エステサロン業界のM&A・売却・買収事例、業界動向

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エステサロン業界は近年M&Aが活発な業界の一つです。エステサロン業界は既に市場が飽和状態にあることを背景に、M&Aによる事業成長を検討する事業者が増えてきています。

本記事では、そうしたエステサロン業界の市場動向を解説するとともに、エステサロン業界におけるM&Aのメリット、今後のM&A動向、買収事例をまとめてご紹介します。

目次

エステサロン業界の概要・市場動向

エステサロンとは

エステサロンは総務省の業界定義の基づくと、「手技又は化粧品・機器等を用いて、人の皮膚を美化し、体系を整える等の指導又は施術を行う事業所」と定義されています。具体的には美顔術や美容脱毛、ボディケア、ハンドケア、フットケア、ヘッドセラピーが含まれます。

エステサロンで美容師免許を持たずに美容師の業務を行うことや、医師免許を持たずに医療行為を行うことは禁止されており、治療、改善、効能などの告知、表現、表示は禁止されています。

またエステサロンは資格が無くても開業できるため、比較的参入障壁の低い業界と言われています。そのため個人事業主や中小企業の多い業界になっています。

エステサロン業界の市場動向

市場規模は横ばいで推移

矢野経済研究所「2022年版エステティックサロンマーケティング総鑑」によると、エステサロンの市場規模はほぼ横ばいを維持しています。新型コロナウイルスによる影響はあったものの、2021年は休業する店舗もなく、影響も限定的でした。物販売り上げはWEB販売の拡大により、2020年に引き続き伸びています。

一方で、中長期的には人口減少による市場の縮小が起きると見られ、今後は従来のサービスに加えて物販での売上確保も必要になると考えられます。

また、既存事業者が男性向けエステやセルフエステなどの新規市場を開拓するケースも見られます。

コンプライアンス体制の確立が重要

エステティシャンには公的な資格はありませんが、医療行為を行う場合には資格が必要になります。そのため顧客との医療トラブルが度々発生しています。

大手企業のM&Aには事業救済だけでなく、このようなトラブルを回避するコンプライアンス意識向上も期待されています。

また、顧客に安心してエステサロンを利用してもらうため、NPO法人日本エステティック機構は「エステティックサロン認証基準」を設け、技術サービスや機器の安全・衛生管理等の基準を設定しています。

価格競争の激化

エステサロンはもともと差別化を図りにくい業態です。さらに近年は市場が飽和状態で、価格競争に巻き込まれることが多く、結果的に厳しい経営を強いられている店舗が多く存在します。

エステサロンは顧客が一定期間の代金をサービスを受ける前に支払う前受金システムの業界なので、その資金をもとに人件費や運営に回すことができます。しかし、このシステムは事業者にとっては都合がいいものの、顧客には不安が多く解約をめぐるトラブルも起きています。

今後エステサロンは顧客とのトラブル回避のため、事前のより丁寧な説明が求められていくと考えられます。

エステサロン業界のM&A動向

エステサロン業界では大手企業による事業救済を目的としたM&Aが主流でしたが、近年ではコンプライアンス改善の効果も期待されています。

また、エステサロンではエステティシャンの技術力がそのままサービスの質に直結するため、従業員の教育は非常に重要視されています。各社きちんと技術をもったエステティシャンは常に不足しているため、大手企業は中小企業のエステサロンのM&Aによって人材不足を解消しようとしています。

このように事業再編はますます加速すると見られています。

また、近年では周辺事業者がエステサロン事業者のM&Aによって新規参入するケースも見られ、エステサロン業界の競争はますます激しくなると考えられています。

エステサロン業界におけるM&Aのメリット

売り手のメリット

エステサロン業界のM&A活用において、売り手側のメリットは以下が挙げられます。

  • 大手企業のもとで安定的に事業を継続することができる
  • 後継者が不在の場合、廃業せず事業を継続し社員の雇用を守ることができる
  • 後継者問題を解決し、株式譲渡による譲渡収入とともに経営から退くことができる
  • M&Aを契機に代表者による借入金の個人保証や担保を解消できる

買い手のメリット

エステサロン業界のM&A活用において、買い手側のメリットは以下が挙げられます。

  • 売り手の保有する店舗を確保できる
  • 売り手の保有する優秀な人材を獲得できる
  • 多店舗展開によるスケールメリットを享受できる
  • 売り手の保有するノウハウや機材を獲得できる

エステサロン業界のM&A・売却・買収事例

ANAPとアセアンビューティーホールディングスの資本提携

衣料品の輸入・販売を手掛けるANAPは、アジアにおいてエステサロン事業を展開するアセアンビューティーホールディングスと資本提携を結びました。

  • 実行時期:2020年9月
  • スキーム:資本提携
  • 取引価額:非公開
  • 目的:より強固な提携関係の構築

GFAによるヴィエリスのM&A

グループ会社でナイトクラブを運営するGFAは、全身脱毛サロン「KIREIMO」を手掛けるヴィエリスから一部事業を譲り受けました。

  • 実行時期:2022年9月
  • スキーム:事業譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:ヴィエリスの事業再建

AcroX HoldingsによるTACHIAOIのM&A

観光コンサルティング事業を手掛けるAcroX Hokdingsは、エステサロンの運営・オリジナル化粧品の販売を手掛けるTACHIAOIを子会社化しました。

  • 実行時期:2021年4月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:多様なサービスの提供

ファクトリージャパングループによる株式会社凛のM&A

エステサロンや整体師・セラピストの教育を手掛けるファクトリージャパングループは、エステサロン和み庵を運営する凛の事業を譲り受けました。

  • 実行時期:2018年2月
  • スキーム:事業譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:より働きやすい環境の整備

MHアドバイザリーによるエムズメディカルのM&A

美容やヘルスケア領域において経営支援サービスを展開するMHアドバイザリーは、痩身エステを運営するエムズメディカルの事業を譲り受けました。

  • 実行時期:2020年12月
  • スキーム:事業譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:フランチャイズ運営の展開

シーズ・ホールディングスによるセドナ―エンタープライズのM&A

化粧品会社のシーズ・ホールディングスは、エステサロンを展開するセドナエンタープライズを子会社化しました。

  • 実行時期:2017年11月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:エステサロン事業の強化

新日本ライフデザインによるシダックスビューティーケアマネジメントのM&A

ホテル業務受託や除菌・抗菌施工を手掛ける新日本ライフデザインは、リゾート向けのエステ事業を手掛けるシダックスビューティーケアマネジメントを子会社化しました。

  • 実行時期:2020年9月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:選択と集中による経営の効率化

おわりに

本記事のまとめ

エステサロン業界の市場動向、M&A動向、買収事例についてご紹介しました。

エステサロン業界の市場規模はほぼ横ばいで、長期的には縮小すると見られています。そのため市場は飽和状態にあり、競争が激化しています。

また代金や医療行為に関わるトラブルも頻繁に起こっており、コンプライアンスの徹底も問題になっています。

こうした課題解決のためM&Aを利用するケースが増えています。大手企業はM&Aによって経営の厳しい中小企業から事業を引き継ぎ人材を確保しています。

また、大手企業によるM&Aによって売り手企業のコンプライアンスの向上も期待されています。

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