沖縄県のM&A・会社売却・買収事例、事業承継の動向
現在、沖縄県をはじめとした全国の中小企業において、後継者不在や事業の更なる成長を目的としたM&Aが注目を集めています。
本記事では、そうした沖縄県のM&A動向を解説するとともに、沖縄県における会社売却・買収事例や、事業承継の動向をまとめてご紹介します。
沖縄県のM&A・事業承継動向
沖縄県の現状
沖縄県の概要
沖縄県の人口は約146.7万人です。また15歳未満の人口は約24.3万人(16.6%)、15~64歳の人口は約89.2万人(60.8%)、65歳以上の人口は約33.1万人(22.6%)です。
沖縄県は人口1,000人あたりの出生率が11.9と全国1位で、全国に比べて年少人口の割合が4.7ポイント上回っています。(参照:沖縄県「沖縄県の人口と世帯数」)
沖縄県は全国で4番目に小さい県ですが、宮古島、石垣島、西表島などを含む約160の島で構成されています。また沖縄は中国や東南アジアに最も近い距離にあり、日本の南の玄関口とも言えます。
沖縄県は観光業が非常に盛んな地域で、2019年の入域観光客数約1,016万人と過去最高に達しています。
農業ではランや菊などの花き栽培、ゴーヤやマンゴーなどの野菜・果物生産が行われています。(参照:おきなわ物語「沖縄県ってどんなところ?」)
沖縄県の産業
沖縄県の第一次産業の就業者割合は4.4%、第二次産業は14.9%、第三次産業は79.2%で全国に比べて第三次産業の就業者割合が8.0ポイント高くなっています。(参照:総務省「労働力調査」)
製造業を事業所数別で見ると食料品・飲料の事業所が最も多く全体の42%を占めています。次いで金属製品(14%)、窯業・土石(13%)、印刷(7%)となっています。事業所数の12.0%を那覇市が占めています。
また出荷額別では石油製品・石炭製品、食料品、飲料・たばこ・飼料などが多くなっています。
沖縄本島の東海岸に大型石油精製工場が設置され石油製品の出荷額が増えてきており、出荷額の40.2%を西原町が占めています。(参照:経済産業省「我が国の工業」)
沖縄県の事業承継の実態
沖縄県内企業で事業承継を経営上の問題の一つとして認識している割合は63.2%でした。
また、最優先の経営上の問題と認識している企業は5.9%で、青森県と同様に全国で最も低い値となっています。(参照:帝国データバンク「沖縄県 事業承継に関する企業の意識調査(2020年)」)
事業承継を経営上の課題と認識している企業は全体で7割近いものの、新型コロナウイルスによる業績悪化などの理由で対応が後回しになっているケースも少なくありません。
事業承継に関する計画があり、進めている企業は19.1%、計画はあるが進めていない企業は23.5%でした。
合計すると46.2%の企業が事業承継の計画があることになりますが、一方約半分の企業は計画策定に至っていないことが分かります。
代表者の年齢別で見ると、50代では41.2%、60代では56.5%、70代では66.6%となっており、年齢が上がるにつれ割合は高くなるものの、70代でも事業承継の計画策定に至っていないケースが見られます。
沖縄県のM&A・会社売却・事業承継動向
事業承継の難しい点として「後継者の育成」、「相続税・贈与税などの税金対策」、「承継前の経営者の個人補償や担保」などがあります。
特に後継者として予定している人材が若く、まだまだ時間がかかる、などの「後継者の育成」に関する悩みが多くなっています。その他に相続税・贈与税による事業資金の減少など様々な課題があるため、支援機関に相談することが有効です。
また、沖縄県では事業承継の手段としてM&Aが注目されています。
沖縄県の企業に「今後5年以内のM&Aとの関わり方」を調査すると、買い手となる可能性がある企業が25.0%、売り手となる可能性がある企業が13.2%、買い手・売り手両社の可能性がある企業が1.5%でした。
合計して39.7%の企業が事業承継においてM&Aを手段の一つと考えており、全国平均の37.2%に比べて高い値になりました。今後もこの傾向は強まると考えられます。
沖縄県でM&A・事業承継を推進するには
M&A仲介会社などの専門家へ相談する
沖縄県でM&Aや会社売却を推進する手段として、M&A仲介会社などの専門家に相談する方法があります。
M&A仲介会社とは、M&Aの専門家であるM&Aアドバイザーが売り手企業と買い手企業の間に立って、中立的な立場でM&Aの成立を支援する会社です。
M&Aにおいては法務的な手続きや税務処理、相手企業の選定まで、幅広い領域の専門性が必要不可欠であるため、こうした専門のアドバイザーに相談することは有効な手段の一つと言えます。
M&A仲介会社は得意領域や事業規模によって多数の会社が存在しているため、自社に合った会社を見つけることが重要です。
公的機関や金融機関へ相談する
沖縄県よろず支援拠点
