【転職体験談】SIerから新興ITコンサルへ転職した27歳女性の本音

今回お話を伺ったのは、新卒で中堅SIer(システムの設計・開発・運用をまとめて請け負う、いわゆる「システムインテグレーター」)に入社し、4年目で新興系のITコンサルティング会社へと転職したMさんです。安定したSIerからあえて成長スピードの速いコンサルへ——その決断の裏にあった葛藤や、転職活動のリアルな苦労、そして入社後に感じている変化についてお伺いしました。
- お名前:Mさん(女性) ※仮名
- 年齢:28歳
- 学歴:有名私立大学卒(理工学部)
- 職歴:中堅SIer(ITエンジニア)→新興系ITコンサル(AIコンサルタント)
キャリアのはじまり——「なんとなくSIer」だった新卒時代
現職までのご経歴を教えていただけますか
新卒で中堅のSIerに入社して、そこで3年ちょっと働きました。理工学部の情報系を出ていたので、まあ自然な流れというか、まわりも半分くらいはIT系に進んでいた感じです。最初の1年は研修と簡単な保守運用の仕事で、2年目からは金融系のお客様のシステム開発プロジェクトにアサインされて、ずっと客先常駐でした。客先常駐っていうのは、自分の会社じゃなくてお客さんのオフィスに席をもらって、そこに毎日通って働くスタイルのことですね。
担当していたのは、既存システムの改修とテストが中心で、だんだん設計の一部も任されるようになっていきました。チームは20人くらいで、私はその中で開発を担当する一人、という立ち位置です。仕事自体は嫌いじゃなかったし、コードを書いている時間はけっこう楽しかったんですよ。ただ、ぶっちゃけ「自分がいま何のためにこれを作っているんだっけ?」っていうのが、3年目くらいからどんどん見えなくなっていきました。そのあたりが、後々の転職につながっていったんだと思います。
理工学部からSIerという進路は、自然な流れだったんですか
そうですね、正直に言うと「めちゃくちゃ志が高くてSIerを選んだ」みたいなのは全然なかったです。
就活のときって、理系の情報系だとSIerかメーカーのIT部門か、みたいな選択肢がわりとベタにあって、私もその流れに乗った感じです。研究室の先輩がSIerに何人か行っていて、「福利厚生もちゃんとしてるし、未経験からでも手に職つくよ」って言われたのが大きかったですね。
あとは、女性でも長く働けそう、っていうのも当時はけっこう重視してました。残業はそこそこあるって聞いてたけど、産休育休の制度がしっかりしてるとか、そういう「安心感」で選んだ部分が大きかったです。
SIerでは、具体的にどんなお仕事をされていたんですか
担当は、金融系のお客様の基幹システムの改修プロジェクトでした。基幹システムっていうのは、その会社の業務の根っこを支えるシステムのことで、止まると業務全体が止まっちゃうような、すごく重要なやつですね。私はその中で、決められた仕様書に沿ってプログラムを書いて、テストして、っていう工程を主に担当していました。
最初のうちは「大きいシステムに関われてすごい」ってちょっと誇らしかったんですけど、だんだん見えてきたのが、いわゆる多重下請け構造っていうやつで。お客様が大元にいて、その下に元請けの大手SIerがいて、さらにその下にうちがいて、みたいな。なので、私たちのところに降りてくる頃には、仕様はもうガチガチに決まっていて、「なんでこの仕様なんですか?」って聞いても「上がそう決めたから」で終わっちゃう。自分の意見を挟む余地がほぼなかったんですよね。コードを書くこと自体は得意だったし好きだったんですけど、「言われたものを言われた通りに作る」だけだと、3年もすると、さすがにちょっと物足りなくなってきちゃった側面はありました。
「このままでいいのかな」——転職を考えはじめたきっかけ
転職を考えはじめたきっかけや理由を教えてください
一番大きかったのは、3年目に入った頃に、ふと「自分の市場価値ってどれくらいなんだろう」って考えちゃったことですね。きっかけは、大学時代の友達と久しぶりに飲んだときでした。同じ理系で、ベンチャーに行った子とかコンサルに行った子が、もう全然違うフェーズの話をしていて。「この前クライアントの役員にこういう提案をして」とか、「新しい事業の立ち上げを任されてて」とか。
