後継者不在の中小企業の選択肢は?オーナー社長の事業承継を解説

  • URLをコピーしました!

これまで事業承継といえば、養子を含む子供などの親族に承継させる親族内承継や、有力な従業員に承継させることが一般的でした。

しかし、近年では少子高齢化や産業構造の変化を背景として、後継者不在に悩む中小企業のオーナー経営者が少なくありません。

本記事では、そうした中堅・中小企業の後継者問題解消の方法、事業承継の選択肢について解説します。

目次

事業承継の概要・動向

事業承継とは

「事業承継」とは、会社の経営を現在の経営者から別の後継者へと引き継ぐことをいいます。

中堅・中小企業にとって、オーナー社長の経営手腕が会社の強みそのものになっているケースが多く、誰を後継者として事業を引き継ぐのかは重要な問題です。

事業承継を進めるにあたっては、次の社長を誰にするか(経営承継)、自社株を誰に引き継ぐか(所有承継)、後継者教育をどう行うか(後継者教育)という3点に留意することが大切です。

後継者不在の動向

中小企業庁が策定した「中小M&Aガイドライン」によると、日本全体において、2025年までに平均引退年齢である70歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人にのぼり、うち約半数の約127万人が後継者が未定と見込まれています。

すなわち、これから5年以内に経営者がリタイアする可能性のある企業のうち、約半数は後継者が決まっていないということになります。

後継者が決まっていない中小企業が今後も何の対策も講じない場合は廃業を選択せざるを得なくなりますが、廃業を選択する場合、雇用喪失や連鎖倒産を招く可能性があり、様々な関係者に影響を与えることになります。

事業承継で引き継ぐべき経営資源

人の承継

事業承継における人の承継とは、すなわち経営権の承継を意味します。

特に中堅・中小企業においては、経営者個人にノウハウや取引先窓口が集中していることが多いため、事業の円滑な運営や業績がオーナー経営者に大きく依存している場合があります。

そのため、親族内承継や従業員承継を進める場合には経営者教育に十分な時間を割く必要があり、後継者候補の選定はなるべく早期に開始する必要があります。

近年では、親族内に後継者を見つけることが難しい企業も増えており、M&Aを活用し外部の第三者へ事業を承継することを検討する会社が増えてきています。

資産の承継

資産の承継とは、事業を行うために必要な資産を後継者に承継することを意味します。主な資産としては、経営者個人が所有する株式や事業用資産(設備・不動産)、資金(運転資金・借入等)があります。

なお、経営権確保のための株式の移転はタイミング・対策次第で税金が大きく変わるケースがあるため、税負担に配慮した承継方法を検討する必要があります。

このように、資産の承継において考慮すべき点は専門的かつ多岐にわたるため、早期に専門家に相談することが求められます。

知的資産の承継

知的資産の承継とは、その会社の競争力の源泉となる無形の資産を継承することを意味します。

知的資産とは、例えば人材、技術、技能、知的財産(特許・ブランドなど)、組織力、経営理念、顧客とのネットワークなどが挙げられます。

正しく承継するためには自社の強み・価値の源泉がどこにあるのかを適切に把握し、後継者へ共有していく必要があります。

事業承継の選択肢

親族内承継

事業承継の主要な選択肢として、親族等に対して事業を承継する「親族内承継」があります。

特に、家族や親戚などの親族間で経営が行われている小さな会社などでは、この親族内承継が行われるケースが多くあります。

後継者となる親族は社長との関係性も深く、普段から一緒に会社経営を行っていることが多いため、事業承継後もスムーズに事業運営・会社経営を進められます。

一方、親族内に後継者がいない場合には、親族内承継の選択肢は採れないことになります。

従業員への承継

親族内承継が難しい場合には、親族ではなく会社で働く従業員に対し事業を承継する「従業員承継」があります。

親族内承継と同様、従業員に引き継ぐことで事業承継が完了した後も複雑な業務引き継ぎをすることなく、スムーズな事業運営が行えます。

普段の仕事ぶりを見ながら後継者の資質があるかを判断することができるので、事業承継後も安定した会社経営が期待できる一方で、従業員承継には主に次の二つの問題点があります。

