30代でSIerから転職するなら知っておきたい市場の実態と職務経歴書の書き方

「調整ばかりで技術が身についていない」「35歳を過ぎたら転職は難しいのではないか」と、30代でSIerからの転職に不安を感じている方は多いのではないでしょうか。結論から言うと、30代のSIer経験者に対する転職市場の需要は高く、年齢そのものが壁になるケースは限定的です。選考で差がつくのは、要件定義や顧客折衝、ベンダーの調整といった経験を、社外に通じる言葉で説明できるかどうかです。
この記事では、30代のSIer転職の実態、転職市場で評価される経験、ITコンサルや社内SEなど主な転職先4ルートの向き不向き、後悔しない企業の見極め方、職務経歴書と面接の対策、転職の進め方を順に解説します。読み終えたときに、自分の経験をどう活かし、どこを目指すべきかが見えてくる内容です。
30代のSIer転職は難しい?転職市場の実態
30代のSIer経験者は転職市場で求められている
結論から述べると、30代のSIer経験者に対する転職市場の需要は高い状態が続いています。背景にあるのは、DX推進や内製化の流れです。事業会社はIT部門を強化するため、要件定義やプロジェクト推進を任せられる人材を外部から採用しており、総合系のコンサルティングファームもシステム導入の実行支援を拡大しています。
こうした企業が求めているのは、現場で案件を動かしてきた即戦力です。SIerで培った経験は、第二新卒のようなポテンシャル採用とは異なる経験者採用の枠で評価されます。30代だから難しいと決めつける前に、企業側の視点で自分の経験を見直すことが大切です。


