中小M&Aガイドラインとは?概要・内容・ポイントを解説
中小M&Aガイドラインは、後継者不在の中小企業がM&Aによる事業承継を目指す際の指標として、経済産業省によって2020年3月に発表されたガイドラインです。
本ガイドラインでは、M&A実施に役立つ情報がまとめられています。
本記事では、中小M&Aガイドライン策定に至った経緯と、中小M&Aガイドラインの構成内容の詳細について解説していきます。
中小M&Aガイドラインとは
中小M&Aガイドライン策定の背景
「中小M&Aガイドライン」は、「第三者承継支援総合パッケージ」に基づき、「事業引継ぎガイドライン」を経済産業省が全面改訂し、2020年3月に発表したものです。
後継者不在で廃業危機にある中小企業に向け、M&Aにより第三者に事業承継することの手引き書として策定されています。
従来は、2017年に策定された「事業引継ぎガイドライン」が用いられてきましたが、これを全面改訂して2020年に中小M&Aガイドラインが新たに策定されました。
従来の「事業引継ぎガイドライン」策定後も、第三者に会社を売却することに抵抗感を持つ中小企業経営者は相当数存在することが分かっており、ガイドラインの中身について、より実践的にM&Aが理解できるように、具体例なども交えた内容に改訂したものが「中小M&Aガイドライン」です。
中小企業のM&Aを支援する立場になるM&A仲介業者などに対して、事業のスタンスについて指針を出すことによって、中小企業のM&Aがさらに促進される狙いもあります。
中小M&Aガイドラインの概要
中小M&Aガイドラインは、中小企業のM&Aをスムーズに進めるため、M&Aに関する基本的な内容が説明されています。また、それと合わせてM&A仲介業者などの支援者に向けた行動指針も記されています。
中小企業M&Aにおいては、特に買い手にとって以下のような課題が根強く残っています。
- M&Aを進めようと思っても、M&Aに対する知見・経験がない
- M&A業務の手数料等をいくら払うべきか分からない
- M&A支援に対する不信感が拭えない
中小企業がM&Aを躊躇する課題背景に対して、約20の中小M&Aの例示や、中小M&Aで確認すべき事項や契約書等の雛形、M&A業務の手数料の考え方、M&A支援機関としての在り方などを示し、課題解決を図っています。
中小M&Aガイドラインの構成
中小M&Aガイドラインは、以下の2章から構成されています。
第1章:後継者不在の中小企業向けの手引き
後継者不在の中小企業に向けて、M&Aを検討する際の基本指針を示したものです。
第2章:支援機関向けの基本事項
中小企業のM&A検討・実行をサポートする支援機関の、基本指針を示したものです。末尾には、各種の参考資料が添付されています。
以下では、上記の2つの章について、それぞれ解説していきます。
第1章:後継者不在の中小企業向けの手引き
第1章「後継者不在の中小企業向けの手引き」では、後継者不在の中小企業がM&Aを検討するための手引きとなる指針を示しており、以下の6節で構成されています。
- 後継者不在の中小企業にとっての本ガイドラインの意義等
- 中小M&Aの進め方
- M&Aプラットフォーム
- 事業引継ぎ支援センター
- 仲介者・FA の手数料についての考え方の整理
- 問い合わせ窓口
以下では、上記の6節について、それぞれ解説していきます。
後継者不在の中小企業にとっての本ガイドラインの意義等
第1節「後継者不在の中小企業にとっての本ガイドラインの意義等」では、以下の4項目について述べられています。
- 後継者不在の中小企業にとっての本ガイドラインの意義等
- 中小M&Aの事例
- 譲り渡し側にとっての基本姿勢
- 譲り渡し側にとっての留意点
後継者不在の中小企業にとっての本ガイドラインの意義等
中小M&Aガイドラインには、後継者不在の中小企業にとっての中小M&Aガイドラインの意義として、以下の項目が記載されています。
- 中小M&A独自の特色について考慮した説明がなされていること
