポイントも事前に確認しておくとよいでしょう。

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