30代前半と30代後半で求められる経験は異なる
同じ30代でも、前半と後半では企業が見るポイントが変わります。30代前半は実務経験とポテンシャルの両方が評価の対象となり、職種や業種を変えるキャリアチェンジも比較的しやすい時期です。一方で30代後半になると、専門性やマネジメントの実績が重視され、入社後すぐに成果を出せるかが問われます。
- 30代前半:担当工程の実務経験、学習意欲、新しい環境への適応力
- 30代後半:専門領域の深さ、PMやPLとしての実績、後進育成の経験
自分がどちらの時期にいるかを把握し、それに合った戦略を立てることが、転職活動の最初の一歩になります。
「35歳の壁」の正体は年齢よりも経験の伝え方にある
「35歳を過ぎると転職は厳しい」と言われることがありますが、年齢そのものが選考の壁になるケースは限定的です。実際に選考で不利に働くのは、自分の経験を社内でしか通じない言葉で語ってしまうことです。たとえば「基幹システムの改修案件でリーダーを担当」と書いても、採用担当者にはプロジェクトの規模や自分の役割、何を判断したのかが伝わりません。
長く同じ組織にいると、社内用語や独自の進め方に慣れ、外の企業に通じる形で説明する機会が減ります。壁の正体がこの点にあると分かれば、対策は明確です。後半の職務経歴書の章で、具体的な伝え方を説明します。
マネジメント経験がなくても30代で転職はできる
「PMの経験がないと30代の転職は難しいのではないか」という不安を持つ方は多いですが、マネジメント以外にも評価される軸はあります。企業が30代に求めているのは、肩書ではなく、任された領域で何を考えて動いてきたかという中身です。
- 要件定義や基本設計など、担当した工程の深さ
- 金融や製造といった特定業種の業務知識
- インフラやクラウド、セキュリティなどの技術的な専門性
- 顧客やベンダーとの折衝、チーム内の調整で果たした役割
これらのうち一つでも強みとして語れる経験があれば、マネジメントの肩書がなくても転職の選択肢は十分にあります。
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30代でSIerからの転職を考える主な理由
調整業務が中心で技術力が身につかない不安
30代でSIerからの転職を考える理由として最も多く聞かれるのが、「調整業務ばかりでエンジニアとしての技術力が身につかない」という不安です。リーダーやサブリーダーになると、要件の調整、進捗管理、協力会社への作業依頼、エビデンスの整理といった業務が大半を占め、コードを書く機会は減っていきます。クラウドやAIといった最新技術の話題に触れるたびに、自分の市場価値に疑問を感じる方も少なくありません。
ただし、この不安の多くは「技術力がない」ことではなく、「調整の経験をスキルとして認識できていない」ことから生まれています。この点は後の章で詳しく説明します。
多重下請け構造の中で年収や裁量が頭打ちになる
SIer業界には、元請けから二次請け、三次請けへと仕事が流れる多重下請けの構造があります。商流のどの位置にいるかによって、担当できる工程や案件の裁量、そして給与の上限が決まりやすいのが実態です。下位の商流では、個人がどれだけ成果を出しても会社の売上単価に上限があるため、年収が伸びにくくなります。
同じ現場で働く元請け企業の社員との待遇差を目にして、構造的な限界を感じる方も多いです。この問題は個人の努力だけでは変えにくいため、商流の位置を上げる転職が現実的な解決策の一つになります。業界を変えずに環境を変える選択肢として、後の章で扱います。
夜間や休日の対応と長時間労働で生活との両立が難しい
運用保守や障害対応を担当していると、夜間や休日に突発的な呼び出しが入ることがあります。リリース前の繁忙期には残業が続き、客先常駐の場合は勤務地や勤務時間を自分で選べないことも多いです。20代のうちは体力で乗り切れていた働き方が、30代になって結婚や育児といったライフステージの変化と重なると、続けることが難しくなります。
家族との時間を確保したい、転勤や常駐先の変更に左右されない生活をしたいという理由から、リモートワークやフレックス制度が整った企業への転職を考える方が増えています。働き方の改善は、30代の転職において優先度の高い目的の一つです。
将来の市場価値やキャリアの先行きに不安がある
30代後半に差しかかると、40代以降のキャリアをどう描くかという問いが現実味を帯びてきます。社内の管理職ポストが限られていて昇進の道筋が見えない、担当している案件がレガシーな技術環境で今後の需要に不安がある、といった状況は珍しくありません。また、自社の事業の方向性と自分のキャリアの方向性がずれてきたと感じる方もいます。
こうした将来への不安は、今すぐ転職しなくても、自分の市場価値を客観的に確認する動機になります。30代のうちに経験を棚卸しし、どの業種や職種で評価されるのかを把握しておくことは、転職するかどうかに関わらず意味のある行動です。
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30代のSIer経験者が転職市場で評価される経験やスキル
プロジェクトマネジメントやチームマネジメントの経験
PMやPLとして、スケジュール管理、予算管理、リスク管理、メンバーの育成に関わった経験は、転職先の業種を問わず高く評価されます。採用側が見ているのは、担当したプロジェクトの規模そのものよりも、「どのような局面で何を判断したか」という中身です。
たとえば、遅延が見えた段階でスコープを調整した、品質問題に対して体制を組み替えた、といった判断の事例は、規模が小さくても強いアピールになります。小規模なチームのリーダーや、工程単位のサブリーダーの経験でも、判断の内容を具体的に説明できれば、マネジメント経験として十分に通用します。
要件定義や基本設計など上流工程の経験
顧客の業務課題を聞き取り、システムの要件に落とし込んだ経験は、ITコンサルタントや事業会社の社内SEへの転職で直接活きるスキルです。上流工程を担当できる人材はどの業種でも不足しており、求人でも「要件定義の経験歓迎」と明記されることが多いです。
ただし、「上流工程に関わった」という表現だけでは評価されにくいため、自分がどの工程で、どの役割を担ったのかを明確にしておく必要があります。顧客との要件の合意形成を主導したのか、設計書のレビューを担当したのか、業務フローの整理を行ったのかなど、関与の深さが伝わる形で整理しておくことが重要です。

顧客折衝やベンダーコントロールなどの調整力
読者の多くが「調整ばかりだった」と低く見積もっている経験こそ、採用側が最も評価しているスキルの一つです。顧客と協力会社の間に立ち、利害の異なる関係者をまとめて案件を前に進める力は、転職市場では「ステークホルダーをまとめる力」「炎上しかけた案件を収める力」として認識されます。
事業会社のIT部門や総合系のコンサルティングファームでは、複数のベンダーを統括してプロジェクトを推進する役割が求められており、この経験を持つ人材は貴重です。コードを書く機会が減ったことを気にするよりも、どのような対立をどう整理して合意に導いたかを言葉にする方が、転職活動では有効です。
金融や製造、公共など特定業種の業務知識
長く担当してきた業種の業務知識は、技術以外の強みとして評価されます。金融機関の勘定系や保険の契約管理、製造業の生産管理、官公庁の調達プロセスなど、業種特有の業務を理解しているエンジニアは、同じ業種の事業会社や、その業種を顧客に持つコンサルティングファームから求められます。
システムの導入では、技術の知識だけでなく「その業務がなぜそう動いているのか」を理解していることが、要件定義の質を大きく左右するからです。自分が担当してきた案件を業種ごとに整理し、どの業務領域に詳しいのかを明確にしておくと、応募先の選定やアピールの軸が定まります。