- 中小M&Aが適切な形で促進されるように、譲渡側のオーナー経営者を後押しすることを目的としていること
大手企業が経営戦略として実行するM&Aと、後継者不在の中小企業が事業承継を目的として行うM&Aは、同じM&Aでも大きく性質が異なります。
このような前提のもと、中小M&Aガイドラインでは、中小企業経営者が事業承継M&Aを検討する上で役立つ情報提供を掲げています。
中小M&Aの事例
中小M&Aガイドラインと同時に公表された「参考資料」内に掲示されているM&A事例の分類が示されています。全18事例が8分類されており、各分類の内容は以下のとおりです。
- 小規模企業・個人事業主において中小M&Aが成立した事例
- 経営状況が良好でない中小企業において中小M&Aが成立した事例
- 親族内承継の頓挫から中小M&Aに移行し成立した事例
- 意思決定のタイミングが中小M&Aの成立内容に影響を与えた事例
- 譲り渡し側の条件の明確化が中小M&Aの成立に寄与した事例
- 従業員の反対にもかかわらず成立した事例
- 廃業を予定していたものの中小M&Aが成立した事例
- 何らかの理由により中小M&Aが成立しなかった事例
譲り渡し側にとっての基本姿勢
中小M&Aにおける譲り渡し側(M&Aで事業承継を実施する側)が、M&Aに対してどのようなスタンスであるべきか、以下の3つの観点から述べられています。
- 中小M&Aに関する基本的な認識の変化
- 従業員・取引先などへの影響の緩和
- 譲り受け側から見た、譲り渡し側の事業の魅力
譲り渡し側にとっての留意点
M&Aで事業承継を行うとする場合に譲渡側が注意すべき項目について、以下の3点から述べられています。
- 早期判断の重要性
- 秘密保持の徹底
- 中小M&A手続き進行上の留意点
中小M&Aの進め方
第2節「中小M&Aの進め方」では、以下の3項目について述べられています。
- 中小M&Aフロー図
- 中小M&Aに向けた事前準備
- 中小M&Aにおける一般的な手続きの流れ(フロー)
中小M&Aフロー図
以下のとおり、中小M&Aの各プロセスにおける、中小企業側の動きと、それに対応する各支援機関の例が示されています。
出典:経済産業省「中小M&Aガイドライン」
中小M&Aに向けた事前準備
中小M&Aを行う場合に事前に行うべき準備について、以下の4点から説明がされています。
- 支援機関への相談
- 後継者不在であることの確認
- 引退後のビジョンや希望条件の検討
- 中小M&Aに先立つ「見える化」「磨き上げ」(株式・事業用資産などの整理・集約)
事業承継を目的とするM&Aで用いられるスキームは株式譲渡ですが、株式譲渡をスムーズに行うために、株式が分散しているならば集約しておくべきことや、第三者名義になっている事業用資産の変更手続きを行っておくことなどが述べられています。
中小M&Aにおける一般的な手続きの流れ(フロー)
ここでは、先に掲げたフローに基づいて中小M&Aにおける各プロセスの説明がなされています。各プロセスは以下のとおりです。
- 意思決定
- 仲介契約・FA契約の締結(仲介者・FAを選定する場合)
- バリュエーション(企業価値評価・事業価値評価)
- 譲り受け側の選定(マッチング)
- 交渉
- 基本合意の締結
- デューデリジェンス(DD)
- 最終契約の締結
- クロージング
- クロージング後(ポストM&A)
M&Aプラットフォーム
第3節「M&Aプラットフォーム」では、以下の3項目について述べられています。
- M&Aプラットフォームの基本的な特徴
- M&Aプラットフォーム利用の際の留意点
- M&Aプラットフォームの手数料
M&Aプラットフォームの基本的な特徴
M&Aプラットフォームを活用する場合のメリットについて述べられています。
具体的には、M&Aに敷居の高さを感じてしまうような小規模な事業者でも利用しやすいこと、専門家を通さずに当事者同士のみでM&Aを進めることが可能な点などが主なメリットになります。
M&Aプラットフォーム利用の際の留意点
M&Aプラットフォーム利用時に注意すべき点として、以下の2点について述べられています。