一つ目は、従業員の中に後継者になるための資質を持っている人材がいない場合、実施が難しい点です。

二つ目は、資金面です。中小企業の場合、会社の所有者が「経営者・社長」自身である場合が多いですが、後継者となる従業員は会社の経営権を獲得できるだけの対価を社長に支払う必要があります。

会社の従業員に、事業の経営権を獲得できるだけの資金を持っている人は少ないため、事業を引き継ぐ意思があったとしても資金面の問題から事業承継を断念せざるを得なくなるケースが多いです。

親族外承継(M&A)

親族内承継・従業員への承継ができなかった場合、親族外承継という選択肢があります。

親族外承継とは、文字通り親族以外の人物に会社の事業を引き継ぐことです。親族外承継を実施する上で最も多いのはM&Aを活用し、会社の外部から後継者を見つけ出し、事業承継を行う方法です。

親族内や会社内に後継者としての資質を持った人材がいなくても、M&Aを実施して外部から適任の後継者を見つけることで、事業承継を実施することができます。

事業承継を成功させるポイント

早いうちから準備する

事業承継を成功させるためには、準備を早めに行うことが重要です。

事業承継を実施する場合、「会社の資産や価値を把握する」「M&A専門家に相談する」「事業承継相手を見つけ出す」「事業運営の引継ぎ・後継者の教育」など、準備すべきことが数多く存在します。

事前準備が不十分であると、スムーズな手続きができなかったり、後継者となる人物の選定に苦戦し、必要以上に事業承継に時間がかかってしまうことがあります。

特に、親族内承継や従業員承継を進める場合には、事業承継を実現したいタイミングの数年前から「後継ぎ候補の教育期間」を設けておくことが望ましいと言えます。教育期間がない場合、事業承継後の会社経営・事業運営に悪影響が及ぶ可能性があります。

会社の価値を適切に把握する

事業承継を成功させるためには、承継対象となる会社の企業価値を適切に把握しておく必要があります。

会社の資産や株式価値を把握しておくことで、後継者に対して事業を承継するメリットを提示することができるようになります。

また、M&Aによる事業承継を実施する場合には、本来の価値よりも過小評価された価格で会社売却・事業譲渡してしまうことを防ぐためにも、適切に会社の価値を把握しておく必要があります。

会社の資産や株式の価値を算定するにあたっては、M&A専門家に算定依頼することをおすすめします。

専門家に相談する

後継者問題に直面している場合は、事業承継を成功させるために早い段階から専門家に相談し情報収集することをおすすめします。

また、M&Aや事業承継を進めていくためには、税務・財務に関する専門的知識が必須ですが、自らそうした知識を身に着けながら手続きを進めることは非常に難易度が高く、時間もかかります。

早期から専門家に相談することで、事業承継に向けたベストな選択肢を検討し、後継者候補を円滑に見つけられる可能性が高まります。

おわりに

本記事のまとめ

後継者のいない中堅・中小企業の事業承継の主要な選択肢としては、親族内承継、従業員承継、第三者承継(M&A)の3つがあります。

事業承継は、多くの経営者にとって初めての経験となるため、勝手が分からないことがほとんどです。

事業承継の検討にあたっては税務・財務をはじめとした専門知識が求められるうえ、入念な準備が必要となるため、早めに専門家に相談し、疑問や悩みを解決しながら準備を進めていくことが必要です。

M&A・事業承継のご相談はハイディールパートナーズへ

M&A・事業承継のご相談は経験豊富なM&Aアドバイザーの在籍するハイディールパートナーズにご相談ください。

ハイディールパートナーズは、中堅・中小企業様のM&Aをご支援しております。弊社は成約するまで完全無料の「譲渡企業様完全成功報酬型」の手数料体系を採用しており、一切の初期費用なくご活用いただけます。

今すぐに譲渡のニーズがない企業様でも、以下のようなご相談を承っております。

  • まずは現状の自社の適正な株式価値を教えてほしい
  • 株式価値を高めるために今後何をすればよいか教えてほしい
  • 数年後に向けて株式価値を高める支援をしてほしい
  • どのような譲渡先が候補になり得るか、業界環境を教えてほしい

ご相談は完全無料となりますので、まずはお気軽にご相談ください。

目次