インフラやクラウド、セキュリティなどの技術的専門性
アプリケーション開発だけでなく、インフラの構築や運用、クラウドへの移行、セキュリティ対応といった技術領域の経験も需要が高い分野です。特にオンプレミスからクラウドへの移行案件は多くの企業で進んでおり、両方の環境を理解しているエンジニアは重宝されます。
運用保守が中心だった方でも、障害対応の経験や監視設計の知見は、安定稼働を重視する事業会社で評価されます。技術志向の方は、担当してきた基盤の規模や構成、使用したクラウドサービス、取得した資格などを整理し、どの領域に専門性があるのかを示せるようにしておくと、転職先の幅が広がります。



30代のSIer経験者の主な転職先4ルートと向き不向き
ITコンサルティングファーム:上流工程と裁量を求める人向け
PMや要件定義の経験が最も直接的に評価されるのが、ITコンサルティングファームへの転職です。総合系ファームはDX支援やシステム導入の実行支援を拡大しており、SIer出身者の採用に積極的です。経営課題の整理から関われるため、顧客の意思決定に近い立場で仕事をしたい方に向いています。
一方で、求められる思考の速さや資料作成の水準、成果に対する評価の厳しさはSIerとは異なります。案件によっては長時間労働になることもあり、働き方の改善を第一の目的とする方には合わない場合があります。年収や裁量と引き換えに、環境の変化に適応する覚悟が必要なルートです。

事業会社の社内SEや情報システム部門:働き方を見直したい人向け
自社のシステムに腰を据えて関わりたい、突発対応の少ない環境で働きたいという方には、事業会社の社内SEが選択肢になります。発注側の立場でベンダーを管理する役割が中心となるため、SIerで培った調整力や上流工程の経験が活きます。自社勤務のため転勤や常駐先の変更が少なく、リモートワークやフレックスの制度が整っている企業も多いです。
ただし、企業によってIT部門の体制や業務範囲は大きく異なります。少人数で社内のIT業務全般を担うケースもあるため、求人の見極めが重要です。確認すべき点は後の章で詳しく説明します。
上位SIerや元請けSIer:同じ業界で商流を上げたい人向け
業界や仕事の進め方を大きく変えずに、担当工程や裁量を広げたい方には、元請けの大手SIerや上位の商流にいるSIerへの転職が向いています。これまでの経験をそのまま活かせるため、新しい環境への適応の負担が比較的小さく、二次請けや三次請けの立場で経験を積んできた方にとって現実的なルートです。元請けの立場になると、顧客と直接向き合い、プロジェクト全体の方針を決める役割を担うことになります。
年収や勤務条件も商流の位置に応じて改善が期待できます。同じ業界内の転職であるからこそ、面接では担当した工程と役割を具体的に説明できることが重要になります。

