大阪府のM&A・会社売却・買収事例、事業承継の動向
現在、大阪府をはじめとした全国の中小企業において、後継者不在や事業の更なる成長を目的としたM&Aが注目を集めています。
本記事では、そうした大阪府のM&A動向を解説するとともに、大阪府における会社売却・買収事例や、事業承継の動向をまとめてご紹介します。
大阪府のM&A・事業承継動向
大阪府の現状
大阪府の動向
大阪府の人口は約883.7万人で全国3位です。15歳未満の人口は約103.2万人(11.7%)で、15~64歳の人口は約536.3万人(60.7%)、65歳以上の人口は244.1万人(27.6%)でした。(参照:大阪府「令和2年国勢調査」)
大阪府には多くの中小企業が拠点を構えています。
阪神工業地帯や堺泉北臨海工業地帯があり、独自の技術で日本だけでなく世界シェアの大半を占めている企業もあります。またパナソニック、日新食品ホールディングス、タイガー魔法瓶など大阪に本社を置く大企業も多く、西日本の中心都市と言えます。
2025年には大阪万博の開催が予定されており、国内外から多くの観光客が訪れると予想されます。
府内産業の概要
大阪府内総生産は40兆1,956億円で全国3位です。しかし、大阪府内総生産の全国シェアは減少傾向にあります。
原因として繊維、一般機械、家電などの大阪府の経済を支えてきた事業の停滞や、情報通信業など新たな産業の成長をサポートする体制が無かったことが考えられます。なお2010年以降は横ばいを維持しています。
大阪府の産業を産業大分類別に見ると、近年は「保健衛生・社会事業」の構成比が高くなってきています。また、構成比が最も高い「製造業」と二番目に高い「卸売り・小売業」は増減を繰り返しながら、構成比を維持しています。
また大阪府の一人当たりの県民所得は約319万円で全国12位、一人当たりの県民雇用者報酬は約493万円で全国8位です。(参照:大阪府「2021年版なにわの経済データ」)
大阪府の産業構造
大阪府内には40万を超える事業所があり、全国にある事業所の7.6%を占めています。その内個人経営の事業所が38.1%、会社の事業所が55.2%を占めています。
事業所数が最も多いのが「卸売、小売業」で事業所数の1/4を占めています。大阪府は人口が多く、商業が盛んであることが要因として考えられます。
また、従業者数を地域別に見ると大阪市地域では卸売業、小売業、情報通信業の構成比が高いのに対して、東大阪地域では製造業、南河内地域では医療・福祉の割合が高く、地域によって特性が出ています。
製造業も盛んで企業数では宿泊業、飲食サービス業に次ぐ多さで、構成比では全国平均を上回っています。特徴のある技術やノウハウで、特定の分野で高いシェアを誇っている企業も多くあります。(参照:大阪府「2021年版なにわの経済データ」)
大阪府のM&A・会社売却・事業承継動向
2020年の大阪府内企業の休廃業・解散件数は3649件で、近畿地方全体の50%を占めています。
休廃業・解散の主な原因として後継者問題があります。実際近畿地方で休廃業・解散した企業のうち黒字企業が58.0%、また経営者の年齢が70歳以上の企業が59.6%でした。
後継者が決まらないまま経営者が引退の時期を迎えると、会社が黒字廃業してしまうことになります。これは企業の持つノウハウや技術が失われるだけでなく、雇用の損失、地域経済へのダメージなど多くのデメリットをもたらします。
後継者問題の解決のために、大阪府では多くのM&Aが行われています。大阪府内企業の関わるM&Aは2020年に384件行われました。(参照:帝国データバンク「近畿地区『休廃業・解散』動向調査」)
大阪府でM&A・事業承継を推進するには
M&A仲介会社などの専門家へ相談する
大阪府でM&Aや会社売却を推進する手段として、M&A仲介会社などの専門家に相談する方法があります。
M&A仲介会社とは、M&Aの専門家であるM&Aアドバイザーが売り手企業と買い手企業の間に立って、中立的な立場でM&Aの成立を支援する会社です。
M&Aにおいては法務的な手続きや税務処理、相手企業の選定まで、幅広い領域の専門性が必要不可欠であるため、こうした専門のアドバイザーに相談することは有効な手段の一つと言えます。
M&A仲介会社は得意領域や事業規模によって多数の会社が存在しているため、自社に合った会社を見つけることが重要です。
公的機関や金融機関へ相談する
大阪府よろず支援拠点
大阪府よろず支援拠点は、国が設置している中小企業・小規模事業者・NPO法人などを支援している組織です。
事業承継だけでなく売上拡大や人材採用など様々な経営課題に対して相談を受け付けています。
大阪事業承継・引継ぎ支援センター
大阪事業承継・引継ぎ支援センターでは、M&Aに詳しい専門家が事業承継を考えている事業者に対して無料でアドバイスを行っています。
