【転職体験談】メガバンク3年目の転職|外資コンサルでの新たなキャリア

- お名前:Sさん(男性) ※仮名
- 年齢:26歳
- 学歴:有名私立大学卒(経済学部)
- 職歴:大手都市銀行(法人営業)→外資系総合コンサル(アソシエイト)
有名私立大学経済学部を卒業後、メガバンクで法人営業として約3年間勤務されたのち、外資系総合コンサルティングファームの金融業界を対象としたコンサルティング部門へ転職したSさん(26歳・男性)にお話をお伺いしました。
現在は金融機関向けの業務改革プロジェクトで、分析から戦略立案まで幅広く担当していらっしゃいます。
銀行員時代の原体験
現職までのご経歴を教えていただけますか
大学時代は経済学部で金融論を専攻していました。ゼミでは日本の金融システムについて研究し、特に地域金融機関の役割に興味を持っていました。就職活動では、金融業界を中心に見ていて、最終的にメガバンクから内定をいただき入行しました。
配属は法人営業部門で、入行1年目は先輩について回りながら、与信判断の基礎や財務分析の基礎を学びました。2年目からは単独で顧客を担当するようになり、製造業や小売業など約30社を受け持ち、融資だけでなく、為替ヘッジの提案や事業承継スキームの構築など、幅広い金融サービスの提供に従事しました。
3年目には、部内でも良好な営業成績を収め、新規開拓で表彰されました。順調にキャリアを積んでいたように思っていましたが、日々目の前の数字を追いかける中で、もっと企業の本質的な課題解決に関わりたいという思いもありました。
銀行での営業スタイルはどのようなものでしたか
とにかく顧客の事業を理解することに重点を置いていました。決算書を読むだけでなく、工場見学をさせてもらったり、実際の店舗運営を見せてもらったりと、現場を自分の目で見ることを大切にして、足で情報を稼ぐことを大切にしてました。
ある企業を担当したとき、単なる融資提案ではなく、銀行のネットワークを活用した販路紹介や、別の資金調達スキームを提案したことがありました。結果的に売上が改善し、社長から期待以上の提案だったと感謝された経験があり、この経験が経営上の課題解決に従事してみたいと思うようになったきっかけになったかもしれません。
当時の労働環境や待遇面はいかがでしたか
基本的には比較的規則正しい生活を送れていました。月の残業時間は平均30時間程度で、繁忙期でも50時間を超えることは稀でした。
年収は3年目で約550万円程度でした。同世代と比べれば安定した収入でしたが、責任の重さを考えると、正直満足できる水準でもなかったです。また、営業成績が良くても、昇進や異動には年次の壁があり、同期入行の中で上位の成績でも、基本的には横並びの評価なので、こうしたキャリアの硬直性も転職を考えるきっかけになりました。
転職への決意と準備
転職を考えはじめたきっかけや理由を教えてください
金融面以外の領域も含めて企業の課題解決に携わりたいという思いが強くなり、転職を意識するようになりました。大学時代の友人にも新卒でコンサルに入った人が多く、企業の事業戦略立案に携わっているといった話も聞いていたので、自分もそうした企業の意思決定により深く関わりたいという思いは年々強くなっていったように思います。
20代半ばという年齢も意識しました。第二新卒として扱ってもらえる余地もありそうだったので、未経験業界にもチャレンジするチャンスも大きいと考え、転職活動を始める決意をしました。
転職に向けてどのような準備をされましたか
まずは業界研究から始めました。関連書籍は一通り購入し、各ファームの特徴や求められるスキルを調べました。並行して、現役コンサルタントのブログやYouTubeで、実際の仕事内容を調べました。
スキル面では、まずロジカルシンキングの強化から始めました。『イシューからはじめよ』『仮説思考』などの定番書を読んだことに加えて、通勤時間を使って、毎日1つケース問題を解く習慣もつけました。
英語力については、TOEICが750点だったので、まず800点超えを目標にしまして、3ヶ月で820点まで上げることができました。
転職活動と現職の両立はどのように工夫されましたか