- 情報の取扱い
- 利用するM&Aプラットフォームの選択
M&Aプラットフォームというサービスを提供する事業者は近年増えつつあります。それらを相互に比較し、どのM&Aプラットフォームを利用するかを適切に判断することが重要となります。
M&Aプラットフォームの手数料
M&Aプラットフォームの手数料について、以下の2点について述べられています。
- 料金体系
- 具体例
現状、M&Aプラットフォーム利用の際に譲り渡し側は無料であることが多くなっています。
事業引継ぎ支援センター
第4節「事業引継ぎ支援センター」では、以下の2項目について述べられています。
- 事業者同士の中小M&Aの支援
- その他の支援
事業者同士の中小M&Aの支援
事業引継ぎ支援センターが行う支援について、以下の2点に内容を分けて説明がされています。
- 支援フロー
- センターの構築するデータベース
1点目の支援フローは以下の3段階に分けてその内容が説明されています。
- 初期相談対応(一次対応)
- 登録機関などによるM&A支援(二次対応)
- センターによるM&A支援(三次対応)
事業引継ぎ支援センターは公的機関のため、相談や支援などは基本的に全て無料になっています。
その他の支援
事業引継ぎ支援センターが実施するその他の支援について、以下の2項目から説明がされています。
- 後継者人材バンク
- 経営資源の引継ぎ
後継者人材バンクとは、事業承継によって起業を希望する個人と後継者不在の中小事業者をマッチングする、事業引継ぎ支援センターの独自事業です。
仲介者・FA の手数料についての考え方の整理
第5節「仲介者・FA の手数料についての考え方の整理」では、以下の4項目について述べられています。
- 手数料の種類
- レーマン方式
- 具体例
- 業務内容と手数料の関係
手数料の種類
M&Aで発生する手数料の種類としては、以下の4つが説明されています。
- 着手金
- 月額報酬
- 中間金
- 成功報酬
上記のうち、成功報酬額の算定方法は各支援機関により算定基準額が異なるため注意が必要です。ここでは、算定基準額を以下の3種類に大別し、説明がされています。
- 譲渡額(譲受額)方式
- 移動総資産額方式
- 純資産額方式
譲渡額(譲受額)とは、成約したM&Aの取引額を指します。移動総資産額とは、譲渡額に譲り渡し企業の負債額を加算したものをいいます。純資産額は、譲り渡し企業の資産と負債の差額にあたります。
レーマン方式
報酬を算定する手法としては、レーマン方式と呼ばれる計算方法が採用されることが多くあります。具体例として、ガイドラインでは以下の計算方法が示されています。
出典:経済産業省「中小M&Aガイドライン」
具体例
上記の具体例としてガイドラインでは3つの事例が挙げられ、具体的な手数料の計算内容も示されています。
業務内容と手数料の関係
M&A支援に係る手数料は業界横断的な一律性がありません。そのため、依頼する支援機関の対応内容と手数料見積り額の擦り合わせを事前にきちんと行い、比較検討することの重要性が説明されています。
多くのM&A支援機関では無料相談が可能なので、まずはそういった相談機会を活用することが重要です。
問い合わせ窓口
第6節「問い合わせ窓口」では、実施中の中小M&Aでの疑念や、M&A完了後に生じた疑問などの相談窓口として、以下の2つの問い合わせ先が紹介されています。
- 事業引継ぎ支援センター(現事業承継・引継ぎ支援センター)
- 日本弁護士連合会(ひまわりほっとダイヤル)
第2章:支援機関向けの基本事項
第2章「後支援機関向けの基本事項」は、支援機関が依頼業務を行う際の行動規範について指針を示しており、以下の6節で構成されています。
- 支援機関としての基本姿勢
- M&A専門業者
- 金融機関
- 商工団体
- 士業等専門家
- M&Aプラットフォーマー
以下では、上記の6節について、それぞれ解説していきます。
支援機関としての基本姿勢
第1節「支援機関としての基本姿勢」では、以下の3項目について述べられています。