Web系や自社開発企業:技術力を磨きたい人向け
モダンな技術環境で開発に集中したい方には、Web系企業や自社開発企業が選択肢になります。自社のサービスやプロダクトの成長に直接関わることができ、エンジニアとしての技術力を高めたい方には魅力的な環境です。ただし、このルートでは開発経験や技術力がより重視されるため、30代では実務での開発経験の深さが問われます。
調整業務が中心だった方がこのルートを選ぶ場合、個人での学習実績やポートフォリオの用意が必要になることもあります。また、評価の軸が技術中心になるため、マネジメント経験が強みの方は、別のルートの方が経験を活かしやすい場合があります。
転職後に後悔しないための転職先の見極め方
ITコンサルは案件内容と働き方、評価制度を確認する
ITコンサルティングファームへの転職では、年収や肩書だけで判断すると入社後に戸惑うことがあります。面接では、担当する案件が戦略寄りなのか実装寄りなのか、プロジェクトの期間はどの程度か、評価の仕組みはどうなっているかを確認しましょう。
- 案件の内容:業務改革の支援か、システム導入の実行支援か
- 働き方:常駐の有無、リモートの可否、繁忙期の残業の実態
- 評価制度:昇進の基準、成果の測り方、フィードバックの頻度
SIerとは文化や仕事の進め方が異なるため、事前に違いを知り、興味のある案件に関われるかを確かめておくことが入社後の適応を左右します。
社内SEはIT部門の体制と予算、業務範囲を確認する
社内SEへの転職で後悔する原因の多くは、入社前に業務範囲を確認していなかったことにあります。情報システム部門の人数が少なく、一人でヘルプデスクからシステム企画まですべてを担う「ひとり情シス」のような状態になると、想定していた働き方とは大きく異なります。面接では次の点を確認しましょう。
- IT部門の人数と、エンジニア出身者の割合
- 経営層のIT投資に対する姿勢と、直近の投資実績
- ヘルプデスクやPC管理などの業務が占める比率
- 自分が担当する領域と、ベンダーに委託している領域の線引き
これらを確認することで、業務範囲が広すぎる求人を見分けることができます。
大手SIerは企業規模だけでなく商流と担当工程を確認する
大手SIerへの転職を考える際、企業の規模やランキングだけで判断するのは避けたいところです。大手であっても、配属される部門によっては下位の商流の案件を担当することや、客先常駐が中心になることがあります。確認したいのは、応募するポジションの元請け比率、配属先が担当する工程、常駐の有無、そして配属先が決まるタイミングです。
面接の場で「入社後に想定される案件と役割」を具体的に質問することで、企業の規模に関わらず、自分が望む仕事内容かどうかを判断できます。ランキングは参考情報の一つにとどめ、自分の目的に合う商流と工程を担当できるかを基準に企業を選ぶことが大切です。
Web系企業は技術環境と求められる開発経験を確認する
Web系や自社開発企業への転職では、使用している技術と求められる経験レベルを事前に把握しておくことが重要です。求人票に記載された技術スタックと自分の開発経験を照らし合わせ、どの程度のギャップがあるかを確認しましょう。
また、開発体制についても、チームの人数、コードレビューの文化、設計と実装の分担などを質問しておくと、入社後の働き方を想像しやすくなります。30代の採用では、即戦力として開発に貢献できるかが見られるため、ギャップが大きい場合は入社前に学習を進めるか、技術以外の強みも活かせるポジションを探すかを検討する必要があります。
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経験や状況別に見る30代SIer転職の戦略
PMやPL経験者はITコンサルや上位SIerを視野に入れる
PMやPLとしてプロジェクトを率いた経験がある方は、ITコンサルティングファームや元請けの大手SIerで最も高く評価されます。これらの転職先では、顧客の課題を整理し、複数の関係者を動かして成果を出す力が求められるため、SIerでのマネジメント経験がそのまま強みになります。準備として、担当したプロジェクトを「規模」「自分の役割」「直面した課題」「下した判断」「結果」の5つの観点で整理しておきましょう。
特に、予算や納期に関する判断、品質問題への対処、顧客との合意形成の場面は、面接で深く聞かれる部分です。数値で示せる成果があれば、より説得力が高まります。
開発経験が豊富なSEはWeb系や自社開発企業も検討できる
実務で開発に携わり続けてきたSEは、Web系や自社開発企業への転職も現実的な選択肢になります。30代でこのルートを目指す場合に見られるのは、使える技術の数よりも、設計から実装、テスト、運用まで一連の工程を自分で完結させた経験があるかという点です。SIerでは分業が進んでいることが多いため、自分がどの工程にどこまで関わったのかを明確にしておく必要があります。
また、業務で使ってきた技術がレガシーな場合でも、設計の考え方や品質への姿勢は評価されます。モダンな技術への学習意欲を、個人での開発や資格取得などの形で示せると、選考での印象が変わります。
インフラエンジニアはクラウドやセキュリティ領域で需要が高い
インフラの構築や運用保守を担当してきたエンジニアは、クラウド移行やセキュリティ対応の領域で需要が高まっています。運用保守が中心だったとしても、障害対応の経験、監視や自動化の仕組みづくり、ネットワークやサーバーの設計知識は、クラウド環境でも活きるスキルです。転職先としては、事業会社のインフラ部門、クラウドサービスを扱うベンダー、セキュリティに特化した企業などが考えられます。
これまでの経験を軸に、クラウド関連の資格取得や、移行プロジェクトへの参画経験を積み重ねることで、キャリアの幅を広げられます。夜間対応の少ない環境を求める場合は、運用体制を事前に確認しましょう。
調整業務が中心だったSEは「推進力」を軸にアピールする
コードを書く機会が少なく、関係者の調整や進捗管理が業務の大半だった方は、「プロジェクトを前に進める推進力」を軸にアピールを組み立てましょう。採用側にとって、仕様変更の要望を整理して顧客と合意を取る、遅延しているベンダーの作業を立て直す、といった経験は、プロジェクトの成否を左右する重要なスキルです。
自分の経験を「調整」という言葉で片付けずに、「誰と誰の間で、どのような利害の対立があり、どう整理して、どの結果につなげたか」という形で言語化してください。この伝え方ができれば、事業会社の社内SEやITコンサルタントなど、推進力を求める職種で評価されます。
二次請けや三次請けからは元請けSIerや事業会社を目指す
二次請けや三次請けの立場で経験を積んできた方にとって、商流を上げる転職は、業界を変えずに環境を改善できる現実的な選択肢です。元請けSIerや事業会社のIT部門では、下位の商流で実際に手を動かしてきた経験が、現場を理解した管理者としての強みになります。面接では、担当した工程と役割を具体的に伝えることが重要です。
「大手SIerの案件に参画」という表現ではなく、「どの工程で、どのような成果物に責任を持ち、誰と調整したか」まで説明できるように準備しましょう。元請けの立場になると、顧客との直接の折衝が増えるため、その点への意欲も合わせて伝えると説得力が高まります。
30代未経験からSIerを目指す場合の現実的な進め方
30代で未経験からSIerを目指す場合、開発職に限定せず、入り口になりやすい職種から経験を積む進め方が現実的です。インフラの運用監視、テストや品質保証、ITサポートやヘルプデスクなどは、未経験者を対象とした求人が比較的多く、業務の中でITの基礎を身につけられます。前職での経験も活かせます。
たとえば営業や事務の経験は、顧客対応や業務理解の面で評価されることがあります。資格取得で学習意欲を示すことも有効です。ただし、「未経験歓迎」と記載された求人の中には業務内容が想定と異なるものもあるため、仕事内容や研修体制を面接で確認することが大切です。