これは結構苦労したんですが、銀行では転職活動をオープンにできる雰囲気ではないので、慎重に進める必要がありました。
面接は基本的に有給休暇を使いましたが、月に2日以上取ると目立つので、半休を活用しながら「午後から私用で」と言って早退し、面接に向かうことが多かったです。オンライン面接が多かったのでラッキーでした。
選考プロセスでの学び
転職活動を進める中で苦労したのはどのような点ですか
最大の壁はケース面接でした。銀行でも定量的な財務分析は日常的に行っていましたが、コンサルで求められる分析・構造的な思考力には全く届いていなかったと思います。最初、エージェントと模擬面接をした際はフェルミ推定でかなり躓いていました。
書類選考も思ったよりも通過率が悪かったので、適宜エージェントと相談しながら出願先を追加していったり、書類をブラッシュアップしたりと、ここも結構苦労したと思います。
面接で印象に残っているエピソードを教えてください
あるファームの面接で「なぜ銀行を辞めてコンサルに来たいのか」をかなり深く掘り下げられました。用意していた回答よりもかなり深く問われたので、なかなか回答できない場面もありました。このときは最終的に銀行でのキャリアの硬直性をありのままに話して、良い結果で終われました。
最も緊張したのは、最終面接でケースをやった会社があり、ある地方銀行の収益改善策というお題で、まさに自分の領域でした。プレッシャーもありましたが、現場の実態を踏まえた提案ができ、「実務経験が活きている」と好評価をいただいたのは印象に残っています。
エージェントの活用で工夫した点はありますか
エージェントは2社を併用しました。1社は大手の総合エージェントと、もう1社はコンサル専門のブティック型です。
大手エージェントは求人数が多く、市場全体を把握するのに役立ちました。一方、ブティック型エージェントは、各ファームの選考特徴や求める人材像を詳しく教えてくれました。特に「このファームは論理性重視」「ここは人物面も重要」といった情報は役に立ったと思います。
エージェントには正直に自分の状況を伝えることが重要だと思います。「ケース面接に自信がない」「英語はビジネスレベルではない」と伝えたことで、適切なアドバイスと対策を提供してもらえました。
面接対策では、模擬面接を5回以上実施してもらい、都度フィードバックを受けました。「論理の飛躍がある」「もっと具体例を」といった指摘もたくさんもらい、自分では気づきにくい点だったので助かりました。
新天地での挑戦と成長
今の会社を選んだ決め手はなんでしたか
2社から内定をいただき、最後まで悩みましたが、最終的に現在の会社を選んだ理由は3つあります。
第一に、金融セクターに特化した部門があることです。銀行での経験を活かしながら、新しいスキルを身につけられる環境は理想的でした。実際に面接でも「銀行経験は貴重な資産になる」と言われました。
第二に、研修制度の充実度です。研修プログラムがあり、コンサルティングの基礎を体系的に学べそうだと思いました。また、継続的な研修機会も豊富で、成長を支援する文化を感じました。
第三に、人の雰囲気です。最終面接を担当いただいた若いパートナーの方から、「確かに忙しいところもあるが、チームで支え合う文化がある」と話していただき、質問にも丁寧に答えてくれて、温かい雰囲気を感じました。
年収は700万円でのオファーで、銀行時代から約120万円のアップとなりました。給与だけが理由ではありませんが、努力が正当に評価される環境は魅力的だと思います。
今の会社に入ってよかったこと、苦労していることを教えてください
入社して10ヶ月程度が経ちますが、最も良かったと感じるのは、圧倒的な成長スピードです。プロジェクトごとに新しい課題に取り組むため、常に学びがあります。
現在担当しているとある金融機関の業務効率化プロジェクトでは、RPAやAIを活用した業務改善に取り組んでいます。銀行時代には触れることのなかった領域ですが、今ではクライアントと対等に議論ができるところまでキャッチアップできていると思います。実際に業務時間を削減する成果も出始めており、クライアントから評価していただいています。
