「コンサルはオワコン」なのか?5つの理由と生き残る人材の条件を徹底解説

「コンサルはオワコン」という厳しい声を聞き、将来性やキャリア選択に不安を感じていませんか?一方で、コンサル業界は依然として高い人気を誇っています。
この記事では、「オワコン」と言われる5つの理由を深掘りしつつ、拡大する市場やAI時代の新たな役割といった業界の真実を、現役コンサルタントの視点から徹底解説します。
結論から言えば、業界は「オワコン」ではなく「二極化」しています。本記事を読んであなたがコンサル業界の今を正しく理解し、賢いキャリアを築くための一助となれば幸いです。
参考:「入社が難しい有名企業ランキング」トップ200 コンサル、商社、不動産…上位企業はどこか | 就職四季報プラスワン | 東洋経済オンライン

コンサル業界に「オワコン」の声が上がる5つの理由
コンサルティング業界が一部で「オワコン(終わったコンテンツ)」と囁かれる背景には、根深い構造的課題と、現代の働き手における価値観の変化があります。
単なる噂ではなく、激務の実態、AIの台頭、成果の不透明性など、具体的な理由が存在します 。ここでは、なぜコンサル業界に対する批判的な声が上がるのか、その具体的な5つの理由を、データや実例を交えながら深掘りしていきます。
業界のきらびやかなイメージの裏に潜む問題を理解することが、キャリアを考える第一歩となります。

激務と報酬のバランスに対する疑問の高まり
コンサル業界は伝統的に「Up or Out」の文化が根強く、長時間労働が常態化しやすい環境です。月間の労働時間が200時間を超えるケースも珍しくなく、高い年収を得ていても、それを時給換算すると期待値を下回るという声が増えています。
特にワークライフバランスを重視する価値観が社会全体で広がる中、若手コンサルタントを中心に「高年収でも割に合わない」という疑問が広がっているのが実態です。

AI・テクノロジーの台頭による付加価値の低下懸念
ChatGPTに代表される生成AIの急速な進化は、コンサルタントの仕事内容にも大きな影響を与え始めています。従来、多くの時間を費やしてきた情報収集、データ分析、資料作成といった業務の一部が自動化されつつあります。
特に、経験の浅いジュニアクラスの業務はAIによる代替可能性が高いと指摘されており、コンサルタントという職業の根本的な存在意義や付加価値がどこにあるのか、その価値が問われ始めているのです。

成果の不透明性と「資料屋」批判の増加
クライアントである企業側からも、「高額なコンサルティングフィーを支払ったにもかかわらず、具体的な成果が見えにくい」という不満の声が増加しています。
特に経営効率化が厳しく求められる昨今、戦略提案だけで実行が伴わないケースや、PowerPointの見栄えの良い資料作成に終始する「資料屋」と化したコンサルタントへの批判が強まっています。
目に見える成果へのプレッシャーは、業界全体で高まっていると言えるでしょう。
Up or Out文化がもたらすキャリアの不安定性
コンサルティングファーム特有の「Up or Out(昇進か、さもなくば退職か)」という人事文化は、短期間での急成長を促す一方で、常に高いパフォーマンスを求められるプレッシャーを生み出します。
一定期間内に昇進できなければ、暗黙のうちに退職を促されるこの環境は、長期的なキャリア形成を難しくしています。
特に30代後半以降のキャリアパスが不透明になりがちで、ファーム卒業後の転職市場での評価も含め、キャリアの持続可能性に対する懸念材料となっています。
大量採用による人材の質の低下と市場価値の希薄化
近年のコンサルティングニーズの高まりを受け、多くのファームが急速な人員拡大、つまり大量採用を進めてきました。
その結果、かつては「選ばれたエリート」の証であったコンサルタントという肩書きの希少性が低下しています。採用数の増加に伴い、個々の人材の質が以前ほど担保されなくなったのではないかという懸念も生じています。
結果として、「コンサルタント」というだけで得られた市場価値が希薄化し、他者との差別化が難しくなっている現状があります。
「オワコン」は誤解?コンサル業界の現実と最新動向
一方で、「コンサル オワコン」という批判は、業界の一側面だけを切り取った誤解を含んでいる可能性もあります。批判の背景にある課題は認識しつつも、業界の実態をデータと最新の動向から客観的に見極めることが重要です。
市場規模の拡大、コンサルタントの役割の変化、そして求められる専門性の高度化など、業界が直面している「変化の真実」を明らかにしていきます。
ネガティブな側面だけでなく、ポジティブな現実にも目を向ける必要があります。
実は拡大を続けるコンサル市場:最新の市場規模データ
「オワコン」という言葉とは裏腹に、日本のコンサルティング市場は実際には成長を続けています。近年、コンサルの市場規模は約1.2兆円に達し、前年比10%以上の高い成長率を記録しています。
この成長の背景には、デジタルトランスフォーメーション(DX)支援、サステナビリティ(ESG)経営の導入、グローバル展開のサポートなど、企業が直面する経営課題が複雑化し、新たな需要領域が次々と生まれていることがあります。市場データは、業界が依然として活況であることを示しています。
変化するコンサルの役割:戦略立案から実行支援へ
かつてのコンサルタントのイメージは「戦略を立案し、提案する」というものでしたが、その役割は大きく変化しています。
現代のクライアント企業が求めているのは、絵に描いた餅ではなく、具体的な成果です。そのため、コンサルの仕事は「クライアントと共に戦略を実行し、実装まで伴走する」スタイルへと進化しています。
実行支援型コンサルティングやハンズオン支援、CxO(最高〇〇責任者)の代行など、より現場に入り込んだ新しい価値提供の形が主流になりつつあります。
業界再編と専門性の深化:勝ち組ファームの条件
コンサルティング業界内部では、明確な二極化が進行中です。AIや最新のデジタル技術を積極的に活用し、データドリブンで高付加価値なサービスを提供できるファームが成長する一方で、従来型の情報収集や資料作成に依存するファームは淘汰の危機に瀕しています。
MBB(マッキンゼー、BCG、ベイン)やBig4(デロイト、PwC、EY、KPMG)などの大手ファームも、デジタル部門の強化や専門領域の深化を急いでおり、変化に対応できるファームこそが勝ち組となっています。