- 依頼者(顧客)の利益の最大化
- それぞれの役割に応じた適切な支援
- 支援機関間の連携
依頼者(顧客)の利益の最大化
中小M&A についての専門知識を有する支援機関には、以下のことが求められるとしています。
- 中小企業の意思決定やその後の諸手続の段階において適正なサポートを行うこと
- 依頼者(顧客)の利益に真に忠実に動くこと
- 重要な判断を依頼者(顧客)に求める場合には、十分に説明して納得を得た上で進めること
これらの理由としては以下が挙げられます。
- 多くの中小企業は、M&Aについての専門知識を有しない
- 依頼者(顧客)が、支援機関の専門的な業務や手数料の妥当性等について、適切に判断することが困難であるケースも想定される
それぞれの役割に応じた適切な支援
各支援機関に求められる役割として、以下のとおり言及されています。
- M&A専門業者:マッチングやその後の諸手続の進捗管理等を含む総合的な支援すること
- 金融機関:融資を通じて中小企業の経営状況等を詳細に把握していることや、豊富なネットワークを有していることから、これらの情報を生かした中小 M&A に関する積極的な働きかけること
- 商工団体:中小企業の身近な相談相手である窓口機能を生かして適切な支援機関に紹介する等の支援を行うこと
- 士業等専門家:専門的な知見を生かしてM&Aの手続の遂行等を支援すること
支援機関間の連携
中小M&Aガイドラインでは、それぞれの支援機関が役割を全うしつつ、各支援機関同士で連携することで、M&A支援の質を向上させられるとしています。
M&A専門業者
第2節「M&A専門業者」では、以下の6項目について述べられています。
- M&A専門業者による中小M&A支援の特色
- 行動指針策定の必要性
- 各工程の具体的な行動指針
- 仲介者における利益相反のリスクと現実的な対応策
- 専任条項の留意点
- テール条項の留意点
M&A専門業者による中小M&A支援の特色
中小M&Aガイドラインでは、M&A専門業者についてやその注意点について、以下のように述べられています。
- M&A専門業者がマッチング・交渉等についての支援を行うことで、数多くの中小M&Aが成立してきた
- M&A専門業者は近年の中小M&A市場の成長に相当程度の貢献を果たしてきた
- M&A専門業者については、許可制・免許制等は採用されていない
- 業界全体における一般的な法規制も存在していない
- 適切に業務を進めるための支援経験や知見の乏しいM&A専門業者等も存在している
行動指針策定の必要性
中小M&Aガイドラインでは、中小M&A市場の透明性・公正性を確保するためには、一定の指針が示される必要があるとしています。
各工程の具体的な行動指針
以下のM&Aフローにおける各プロセスの支援機関の姿勢・業務内容について、細かく述べられています。
- 意思決定
- 仲介契約・FA契約の締結(仲介者・FAを選定する場合)
- バリュエーション(企業価値評価・事業価値評価)
- 譲り受け側の選定(マッチング)
- 交渉
- 基本合意の締結
- デューデリジェンス(DD)
- 最終契約の締結
- クロージング
- クロージング後(ポストM&A)
仲介者における利益相反のリスクと現実的な対応策
M&A仲介における利益相反リスクの具体的な対応策として、仲介者は以下の措置を講じるべきとしています。
- 譲り渡し側・譲り受け側の両当事者と仲介契約を締結する仲介者であるということを予め両当事者に伝える
- 仲介契約締結に当たり、予め、両当事者間において利益相反のおそれがあるものと想定される事項について、各当事者に対し明示的に説明を行う
専任条項の留意点
専任条項とは、独占委託契約をさします。
ガイドラインでは、中小M&Aの譲り渡し側がM&A未経験者であることを考慮し、1つの支援機関だけに全てを委ねるのではなく、現状確認や疑問解決のためにセカンドオピニオンを得る機会を極力阻むことがないように求められています。
テール条項の留意点
