福井県のM&A・会社売却・買収事例、事業承継の動向
現在、福井県をはじめとした全国の中小企業において、後継者不在や事業の更なる成長を目的としたM&Aが注目を集めています。
本記事では、そうした福井県のM&A動向を解説するとともに、福井県における会社売却・買収事例や、事業承継の動向をまとめてご紹介します。
福井県のM&A・事業承継動向
福井県の現状
県内の産業
福井県では、繊維産業、機械産業、眼鏡産業が盛んなほか原子力発電所が多数設置されています。
繊維産業においては、かつては羽二重や人絹織物の産出により地位を確立し、現在では合成繊維をはじめとするあらゆる関連業種が集積した総合産地を形成しています。
眼鏡産業は、鯖江市を中心として全国で生産される眼鏡枠の90%を占めています。
また、繊維機械から工作機械、自動車関連機器などの一般機械のほか、半導体や精密部品のような電気機械のの製造が活発で、先端技術の導入が加速しています。(福井県「福井県の産業」)
敦賀半島、大島半島、内浦半島は、強固な地盤や冷却水の確保などの原子力発電所を設置する条件を満たしていることもあり、15基の原発が設置されています(うち7基は廃止措置に移行中)。(福井県「福井県内の原子力発電所の廃止措置」)
福井県の原子力発電量は全国の原子力発電量の25%ほどを占めており、電力供給の用地としての役割を担っています。
事業者動向
福井県「令和3年経済センサス-活動調査」によると、福井県の人口千人当たりの事業所数は51.9事業所で平成28年に引き続き全国1位です。なお、全国平均は40.5事業所でした。
また、産業大分類別にみると、卸売・小売業が 9,303 事業所で最も多く、全産業の 23.6%を占めています。次いで製造業が 4,732 事業所で12.0%を、宿泊・飲食サービス業が 4,657 事業所で11.8%を占めています。
前述した繊維産業、機械産業、眼鏡産業が製造業を牽引しており、製造業の事業所が占める割合は全国平均で8.1%と福井県よりも4%ほど低く、福井県における製造業の重要性がうかがえます。
従業員数でも製造業が全産業の21.8%と最も多くを占めています。
一方、1事業所あたりの従業員数は電機・ガス・熱供給・水道業が68.4人(全国平均22.0人)と突出しており、原子力発電を中心にインフラに注力していることが分かります。
直近の経済動向
福井県内の経済基調は、第二四半期までは改善傾向にありましたが、以降は足踏みしている状況です。
福井県「福井県の景気動向指数」によると、令和4年10月分のCI一致指数(構成する指標の動きを合成することで景気変動の大きさやテンポ(量感)を表す指標のうち、景気にほとんど一致して変動する指標)は93.5となり、前月比で0.6ポイント低下しました。コロナによる経済停滞を反映し、2020年5月には80まで低下しています。
その後、withコロナに向けた対応や金融機関による資金供給により2021年7月までに95を超えるまで回復していましたが、2022年後半からは海外景気後退に伴う国内景気の下振れリスクや物価上昇、供給制約などが影響して景気回復が遅れています。
個人消費をみると、ドラッグストア売上高、乗用車販売、ホテル・旅館の宿泊客数は増加している一方、百貨店・スーパーとホームセンターの売上高は縮小傾向にあり、全体としては緩やかに持ち直しているといえます。(日本銀行福井事務所「福井県金融経済クォータリー(2022年秋)」)
企業のによる令和4年度の設備投資は全産業で11.7%の増加(製造業-3.0%、非製造業+34.2%)となりました。設備投資状況を規模別でみると、大企業が前年比で+15.6%と増加している一方、中小企業では-36.0%と原材料価格の高騰が資金余力を圧迫している状況がうかがえます。(財務省北陸財務局「法人企業景気予測調査(福井県)」)
福井県のM&A・会社売却・事業承継動向
福井県では近年の事業承継支援が結実しており、各種氏関連指標はいずれも良好な状態にあります。