高度専門人材としての市場価値は維持されている
業界全体の希少性が薄れたとしても、特定の領域で深い専門性を持つコンサルタントの市場価値は、依然として非常に高い水準を維持しています。
例えば、データサイエンス、クラウドアーキテクチャの知識、あるいは特定の業界(例:医療、金融)に特化した深い知見など、AIでは代替できない高度なスキルセットを持つ人材は引く手あまたです。
求められる能力や知識は変化していますが、高い専門性を持つ人材への需要はむしろ高まっていると言えます。
コンサルが「オワコン化」するタイプと生き残るタイプの決定的な違い
コンサル業界が「オワコン」かどうかは、業界全体の問題であると同時に、個々のコンサルタントの問題でもあります。同じファームに所属していても、AI時代に淘汰されてしまう「オワコン化」する人材と、長期的に価値を発揮し続け、むしろ市場価値を高める人材とでは、決定的な違いが存在します 。
ここでは、その分水嶺がどこにあるのか、具体的なタイプ別に解説し、これからの時代に求められるコンサルタント像を明らかにします。
危機に直面している「資料作成特化型」コンサルタント
最もAIによる代替リスクに直面しているのが、「資料作成特化型」のコンサルタントです。PowerPointやExcelを駆使して見栄えの良い資料を作るスキルは重要ですが、それ「だけ」に依存し、ビジネスの本質的な課題解決能力や戦略的思考を磨いてこなかった人材は、生成AIに仕事を奪われる可能性が非常に高いです。
情報収集やスライド作成はAIが得意とする領域であり、この層が直面する現実は厳しいものがあります。今からでも本質的なスキルを磨く必要があります。
AI時代に求められる「高付加価値コンサルタント」の条件
AI時代に、より一層その価値が高まるコンサルタントもいます。彼らが持つのは、AIには代替できない能力です。
例えば、複雑な事象を整理し本質を見抜く「論理的思考力」、クライアントの懐に入り込み信頼関係を築く「関係構築力」、教科書的ではない現場の「業界特化の深い知見」、そして戦略を絵に描いた餅で終わらせない「実行力」などです。
これらの人間ならではの高度なスキルを持つ人材こそが、AIを使いこなす側として生き残ります。
専門性の掛け算で希少価値を高める戦略
これからのコンサルタントにとって重要なのは、単一のスキルではなく、複数の専門性を掛け合わせることで、自身の希少価値を高める戦略です。
例えば、「コンサルティングスキル × テクノロジー(AI・データ)の知見」、「コンサル × 特定の業界知見」、「コンサル × 事業実行の経験」といった組み合わせです。
一つの分野でトップ1%になるのは難しくても、複数の分野でトップ10%のスキルを身につけ、それらを組み合わせることで、独自の強みを持つ「π(パイ)字型人材」として高い市場価値を確立できます。
ファーム別・職位別で見るコンサル業界の将来性
「コンサル業界」と一口に言っても、その内情は一枚岩ではありません。企業の経営戦略を主に扱う戦略系ファーム、実行支援まで幅広く手掛ける総合系ファーム、技術に強みを持つIT系ファームなど、ファームの種類によって特性は大きく異なります。
また、ジュニアクラスのアナリストと、プロジェクト全体を統括するマネージャー以上とでは、直面する課題や将来性も全く違います。ここでは、それぞれの特徴と今後の展望を詳しく見ていきます。
戦略コンサル(MBB)の現状と今後の展望
マッキンゼー、BCG、ベインに代表される戦略系トップファーム(MBB)は、依然として業界の頂点に君臨しています。
しかし、彼らも変化の渦中にあり、従来の戦略策定業務に加え、デジタル部門やアナリティクス部門を大幅に強化し、AI活用や実行支援の領域にも業務を拡大しています。
最高水準の報酬と圧倒的な育成環境は維持されていますが、その分、求められる能力水準もかつてないほど高まっており、コンサルタントの仕事はより高度化しています。