譲り渡し側とM&A専門業者との間における契約内容として、当該契約終了後一定期間(テール期間)内に 、譲り渡し側が譲り受け側との間でM&Aを行った場合に、当該契約等は終了していても、当該 M&A専門業者が手数料を取得する条項(テール条項)が定められるケースがあります。
これは、依頼側が支援機関に支払う手数料の負担をなくすためにあえて破談にし、依頼契約終了後、当事者間のみでM&Aを成約するような事態を防ぐためのものです。
中小M&Aガイドラインでは、テール期間は2~3年程度、対象は当該支援機関が仲介に関わった事業者のみとするよう、明確な基準を示しています。
金融機関
第3節「金融機関」では、以下の3項目について述べられています。
- 金融機関による中小M&A支援の特色
- 主な支援内容
- 中小M&A支援に関する留意点
金融機関による中小M&A支援の特色
中小M&Aガイドラインでは金融機関の特徴として、以下の点があると述べています。
- 貸付先である顧客の詳細な財務情報等を保有している
- 顧客にとって経営相談等も行う身近な支援機関
- 特に地方においては非常に重要なネットワークを有する存在
- 中小M&A支援の際に、顧客のマッチング候補先を外部に求めるだけでなく、自らの顧客基盤の中からマッチング候補先を抽出できる
主な支援内容
金融機関が中小企業に対して行っている経営・M&A支援について、以下の3点を挙げています。
- 気付きの機会の提供、「見える化」「磨き上げ」支援
- 中小M&A実行支援
- 中小M&A実行以後に関する支援(ポストM&A支援)
中小M&A支援に関する留意点
以下4つの観点で、金融機関が中小M&A支援を実施する際に求められる行動指針について述べられています。
- 他の支援機関との連携
- 情報管理の徹底
- 譲り渡し側が事業再生局面にある場合の中小M&A支援のあり方
- 経営者保証に関するガイドラインの順守
他の支援機関との連携は、「支援体制をこれから本格的に整備する場合」「支援体制を構築中の場合」「支援体制を運用中の場合」の3つのケースに分け、注意を促しています。
情報管理の徹底については、「対外的な情報管理の徹底」「対内的な情報管理の徹底」という両面から注意が促されています。
商工団体
第4節「商工団体」では、以下の3項目について述べられています。
- 商工団体による中小M&A支援の特色
- 主な支援内容
- 中小M&A支援に関する留意点
商工団体による中小M&A支援の特色
各種商工団体は公的機関であり、各地域の商工会や商工会議所は、地元の中小企業にとっての最も身近な経営相談の相手という地位を確立しています。
そのため、事業承継・中小M&Aの最初の相談先となることも多く、事業承継・引継ぎ支援センターの運営事務局を任されている商工会議所も多く存在します。
主な支援内容
商工団体が担うべき中小M&Aの支援内容・役割について、以下の2点を挙げています。
- 気付きの機会の提供
- 適切な支援機関への橋渡し
中小M&A支援に関する留意点
商工団体がM&Aを支援する際の行動指針として、以下2点に留意するよう述べられています。
- 情報の取り扱いに関する注意
- ほかの支援機関との連携
士業等専門家
第5節「士業等専門家」では、以下の5種類の士業について述べられています。
- 公認会計士
- 税理士
- 中小企業診断士
- 弁護士
- その他の士業等専門家
公認会計士
公認会計士については、以下の3項目について述べられています。
- 公認会計士による中小M&A支援の特色
- 主な支援内容
- ほかの支援機関との連携
このうち主な支援内容としては、以下の6点について課題や検討ポイントが述べられています。
- 適正な財務書類の作成支援
- プレM&A支援
- バリュエーション(企業価値評価・事業価値評価)
- 財務DD(デューデリジェンス)
- 債務超過企業に対する中小M&A支援
- 中小M&A実行以後に関する支援(ポストM&A支援)
税理士
税理士については、以下の3項目について述べられています。
