千葉県のM&A・会社売却・買収事例、事業承継の動向

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現在、千葉県をはじめとした全国の中小企業において、後継者不在や事業の更なる成長を目的としたM&Aが注目を集めています。

本記事では、そうした千葉県のM&A動向を解説するとともに、千葉県における会社売却・買収事例や、事業承継の動向をまとめてご紹介します。

目次

千葉県のM&A・事業承継動向

千葉県の現状

県内の産業

千葉県は、三方を海に囲われており、かつ大消費地に近いという有利な立地条件を備えているため商工業・農業・水産業と産業を問わず活発です。(千葉県「千葉県の産業」)

商工業では京葉臨海地域において石油精製、石油化学、鉄鋼などの素材産業がコンビナートを形成するほか、県北西部にあたる東葛地域では東葛テクノプラザのような産業支援機関を中心に技術力の高い中小企業やベンチャー企業が密集し産学官が連携した研究開発が行われています。

また、幕張メッセを中核とする幕張新都心はオフィスやアミューズメント施設を備える国際業務都市としての役割を担っています。

千葉県は全国でも有数の農業県であり令和二年度の農業産出額は全国四位の3,852億円です。

首都圏への流通が容易であるという強みを活かして千葉・東葛地域で生産性の高い都市農業が展開されています。日本ナシ・落花生・大根などの品目は全国一位となっており、米(全国9位)や畜産(全国7位)でも全国有数の産出を誇ります。(農林水産省「都道府県の農林水産業の概要(令和4年版)」)

内湾性の東京湾と外洋性の太平洋海域を有する千葉県では水産業も活発です。みなと新聞「銚子28万トン11年連続1位」によると、2021年の銚子港の水揚げ量は29万309トンで11年連続日本一になっています。

銚子・九十九里地域の沖合ではまき網漁業や底びき網漁業などが、夷隅・安房地域では磯根漁業・小型船漁業・定置網漁業が、東京湾地域では、採貝漁業、潜水器漁業、ノリ養殖業などが盛んです。

M&Aによる事業承継の普及

千葉県ではM&Aを通じた事業承継により後継者不在問題が解消されつつあります。

帝国データバンク「後継者不在企業」動向調査(2022 年・千葉県)」によると、2022年に後継者がいないまたは未定とした千葉県内企業の割合は51.8%となり、2018年のピーク時(67.9%)から4年連続で低下しています。

経営者が70代である企業の後継者不在率は2021年の37.1%から2022年には30.0%まで改善しています。全国平均が3.9%の改善であったため千葉県の改善度合いが際立っていることがわかります。

改善の要因は、事業承継の手段としてM&Aが選択される機会が増えているためです。

経営者の就任経緯のうち「同族経営」の割合は2019年から減少している一方で買収や出向を含む「M&Aほか」の割合は21.7%と初めて20%を超えました。

事業承継税制の改良や金融機関主導の事業承継ファンドなどがM&Aによる事業承継の推進に寄与しており、今後も官民一体での支援が期待されます。

賃金上昇による人材確保

後継者不足は改善傾向にありますが、人手不足は悪化しています。

帝国データバンク「人手不足に対する千葉県内企業の意識調査(2022年4月)」によると、正社員について「不足」していると回答した県内企業の割合は 45.7%で、コロナ以前の水準に戻りつつあります。

2019年の50.9%からコロナによる経済停滞を受けて2020年には26.9%まで急低しましたが、現在は再度労働市場が逼迫しています。

こうした状況を踏まえて、企業による賃金改善の動きが加速しています。2022年度の総人件費の増加を見込んでいた企業は69.9%に上り、前年の49.5%から大幅に増加しました。

賃金の改善理由は「労働力の定着・確保」が71.3%と最多であったため、収益を圧迫したとしても人材を確保したい企業の姿勢がうかがえます。

千葉県のM&A・会社売却・事業承継動向

千葉県ではM&Aによる事業承継が普及してきたことで後継者問題が改善傾向にあります。後継者不在率は全国的にも低く、今後も後継者問題が解消されることが期待されます。

一方で千葉県内の社長平均年齢は2021年時点で60.6歳と全国平均の60.1歳よりわずかに高い状況です。

また、黒字経営のまま休廃業・解散に至った割合は全体の56.8%に上ることから依然として事業承継のニーズは高い状態であると言えます。(帝国データバンク「千葉県内の「休廃業・解散」動向調査(2021年) 」)

千葉県でM&A・事業承継を推進するには

M&A仲介会社などの専門家へ相談する

千葉県でM&Aや会社売却を推進する手段として、M&A仲介会社などの専門家に相談する方法があります。

M&A仲介会社とは、M&Aの専門家であるM&Aアドバイザーが売り手企業と買い手企業の間に立って、中立的な立場でM&Aの成立を支援する会社です。

M&Aにおいては法務的な手続きや税務処理、相手企業の選定まで、幅広い領域の専門性が必要不可欠であるため、こうした専門のアドバイザーに相談することは有効な手段の一つと言えます。

M&A仲介会社は得意領域や事業規模によって多数の会社が存在しているため、自社に合った会社を見つけることが重要です。

公的機関や金融機関へ相談する

千葉県事業承継・引継ぎ支援センター

千葉県事業承継・引継ぎ支援センターとは、中小企業庁の委託事業として設置された中小企業の事業承継を支援する公的機関です。

2021年4月に千葉県事業引継ぎ支援センターと千葉県事業承継ネットワークが統合する形で設立されました。

センターへの相談後は、現状の確認、課題の抽出整理を行った後、弁護士・中小企業診断士・税理士などの専門家や金融機関・商工会議所などの各支援機関と連携した円滑な支援を受けることができます。