▼非公開求人や年収アップの可能性など
30代SIer経験者の職務経歴書と面接対策
職務経歴書は使用技術の羅列ではなく役割と成果を書く
30代の職務経歴書で避けたいのが、使用した言語やツール、担当した作業の一覧を並べるだけの書き方です。採用側が30代に求めているのは、作業内容ではなく、プロジェクトの中で何を考え、何を判断したかという中身です。各プロジェクトについて、次の順序で整理すると伝わりやすくなります。
- プロジェクトの目的と規模(顧客の業種、期間、体制)
- 自分の役割と責任範囲
- 直面した課題と、それに対して下した判断
- 結果として得られた成果
この形式で書くことで、使用技術が古い場合でも、判断力や推進力を評価してもらえる職務経歴書になります。



調整業務や進捗管理の経験を具体的な実績として伝える
「関係者間の調整」「進捗管理」という言葉は、そのままでは実績として伝わりません。どのような利害の対立を、どう整理し、どう合意に導いたかという形に書き換える必要があります。たとえば、「顧客と協力会社の間の調整を担当」ではなく、「顧客からの追加要望に対し、影響範囲を整理して優先順位の合意を取り、納期を維持したまま対応範囲を確定させた」のように書きます。
進捗管理についても、「遅延の兆候を早期に検知し、作業の分担を見直して納期内に完了させた」など、自分が何を見て、何を変えたのかを示します。こうした記述は、採用側にとって再現性のあるスキルとして評価されます。
転職理由と志望動機は前向きな文脈で一貫させる
面接で転職理由を聞かれた際、現職への不満を並べるだけでは、採用側に「同じ理由でまた辞めるのではないか」という印象を与えます。転職理由は、「何を実現したいか」を軸に組み立て、志望動機とつながる形にすることが重要です。たとえば、「調整業務が多く技術が身につかない」という不満は、「要件定義から実装まで一貫して関わり、顧客の課題解決に責任を持ちたい」という前向きな目的に置き換えられます。
その上で、応募先の企業であればなぜそれが実現できるのかを、事業内容や案件の特徴と結びつけて説明します。転職理由と志望動機が一本の線でつながっていれば、説得力が高まります。