帝国データバンク「全国企業「後継者不在率」動向調査(2022)」によると、福井県の後継者不在率(後継者が「いない」または「未定」とした企業の割合)は52.8%と全国平均の57.2%より4%以上低い結果になっています。
昨今では資産超過かつ黒字経営にも関わらず後継者が不在であるために休廃業・解散を選択せざるを得ない企業も増加していますが、福井県の休廃業・解散率は2.61%(全戸期平均は3.66%)と事業承継が成功している様子がうかがえます。
福井県でM&A・事業承継を推進するには
M&A仲介会社などの専門家へ相談する
福井県でM&Aや会社売却を推進する手段として、M&A仲介会社などの専門家に相談する方法があります。
M&A仲介会社とは、M&Aの専門家であるM&Aアドバイザーが売り手企業と買い手企業の間に立って、中立的な立場でM&Aの成立を支援する会社です。
M&Aにおいては法務的な手続きや税務処理、相手企業の選定まで、幅広い領域の専門性が必要不可欠であるため、こうした専門のアドバイザーに相談することは有効な手段の一つと言えます。
M&A仲介会社は得意領域や事業規模によって多数の会社が存在しているため、自社に合った会社を見つけることが重要です。
公的機関や金融機関へ相談する
福井県事業承継・引継ぎ支援センター
福井県事業承継・引継ぎ支援センターとは、国からの委託事業として各都道府県に設置されている中小企業・小規模事業者の事業承継支援を総合的に行う公的機関です。福井県では福井商工会議所により運営されています。
福井県事業承継・引継ぎ支援センターでの窓口相談のほか、県内各地で相談会が開催されてます。企業の現状を把握したうえで、それぞれの課題に応じたアドバイスや利用できる補助金等の制度紹介を受けることができます。
2023年1月時点では各種専門領域に精通した11名の相談員が在籍しています。
福井県よろず支援拠点
福井県よろず支援拠点とは、中小企業・小規模事業者・創業希望者・NPO法人・一般社団法人・社会福祉法人を対象として、国が各都道府県に設置している経営相談窓口です。福井県では平成26年度よりふくい産業支援センター内の福井拠点を中心に坂井市、丹南、奥越、嶺南、若狭、二州のサテライトに設置されています。
福井県よろず支援拠点への相談件数は毎年増加しており、令和3年度には5,525件の相談実績があります。
2023年1月時点では30名のコーディネーターが在籍しています。
福井商工会連合会
福井商工会連合会とは、地域の事業者が会員となり、お互いの事業の発展や地域の発展のために総合的な活動を行う団体です。福井県には、13の商工会と7つの商工会議所が存在します。
各商工会では、金融情報、経営革新計画策定支援、BCP策定支援、事業承継計画策定支援、生産性向上の支援、補助金申請支援など目的に応じてあらゆる支援を受けることができます。
また、地域の現状から地域課題・地域目標を洗い出し、地域課題と商工会事業の関連づけを行ったうえで地域貢献アピールプランを策定するなど、地域の理解と認識を得るための活動も行なっています。
福井県信用保証協会
福井県信用保証協会とは、中小企業が金融機関から事業資金の融資を受ける際の「公的な保証機関」として健全な企業経営に向けた資金導入を支援する機関です。保証活動を通して中小企業者の育成と地域経済の振興・発展に寄与することを目的とする「信用保証協会法」に基づいています。
所在地(個人の場合は住居または事業所、法人の場合は本店または事業所)が福井県内にあり、客観的に事業を行っている事業者を対象としています。
創業希望者には創業関連保証や福井県開業支援資金の調達支援を、設備導入を希望する事業者には一般保証や福井県中小企業育成資金(一般)の調達支援を行うなど、資金の用途に応じて様々な支援が充実しています。
福井県のM&A・売却・買収事例
ジンズホールディングスによるヤマトテクニカルのM&A