よろず支援拠点とは、国が全国に設置している無料の経営相談所です。
毎週行われているサテライト拠点での出張相談会の他に、オンラインでのWEB相談も受け付けています。
沖縄県事業承継・引継ぎ支援センター
沖縄県事業承継・引継ぎ支援センターでは、事業承継に関する課題をワンストップで支援しています。
事業承継に関する相談やM&Aマッチング、事業承継セミナーを実施しています。
沖縄県産業振興公社
沖縄県産業振興公社では事業承継推進事業を含む、様々な経営課題に対して支援を行っています。
事業承継計画の策定支援だけでなく、補助金の相談も受け付けています。
那覇商工会議所
那覇商工会議所では会員に対して経営課題に対するアドバイスや支援を行っています。
事業承継の事例集を作成し、親族内承継とM&Aの事例を取り上げています。
沖縄県のM&A・売却・買収事例
TOKAIホールディングスによる沖縄ケーブルネットワークのM&A
1都6県で放送サービスと通信サービスを展開するTOKAIホールディングスは、ブロードバンドタワーの傘下でおよそ10万件の顧客にケーブルテレビ放送事業を提供する沖縄ケーブルネットワーク(沖縄県那覇市)の株式の70%を取得し、子会社化しました。
- 実行時期:2022年10月
- スキーム:株式譲渡
- 取引価額:非公開
- 目的:ケーブルテレビ事業の拡大
ウエルシアホールディングスによるふく薬品のM&A
ドラッグストア業界大手のウエルシアホールディングスは、1989年設立で沖縄県を中心に24店舗のドラッグストアを展開しているふく薬品(沖縄県那覇市)を子会社化しました。
- 実行時期:2022年12月
- スキーム:株式譲渡
- 取引価額:非公開
- 目的:事業エリアの拡大
LAホールディングスによるファンスタイルHDのM&A
「ラ・アトレ」、「ラ・アトレレジデンシャル」、「LAアセット」を主要グループ会社とし、新築不動産販売事業、再生不動産販売事業、不動産賃貸事業を手掛けるLAホールディングスは、不動産開発の「ファンスタイル」、不動産仲介の「ファンスタイルリゾート」を傘下に置くファンスタイルHD(沖縄県那覇市)を株式交換などのスキームにより子会社化しました。
- 実行時期:2022年12月
- スキーム:株式交換、株式譲渡
- 取引価額:非公開
- 目的:沖縄県内不動産の知見の取り込み
サイバーリンクスによるシナジーのM&A
官公庁クラウド事業において和歌山県、大阪府南部エリア及び奈良県の地方自治体を中心に営業基盤を構築するサイバーリンクスは、自治体向け文書管理システムを主力とし、全国規模での導入実績を上げるシナジー(沖縄県宜野湾市)の全株式を取得し完全子会社化しました。
- 実行時期:2022年7月
- スキーム:株式譲渡
- 取引価額:1億5,000万円
- 目的:官公庁クラウド事業におけるサービスの拡充
ファーマライズホールディングスによるドゥリームのM&A
調剤薬局事業、ドラッグストアの運営等の物販事業、カルテ・レントゲン等の保管・管理や医療資料のデータシステム化等の医学資料保管・管理事業を手掛けるファーマライズホールディングスは、沖縄県内で4店舗の調剤薬局を運営するドゥリーム(沖縄県嘉手納町)の株式を90%追加取得し完全子会社化しました。
- 実行時期:2015年6月
- スキーム:株式譲渡
- 取引価額:非公開
- 目的:事業エリアの拡大
土木管理総合試験所によるアースプランとクリエイトのM&A
各種インフラの調査・診断や、土木構造物や建築物の施工に必要な地盤情報を得るための地質調査を手掛ける土木管理総合試験所は、磁気探査・測量設計を手掛けるアースプラン(沖縄県名護市)とクリエイト(同市)の全株式を取得し子会社化しました。
- 実行時期:2020年1月
- スキーム:株式譲渡
- 取引価額:非公開
- 目的:事業エリアの拡大
グッドスピードによるエンジョイレンタカーのM&A
東海地区を中心に新車・中古車の販売、買取・保険・車検・整備・板金塗装などを手掛けるグッドスピード(愛知県名古屋市)は、2013年に設立されレンタカー事業を手掛けるエンジョイレンタカー(沖縄県那覇市)からレンタカー事業を取得しました。
- 実行時期:2020年4月
- スキーム:事業譲渡
- 取引価額:非公開
- 目的:事業エリアの拡大
おわりに
本記事のまとめ
沖縄県におけるM&A・事業承継の動向や、会社売却・買収事例をご紹介しました。
沖縄県でM&Aを行う際は、沖縄県で実績のあるM&A仲介会社などの専門家や、全国を対象にM&Aを取り扱う仲介会社を活用することがおすすめです。
各M&A仲介会社は、業種や地域、取引規模、手数料体系などで強みが分かれ、提供しているサービスも異なるため、地域への強みに加え、こうしたポイントも事前に確認しておくとよいでしょう。
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