千葉県よろず支援拠点

千葉県よろず支援拠点とは、中小企業・小規模事業者の相談に応じ経営課題を分析することで売上拡大につながる経営相談サービスの提供を行う公的機関です。

複合的な課題解決を可能とする支援チームの編成支援を行い、複数の支援機関、企業OB等の専門家や、大企業等事業連携先との調整も担います。

中小企業診断士、税理士、マーケティング、特許・技術、デザイナーなどの高い専門性をもった相談スタッフがいるため、売上拡大、経営改善、広報、雇用などあらゆる相談に対応しています。

千葉銀行

千葉銀行では、経営承継アドバイザリー業務やM&Aアドバイザリーサービスが提供されています。

2018年3月よりビズリーチとの業務提携を締結して、事業承継M&Aプラットフォーム「ビズリーチ・サクシード」活用した事業承継サービスも展開しています。

千葉県内各商工会議所・各商工会

千葉県内各商工会議所・各商工会とは、「商工会法」に基づき経済産業大臣の認可を受けて設立され、地区内の商工業の総合的な改善発達を図る経済団体です。

千葉県内には22の商工会議所と40の商工会が存在しています。

経営支援、創業支援、融資支援、専門家派遣などを主な事業として活動しています。

千葉県信用保証協会

信用保証協会とは、中小企業者が金融機関から事業資金の融資を受ける際に、「公的な保証人」となって金融の円滑化を図ることを目的として設立された、信用保証協会法に基づく認可法人です。

創業関連保証、小口零細企業保証、当座借越根保証などあらゆる保証に対応しています。

千葉県のM&A・売却・買収事例

カンケイ舎による住宅型有料老人ホーム事業のM&A

東京都、千葉県を中心に中重度介護者向け在宅サービスを手掛けるカンケイ舎(東京都品川区)は、合の家(千葉県市原市)から「フルール・ガーデン市原」と「フルール・ガーデン相模原」の2物件を対象に住宅型有料老人ホーム事業を譲受しました。

  • 実行時期:2022年10月
  • スキーム:事業譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:中重度者向け施設運営ノウハウの取得

イワブチによる富田鉄工のM&A

電力、通信、信号、放送、鉄道用各種電気架線金物の製造販売や送配電機器の部品、通信、放送用受信装置および支持機材の製造販売などを手掛けるイワブチ(千葉県松戸市)は、電気架線金物製造を手掛ける富田鉄工(千葉県松戸市)を子会社化しました。

  • 実行時期:2022年10月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:開発、材料調達、生産、配送の各工程での合理化

リソルホールディングスによる亀山湖カントリークラブのM&A

ホテル・ゴルフの運営事業などを手掛けるリソルホールディングス(東京都新宿区)は、東京ベイサイドリゾートの特別清算に伴い、会員制ゴルフ場を運営する亀山湖カントリークラブ(千葉県君津市)の株式を取得しました。

  • 実行時期:2021年1月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:ゴルフ場運営の経営改善

揚工舎による光風苑のM&A

有料老人ホームやデイサービス、訪問介護などの介護デイサービス事業、介護資格取得のための教育事業、介護人材の紹介を手掛ける揚工舎(東京都板橋区)は、介護付有料老人ホームを運営する光風苑(千葉県館山市)の全株式を取得しました。

  • 実行時期:2019年5月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:有料老人ホーム事業の拡大

京成電鉄による式田建設工業のM&A

鉄道業や不動産事業を手掛ける京成電鉄(千葉県市川市)は、官公庁舎や民間事務所などの建設工事を手掛ける式田建設工業(千葉県千葉市)の全株式を取得しました。

  • 実行時期:2019年4月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:既存事業の強化

クワザワによるフリー・ステアーズのM&A

マンションの給排水管の更新工事などを手掛けるクワザワ(北海道札幌市)は、首都圏でマンションの防水工事や塗装工事を主体に大規模修繕工事を手掛けるフリー・ステアーズ(千葉県佐倉市)の全株式を取得しました。

  • 実行時期:2020年1月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:マンション工事事業の拡大

レンゴーによる武田紙器のM&A

段ボール、段ボール箱、紙器、その他紙加工品、板紙軟包装製品、セロファン、重包装製品の製造・販売を手掛けるレンゴー(大阪市北区)は、POP、SPなどのパッケージ関連製品の企画・販売を手掛ける武田紙器(千葉県柏市)の全株式を取得しました。

  • 実行時期:2019年8月
  • スキーム:株式譲渡
  • 取引価額:非公開
  • 目的:関東地区におけるグループ段ボール事業の拡充

おわりに

本記事のまとめ

千葉県におけるM&A・事業承継の動向や、会社売却・買収事例をご紹介しました。

千葉県でM&Aを行う際は、千葉県で実績のあるM&A仲介会社などの専門家や、全国を対象にM&Aを取り扱う仲介会社を活用することがおすすめです。

各M&A仲介会社は、業種や地域、取引規模、手数料体系などで強みが分かれ、提供しているサービスも異なるため、地域への強みに加え、こうしたポイントも事前に確認しておくとよいでしょう。

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