転職先別に面接で見られるポイントを押さえる
面接で重視されるポイントは、転職先のタイプによって異なります。事前に把握しておくことで、同じ経験でも伝え方を調整できます。
- ITコンサルティングファーム:課題を構造的に整理して説明する力、仮説を立てて検証する姿勢
- 事業会社の社内SE:自社の事業への理解、ベンダーに依存せず自分で判断して動く自走力
- 元請けSIer:担当工程の深さ、顧客との直接折衝への意欲
- Web系や自社開発企業:技術への向き合い方、学び続ける姿勢
いずれの転職先でも共通して見られるのは、自分の経験を相手に通じる言葉で説明できるか、そして入社後に何をしたいかを語れるかという点です。
▼過去選考事例や面接練習など
30代のSIer転職の進め方と適したタイミング
転職の目的と譲れない条件を先に決める
転職活動を始める前に、「何のために転職するのか」と「譲れない条件は何か」を決めておくことが重要です。働き方、仕事内容、年収や待遇のうち、何を最優先にするのかが定まっていないと、求人を見るたびに判断がぶれ、面接でも志望動機に一貫性がなくなります。たとえば、家族との時間を最優先にするなら、リモートワークの可否や残業の実態が条件になります。
上流工程への関与を優先するなら、年収や勤務地の条件はある程度柔軟に考える必要があるかもしれません。条件に優先順位をつけておくと、転職先の選定も面接での受け答えも、軸のぶれないものになります。
これまでの経験を棚卸しして自分の市場価値を把握する
転職の目的が定まったら、これまでの経験を時系列で棚卸しします。担当したプロジェクトごとに、業種、規模、期間、担当工程、役割、成果を書き出し、それぞれが4つの転職先ルートからどう見えるかを確認します。たとえば、金融機関向けの大規模案件でサブリーダーを務めた経験は、同じ業種の事業会社では業務知識として、コンサルティングファームでは推進力として評価されます。
棚卸しの過程で、自分では当たり前だと思っていた経験が、外から見ると強みになることに気づくケースも多いです。この作業は職務経歴書の土台にもなるため、時間をかけて丁寧に行う価値があります。
プロジェクトの区切りなど動きやすい時期を見極める
転職活動を始める時期は、プロジェクトの完了や評価のタイミングと合わせると、引き継ぎと選考を両立しやすくなります。大規模なプロジェクトの途中で退職すると、引き継ぎの負担が大きく、円満な退職が難しくなることもあります。一方で、区切りを待ちすぎると、次のプロジェクトにアサインされて動けなくなることもあるため、半年程度先を見据えて準備を始めるのが現実的です。
また、転職活動は在職中に始めることをおすすめします。収入を維持しながら選考に臨めるため、焦って条件を妥協することがなくなります。情報収集や職務経歴書の準備は、転職を決める前から進めておいて問題ありません。
IT業界に詳しい転職エージェントを活用する
30代のSIer転職では、IT業界やSIer出身者の支援経験が豊富な転職エージェントを活用することで、経験の伝え方や求人の選び方について具体的な助言を得られます。特に、調整業務の経験をどう言語化するか、どの転職先で自分の経験が評価されるかといった点は、第三者の視点が入ることで整理が進みます。
また、一般には公開されていない求人の情報や、企業ごとの選考の傾向を把握しているエージェントも多いです。エージェントによって得意とする領域は異なるため、ITコンサルに強いところ、社内SEの求人を多く扱うところなど、自分の志向に合わせて複数を使い分けると、選択肢を広げられます。


▼過去選考事例や面接練習など
30代のSIer転職に関するよくある質問と回答
まとめ:30代のSIer転職は経験の伝え方と転職先選びで決まる
30代のSIer経験者には需要があり、調整や上流工程の経験が評価される
30代のSIer経験者は、転職市場で求められている人材です。DX推進や内製化を進める事業会社、実行支援を拡大するコンサルティングファーム、商流の上位にいるSIerなど、経験者を採用したい企業は多くあります。評価されるのは、プロジェクトマネジメント、要件定義などの上流工程、業種の業務知識、技術的な専門性、そして関係者をまとめて案件を前に進める調整力です。
「調整ばかりだった」と感じている経験こそ、採用側が求めているスキルであることを、改めて認識してください。35歳の壁の正体は年齢ではなく、経験を社外向けの言葉で説明できていないことにあります。
次の行動は経験の棚卸しと情報収集から始める
転職を成功させるためには、目的と譲れない条件を決め、経験を棚卸しし、自分の経験が評価される転職先を選ぶという順序で進めることが大切です。ITコンサル、社内SE、元請けSIer、Web系企業のどのルートを選ぶ場合でも、入社後に後悔しないよう、案件内容や体制、働き方を事前に確認してください。職務経歴書では、使用技術の羅列ではなく、役割と判断、成果を書くことを意識しましょう。
まずは、担当してきたプロジェクトを時系列で書き出すことから始めてみてください。必要に応じて、IT業界に詳しい転職エージェントに相談し、客観的な視点を取り入れることも有効です。