- 税理士による中小M&A支援の特色
- 主な支援内容
- ほかの支援機関との連携
このうち主な支援内容としては、以下の8点について行動指針が示されています。
- 適正な税務申告書等の作成など
- 中小M&Aに伴う経営者保証解除の円滑な実現に向けた支援
- 中小M&Aの課税関係などを踏まえた適切な助言および提案
- 中小企業等経営強化法における登録免許税・不動産取得税の特例、許認可承継の特例
- 税務DD(デューデリジェンス)
- バリュエーション(企業価値評価・事業価値評価)
- マッチングサイトなどの活用
- 債務超過企業に対する中小M&A支援
中小企業診断士
中小企業診断士については、以下の3項目について述べられています。
- 中小企業診断士による中小M&A支援の特色
- 主な支援内容
- ほかの支援機関との連携
このうち主な支援内容としては、以下の6点について行動指針が示されています。
- 気付きの機会の提供
- 中小M&A前後の企業価値・事業価値向上への貢献
- 企業概要書の作成などの支援
- 中小M&Aに伴う経営者保証解除の円滑な実現に向けた支援
- ビジネス(事業)DD(デューデリジェンス)
- 債務超過企業に対する中小M&A支援
弁護士
弁護士については、以下の3項目について述べられています。
- 弁護士による中小M&A支援の特色
- 主な支援内容
- ほかの支援機関との連携
このうち主な支援内容としては、以下の5点について行動指針が示されています。
- 株式・事業用資産などの整理・集約の支援
- 契約書などの作成・リーガルチェック
- 中小M&Aに伴う経営者保証解除の円滑な実現に向けた支援
- 法務DD(デューデリジェンス)
- 債務超過企業に対する中小M&A支援
その他の士業等専門家
上記の4士業以外にも、中小M&A支援に関わる可能性がある士業としては以下が存在します。
- 行政書士
- 司法書士
- 社会保険労務士
中小M&Aガイドラインでは、これらの士業専門家においてもほかの専門家と連携し、適切なM&A支援を行うことを望む旨が述べられています。
M&Aプラットフォーマー
第6節「M&Aプラットフォーマー」では、以下の3項目について述べられています。
- M&Aプラットフォーマーによる支援の特色
- 主な支援内容
- 中小M&A支援に関する留意点
M&Aプラットフォーマーによる支援の特色
M&Aプラットフォームは以下の2点の特徴があり、中小M&Aガイドラインでは、中小M&Aを後押しする存在と位置付けています。
- 安価(場合によっては無料)でM&Aの交渉相手を探すことができる
- M&A仲介業者を介さず、当事者自らがサイト上で相手を探すことができ、利用のハードルが低い
主な支援内容
M&Aプラットフォーマーに求められる行動指針について、以下の2つの観点から提言がされています。
- マッチングの機会の提供
- 後継者不在の中小企業に対する中小M&Aに係る意識醸成
中小M&A支援に関する留意点
M&Aプラットフォーマーの注意すべきポイント・行動指針について以下の3項目から述べられています。
- サービス内容の明確化
- 掲載案件の信頼性
- ほかの支援機関との連携
掲載案件の信頼性については、具体的な留意点として以下の2点が提起されています。
- 掲載案件の実在性の確認
- 掲載案件の進捗状況の確認
おわりに
本記事のまとめ
後継者不在を背景にM&Aを検討する中小企業経営者にとって、日常の業務で触れてくることのなかったM&Aというものに、踏み出しづらいのが実情です。
中小M&Aガイドラインは、そのような中小事業者の後押しをすべく、経済産業省によってまとめられたものです。
また、中小M&Aガイドラインでは、M&A支援業務を行っている機関に対しても、中小M&Aが円滑に行われていくための行動指針を提示しています。
M&Aを志す事業者の側もM&Aを支援する業務を行う側も、一度は目を通すべき内容であると言えます。
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