総合コンサル(Big4等)の変革と成長領域
デロイト、PwC、EY、KPMGなどの会計事務所系(Big4)総合コンサルファームは、その規模と総合力で市場シェアを急速に拡大しています。
彼らの強みは、戦略から業務、ITシステムの実装まで、企業の課題をワンストップで支援できる点と、グローバルネットワークを活かした展開力です。
特に、企業の喫緊の課題であるDX支援、サイバーセキュリティ、ESG(環境・社会・ガバナンス)関連のコンサルティング領域で、顕著な需要の増加が見られます。




IT・デジタル系コンサルの急成長と可能性
アクセンチュアやIBM、そして国内の大手SIer系コンサル部門などのIT・デジタル系ファームは、テクノロジーの社会実装という中核的な役割を担い、急成長を遂げています。
これらのファームの最大の強みは、戦略や業務改革の提案に留まらず、それを実現するためのシステム実装までをワンストップで提供できる「実行力」です。
技術とビジネスの双方を理解し、両者の橋渡し役となれる独自のポジションは、AIやDXが主流の現代において非常に強力な武器となっています。

ブティック・専門特化型ファームの生存戦略
大手ファームだけでなく、特定の業界(例:製薬、金融)や特定の機能(例:人事、マーケティング)に特化した小規模なブティックファームや専門特化型ファームも存在感を放っています。
彼らの武器は、大手にはない機動力と、狭く深く掘り下げた専門性の高さです。ニッチな市場であっても、そこで圧倒的なNo.1の知見と実績を持つことで大手ファームと差別化し、高い収益性を確保しています。
特定の分野で専門性を極めたい人材にとっては魅力的な選択肢です。