チームの多様性も刺激的です。前職が保険会社、地銀、中には官公庁など、様々なバックグラウンドを持つメンバーと働くことで、視野が広がりますし、議論の中で新しい視点を得ることが多くて刺激的です。
ただ、労働時間は確実に増えました。プロジェクトのキックオフと最終報告前などは、23時過ぎまで働くこともあります。ただ、銀行のような「とりあえず残る」といった要素は一切なく、必要があっての残業なので、納得感とやりがいをもって働けているので、今のところ苦にはなっていないです。
求められるアウトプットの質には、正直まだ追いつけていない自覚はあり、資料一つとっても、構造化、メッセージの結晶化、すべてにおいて高い水準が求められています。ただ、この積み重ねが成長につながっていると実感しています。
キャリアの展望と後輩へのメッセージ
今後のキャリア展望を教えてください
短期的には、まずは現在のプロジェクトで確実に成果を出し、2年以内にシニアコンサルタントへの昇進を目指したいと思っています。そのためには、コンサルタントとしての基礎体力を高めながら、確実にクライアントからの信頼を獲得することが必要だと考えています。
中期的には、金融機関のデジタルトランスフォーメーション領域を専門領域として確立したいと考えています。銀行での実務経験と、コンサルで学んだ変革手法を組み合わせることで、独自のポジションを確立したいです。
長期的には、35歳頃を目処に、次のキャリアを考えています。事業会社の経営企画、スタートアップへの参画、独立起業など、まだ具体的ではありませんが、金融×DXの領域で活躍していきたいと考えています。
銀行員時代の経験で、今活きているものは何ですか
まず「財務分析力」は大きなアドバンテージです。財務諸表を読み解き、企業の健全性を判断する力は、どのプロジェクトでも重宝されています。他業界出身の同期が苦労している部分で、すぐに価値を発揮できるのはこの部分だと思います。
営業経験も活きていると思います。銀行時代、様々な経営者と接してきた経験は、クライアントとのコミュニケーションで役立っていますし、相手のニーズを汲み取り、分かりやすく説明するスキルは、コンサルティング業界でも通用しています。
意外と「社内調整力」も重要でした。銀行は組織が大きく、様々な部署との調整が必要でしたが、この経験が、クライアント組織内での合意形成を支援する際に活きています。
コンサルタントを目指す銀行員へのアドバイスをお願いします
まず、銀行での経験は必ず武器になります。財務知識、顧客対応などはクライアントワークであるコンサルでも求められるスキルなので、自信を持ってアピールしてください。
英語は、外資系企業を目指すのであればTOEIC800点を取っておくと可能性が広がるかなと思います。ただ、それに必要以上に時間をかけるなら、ケース対策やビヘイビア対策などに充てた方が効果的とも思います。
転職活動は精神的にもタフさが求められます。不採用が続くこともありますし、私も10社以上落ち、かなりへこみました。ただ転職活動は相性なので、諦めずに続けることが大切です。
もし転職前の自分に一つだけアドバイスするとしたら?
「もっと早く動き出せ」と伝えたいです。私は「3年は勤めるべき」という固定観念に縛られていましたが、実際は2年半でも十分でした。機会を逃さないことの方が重要です。
特に第二新卒として扱われる年齢は貴重です。コンサルティング業界は、若手の未経験採用に比較的寛容ですが、一定の年齢を超えると急にハードルが上がるので、タイミングを逃さないことが大切だと思います。
転職を迷っている方へ最後にメッセージをお願いします
転職は確かに大きな決断です。安定した銀行員という立場を離れることに、不安を感じるのは当然です。私も悩みました。でも、今振り返ると、転職して良かったと心から思います。確かに忙しくなりましたし、プレッシャーも増えましたが、それ以上に成長実感があり、仕事の幅が広がりました。
大切なのは「なぜ転職したいのか」を明確にすることだと思います。給与や肩書きだけでは厳しいコンサルティングの仕事は続かないと思います。私の場合は、企業の成長により深く関わりたいという思いが原動力になっています。
もし本気で転職を考えているなら、まず小さな一歩から始めてみるのが良いと思います。皆さんの挑戦を応援しています!