大阪府後継者バンクを活用することで後継者不在の事業者と、創業希望者のマッチングを行っています。
東大阪商工会議所
東大阪商工会議所では、後継者問題・株式に関することなど事業承継にまつわる相談を受け付けています。
専門のコーディネーターが担当しており、電話で受け付けています。
大阪信用金庫
大阪信用金庫ではM&Aや事業承継に関する相談を受け付けています。
全国の信用金庫や会計事務所とのネットワークを通じて、後継者探しや譲渡希望企業との譲受におけるアドバイスを行っています。
北大阪商工会議所
北大阪商工会議所では日本政策金融公庫の事業承継マッチング支援データベースによって、事業を譲り受けたい事業者・事業を譲り渡したい事業者の双方を支援しています。
電話による相談から受け付けています。
大阪府のM&A・売却・買収事例
BiolVTによるSEKISUI XENITECHのM&A
アメリカ・ニューヨーク州に拠点を置き生体試料販売および非臨床試験受託を手掛けるBiolVTは、積水化学工業株式会社(大阪市北区)から生体試料販売および非臨床試験受託を手掛けるSEKISUI XENOTECH,LCC.の全株式を取得しました。
- 実行時期:2022年9月
- スキーム:株式譲渡
- 取引価額:非公開
- 目的:ステークホルダーへの価値最大化
鳥貴族ホールディングスによるダイキチシステムのM&A
居酒屋チェーン「焼鳥屋 鳥貴族」を全国で600店舗以上運営する鳥貴族ホールディングスは、「やきとり大吉」のフランチャイザーとして全国に500店舗以上のフランチャイズ店舗を有するダイキチシステムの全株式を取得し子会社化しました。
- 実行時期:2023年1月
- スキーム:株式譲渡
- 取引価額:非公開
- 目的:双方の事業拡大
JVCCによるブイアイエスのM&A
J-STAR株式会社が投資関連サービスを提供するJ-STAR No.3 SS,LP等が出資するJVCC株式会社が、ペットフード・用品の販売を手掛けるマルカンの代表取締役を務める松本幸彦氏によって創業され、大阪府・兵庫県・東京都・埼玉県で動物病院を運営するブイアイエス(大阪市淀川区)の全株式を取得しました。
- 実行時期:2017年7月
- スキーム:株式譲渡
- 取引価額:非公開
- 目的:病院経営モデルの構築
モリテックスチールによる中川産業、サンドのM&A
特殊鋼と呼ばれる鉄鋼を扱う専門商社であり製造・加工・販売を行うメーカーでもあるモリテックスチールは、半導体メーカー向けに普通鋼・ステンレス鋼を扱う中川産業(東大阪市)と、中川産業の兄弟会社であり金属二次加工を手掛けるサンド(東大阪市)の全株式を取得し子会社化しました。
- 実行時期:2022年9月
- スキーム:株式譲渡
- 取引価額:非公開
- 目的:商材の違いによる事業拡大
ホシザキによるナオミのM&A
飲食市場を主力事業領域として冷凍冷蔵庫を中心とした業務用厨房機器を取り扱うホシザキは、液体・粘体・粉体など幅広い形状の食品を扱う食品充填機器の製造・販売を手掛けるナオミ(大阪府箕輪市)の全株式を取得し完全子会社化しました。
- 実行時期:2022年10月
- スキーム:株式譲渡
- 取引価額:非公開
- 目的:飲食市場の新規開拓
ナガセによるヒューマレッジのM&A
東進衛星予備校や早稲田予備校などの高校生部門、四谷大塚などの小中学生部門、イトマンスイミングスクールなどのスイミングスクール部門を展開し、教育事業に総合的に取り組んでいるナガセは、「絶対に生徒を見捨てない塾」をモットーに学習塾「木村塾」を兵庫県と大阪府に展開するヒューマレッジ(大阪府大阪市)の全株式を取得し完全子会社化しました。
- 実行時期:2023年1月
- スキーム:株式譲渡
- 取引価額:非公開
- 目的:全国ネットワークの拡大
コノミヤによるトーホーストアのM&A
大阪府・京都府・愛知県・岐阜県で地域密着型の食品スーパーを展開するコノミヤ(大阪府大阪市)は、生鮮食品を中心にラインナップする食品スーパー運営会社でトーホーの連結子会社であるトーホーストア(兵庫県神戸市)から、トーホーが所有する全株式を取得することを決めました。
- 実行時期:2023年3月
- スキーム:株式譲渡
- 取引価額:非公開
- 目的:店舗存続、従業員の雇用維持
おわりに
本記事のまとめ
大阪府におけるM&A・事業承継の動向や、会社売却・買収事例をご紹介しました。
大阪府でM&Aを行う際は、大阪府で実績のあるM&A仲介会社などの専門家や、全国を対象にM&Aを取り扱う仲介会社を活用することがおすすめです。
各M&A仲介会社は、業種や地域、取引規模、手数料体系などで強みが分かれ、提供しているサービスも異なるため、地域への強みに加え、こうしたポイントも事前に確認しておくとよいでしょう。
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