ジュニア・シニア各層が直面する異なる課題
コンサル業界内での課題は、職位によっても異なります。アナリストやコンサルタントといったジュニア層は、情報収集や資料作成などの定型的な業務がAIによって自動化されるリスクに直面しており、いかに早くAIには代替できない本質的な思考力やスキルを身につけるかが問われます。
一方、マネージャー以上のシニア層は、AIを使いこなすだけでなく、クライアントとの高度な関係構築能力や、新たな案件を獲得してくる営業力がより一層強く求められる時代になっています。
今からコンサルを目指すべき人・避けるべき人
コンサルティング業界が二極化し、求められるスキルが変化している現状を踏まえ、今からコンサルへの転職や就職を検討している人は、自身がこの業界に向いているのかを冷静に見極める必要があります。
「オワコン」という言葉に惑わされず、業界の実態を理解した上で、どのような人がこの厳しい環境で活躍できるのか、逆にどのような特徴を持つ人は避けるべきなのかを明確にしていきます。
コンサル転職を成功させる人の5つの共通点
コンサル業界で活躍し、転職を成功させる人材には、5つの共通点があります。
第一に、物事を構造的に捉え、本質的な課題を見抜く「論理的思考力」。第二に、未知の領域でも短期間でキャッチアップする「学習意欲の高さ」。第三に、激務やプレッシャーに耐えうる「ストレス耐性」。第四に、クライアントやチームと円滑に連携する「コミュニケーション能力」。そして最後に、なぜコンサルで働くのかという「目的意識の明確さ」です。
「コンサルはやめとけ」と言われる人の特徴
一方で、コンサル業界の働き方や文化とミスマッチが生じやすい人も確実に存在します。
例えば、仕事よりもプライベートやワークライフバランスを最優先したい人、安定した環境でルーティンワークを好む安定志向が強い人、上司からの具体的な指示がないと動けない指示待ちタイプの人などです。
これらの特徴が悪いわけではありませんが、コンサルの仕事で求められる自律性や成果へのコミットメントとは相性が悪く、入社後に苦しむ可能性が高いため、正直に「やめておけ」と言われる理由になります。
ファーム選びで失敗しないための判断基準
コンサル業界を目指す場合、どのファームを選ぶかは極めて重要です。
まずは自分自身のキャリアゴール(将来何を成し遂げたいか)を明確にし、そのためにどのようなスキルや経験を得たいのか、どのようなワークスタイルを希望するのかを逆算して考える必要があります。
高度な戦略的思考を学びたいなら戦略系、大規模な変革プロジェクトに携わりたいなら総合系、テクノロジーの専門性を高めたいならIT系など、自分の目的とファームの特性が一致しているかを見極めることが、入社後のミスマッチを防ぐ鍵となります。
コンサル経験を次のキャリアに活かす:出口戦略の描き方
コンサルティングファームでの経験は、多くの人にとってキャリアの「ゴール」ではなく、次のステップに進むための「通過点」として捉えられています。
激務の中で培ったスキルや経験は、他の業界でも高く評価される強力な武器となります。ここでは、ファームを卒業した後の主要なキャリアパスと、コンサル経験という資産を最大限に活かすための「出口戦略」の描き方について解説します。
コンサルからの主要な転職先と市場価値
コンサルタントの転職先(ポストコンサルキャリア)は多様ですが、いくつかの主要なパターンがあります。
最も一般的なのは、事業会社の経営企画部門や戦略部門への転職です。また、即戦力のCxO(最高経営幹部)候補としてスタートアップに参画するケース、PEファンドなどの投資ファンドで企業の価値向上に取り組むケース、あるいは独立して起業する道を選ぶ人も増えています。
コンサルで培った問題解決能力やプロジェクト推進力は、これらのどの分野でも高く評価されます。
ファーム在籍中に準備すべき3つのこと
将来のキャリアの選択肢を広げるために、コンサルファーム在籍中に意識して準備しておくべきことが3つあります。第一に、自分自身の「専門性」を確立すること。どのような領域のプロフェッショナルなのかを明確にすることが、転職市場での価値に直結します。
第二に、社内外での「人的ネットワークの構築」です。特にクライアントとの強固な信頼関係は将来の資産となります。第三に、具体的な「実績・ポートフォリオの蓄積」です。どのような課題をどう解決したかを語れる実績が重要です。
「コンサル経験者」として長期的に価値を発揮し続けるために
コンサルファームでのハードな経験を一過性のものにせず、長期的なキャリア資産として活用し続けるためには、特定のマインドセットが求められます。
それは、ファームを辞めた後も、常に学び続け、自己投資を怠らない「継続的な学習」の姿勢です。
コンサル時代に身につけた思考のOS(基本ソフト)をベースに、新しい知識やスキルを貪欲にアップデートし続けること。それこそが、変化の激しい時代において「コンサル経験者」として長期的に価値を発揮し続けるための鍵となります。
FAQ
まとめ:「コンサル オワコン」論の結論と賢いキャリア選択
「コンサルはオワコン」という言説について多角的に検証してきましたが、結論としては「単純なオワコンではなく、業界内で二極化が進行している」というのが実態です。
AIの台頭や働き方への疑問から、従来型のスキルセットしか持たないコンサルタントにとっては厳しい時代が訪れているのは事実です。しかしその一方で、AIでは代替できない高度な専門性や実行力を持ち、クライアントに真の価値を提供できるコンサルタントにとっては、市場が拡大する中で引き続き大きなチャンスが広がっています。
重要なのは、「コンサルになるかならないか」という表面的な二択で悩むことではありません。「自分がどのような専門性を持つコンサルタントになるのか」、あるいは「コンサルでの経験を、その後のキャリアでどう活かしていくのか」という視点で、主体的にキャリアを設計することです。
本記事で示した業界の実態、ファームごとの違い、そして求められる人材像を参考に、あなた自身の強みと市場のニーズを照らし合わせ、継続的にスキルをアップデートしていくこと。それができれば、コンサルティング業界は依然として非常に魅力的なキャリア選択肢となり得ます。