製造小売り(SPA)体制によりメガネの企画、製造、販売を手掛けるジンズホールディングスは、眼鏡製造を手掛けるヤマトテクニカル(福井県越前市)の株式51%を、第三者割当増資を通じて取得しました。
- 実行時期:2022年10月
- スキーム:第三者割当増資
- 取引価額:非公開
- 目的:国内のメガネフレーム生産拠点整備
北陸電気工事によるスカルトのM&A
内線工事、空調管工事、配電線工事、外線工事などを手掛ける北陸電気工事(富山県富山市)は、電気、土木、通信、建築工事などを手掛けるスカルト(福井県福井市)の全株式を取得しました。
- 実行時期:2022年10月
- スキーム:株式譲渡
- 取引価額:非公開
- 目的:北陸地域での商圏拡大
日本毛織による第一織物のM&A
ウール製品の製造、販売を手掛ける日本毛織(大阪市中央区)は、国内外のアパレルブランド向けに合成繊維織物の製造と販売を手掛ける第一織物(福井県福井市)の株式70%を取得しました。
- 実行時期:2020年2月
- スキーム:株式譲渡
- 取引価額:非公開
- 目的:世界トップブランドやアパレルメーカーとの関係強化
三福タクシーによる共栄タクシーのM&A
三福タクシー(福井県小浜市)は、共栄タクシー(福井県福井市)のタクシー事業を譲り受けました。
- 実行時期:2021年3月
- スキーム:事業譲渡
- 取引価額:非公開
- 目的:観光分野への注力
大丸エナウィンによる太陽プロパンのM&A
LPガス・住宅設備機器の販売を中心に、ミネラルウォーター製造・宅配、在宅医療機器レンタル、医療産業ガス販売などを手掛ける大丸エナウィン(大阪府大阪市)は、LPガスや燃焼器具の販売事業を手掛ける太陽プロパン(福井県福井市)の全株式を取得しました。
- 実行時期:2021年4月
- スキーム:株式譲渡
- 取引価額:非公開
- 目的:北陸地方での事業拡大
前田工繊による釧路ハイミールのM&A
盛土・法面補強用環境・産業資材などの製造、販売を手掛ける前田工繊(福井県坂井市)は、フィッシュミールや魚油の製造・販売を手掛ける釧路ハイミール(北海道釧路市)の全株式を取得しました。
- 実行時期:2018年9月
- スキーム:株式譲渡
- 取引価額:非公開
- 目的:ヘルスケア事業の推進
サカイオーベックスによる安井のM&A
染色加工事業、繊維販売事業、テキスタイル販売、アパレル販売資材事業、炭素繊維事業などを手掛けるサカイオーベックス(福井県福井市)は、繊維製品の製造・加工をを手掛ける安井(東京都中央区)の株式90%を取得しました。
- 実行時期:2018年2月
- スキーム:株式譲渡
- 取引価額:非公開
- 目的:ユニフォーム分野での新規顧客獲得
おわりに
本記事のまとめ
福井県におけるM&A・事業承継の動向や、会社売却・買収事例をご紹介しました。
福井県でM&Aを行う際は、福井県で実績のあるM&A仲介会社などの専門家や、全国を対象にM&Aを取り扱う仲介会社を活用することがおすすめです。
各M&A仲介会社は、業種や地域、取引規模、手数料体系などで強みが分かれ、提供しているサービスも異なるため、地域への強みに加え、こうしたポイントも事前に確認しておくとよいでしょう。
M&A・事業承継のご相談はハイディールパートナーズへ
M&A・事業承継のご相談は経験豊富なM&Aアドバイザーの在籍するハイディールパートナーズにご相談ください。
ハイディールパートナーズは、中堅・中小企業様のM&Aをご支援しております。弊社は成約するまで完全無料の「譲渡企業様完全成功報酬型」の手数料体系を採用しており、一切の初期費用なくご活用いただけます。
今すぐに譲渡のニーズがない企業様でも、以下のようなご相談を承っております。
- まずは現状の自社の適正な株式価値を教えてほしい
- 株式価値を高めるために今後何をすればよいか教えてほしい
- 数年後に向けて株式価値を高める支援をしてほしい
- どのような譲渡先が候補になり得るか、業界環境を教えてほしい
ご相談は完全無料となりますので、まずはお気軽にご相談ください。