私はというと、毎日同じ客先に通って、同じシステムの改修をして……っていうのを淡々と繰り返していて。決して楽な仕事じゃなかったし、ちゃんと価値はあったと思うんですけど、「成長してる実感」がほとんどなかったんですよ。このまま5年、10年いても、できることがそんなに変わらないんじゃないかって。ぶっちゃけ、客先常駐のまま30歳になる自分を想像したときに、不安になりまして。それで、「一回ちゃんと外の世界を見てみよう」って思ったのが、本格的に転職を考え始めたきっかけでした。
転職への不安はなかったですか
めちゃくちゃありましたよ。SIerって良くも悪くもすごく安定してるんですよ。残業はあるけど制度はしっかりしてるし、急にクビになることもまずない。そこを自分から飛び出して、しかも成長スピードが速いって言われるコンサル業界に行くっていうのは、正直「私なんかがやっていけるのかな」っていう怖さがずっとありました。
特に不安だったのは、「未経験のコンサルに、26歳の私が本当に入れるのか」っていうところと、「入れたとして、ついていけるのか」っていうところですね。コンサルって激務なイメージもあるじゃないですか。体力的にもつのかなとか、頭の回転についていけるのかなとか。あと地味に、せっかく身につけた技術が無駄になっちゃうんじゃないか、っていう不安もありました。結果的にこれは杞憂だったんですけど、当時は「ゼロからやり直し」みたいに思い込んでて、けっこう悩みましたね。だから転職活動も、いきなり辞めるんじゃなくて、働きながらこっそり進める形でスタートしました。
転職活動を進める中で、苦労したのはどんな点でしたか
一番苦労したのは、やっぱり「自分の経験をどう言語化するか」でしたね。SIerでの仕事って、自分の中では「言われたものを作ってただけ」っていう感覚だったので、職務経歴書を書こうとしても、最初は本当に何も書けなかったんですよ。「改修しました」「テストしました」しか出てこなくて。これじゃアピールにならないなって。
あとは、時間の確保もしんどかったです。客先常駐だと定時で帰れる日ばかりじゃないし、面接って基本的に平日の日中に入ることが多いので、有給を細かく使ったり、「半休とって午後から客先」みたいな調整をしながらやってました。エージェント経由だと選考が進むスピードも速くて、書類選考から最終面接まで2〜3週間で一気に進むこともあって、その間の体力的・精神的な消耗はけっこうありましたね。トータルの活動期間は、最初に動き出してから内定まで、だいたい4ヶ月くらいでした。働きながらだと、これくらいが現実的なペースなのかなと思います。
エージェントからは、どのような支援を受けましたか
これは本当に助けられました。一人で活動してたら絶対に内定取れてなかったと思います(笑)。最初に登録したとき、担当の方に「Mさんの経験、めちゃくちゃ価値ありますよ」って言ってもらえたのが、まず精神的にすごく大きくて。自分では「ただの開発要員」だと思ってた経験を、「金融という規制の厳しい業界で、基幹システムの開発・テストをやり切った経験」っていう風に、価値ある形に翻訳してくれたんです。
具体的には、職務経歴書の添削をかなり細かくやってもらいました。「ここはもっと数字を入れましょう」とか、「担当範囲じゃなくて、プロジェクト全体の中での自分の役割を書きましょう」とか。あと、コンサル特有の面接対策ですね。ケース面接(その場で出されたお題に対して論理的に答えを組み立てる面接)の練習を、模擬で何回もやってもらいました。これは独学だと絶対にカバーできなかった。あとは、こっちの希望をちゃんと聞いた上で、「未経験から入りやすくて、かつ成長できる新興系のコンサル」っていう、私の条件にぴったりの会社を何社か紹介してくれたのも大きかったですね。

面接ではどんなことを聞かれましたか
一番印象に残ってるのは、「なぜSIerからコンサルに移りたいのか」を、しつこいくらい深掘りされたことですね。最初は「上流工程に関わりたいから」みたいなふわっとした答えをしてたんですけど、面接官に「上流に関わりたいなら、社内で異動を希望すればいいのでは?」って切り返されて、グッと詰まっちゃって(笑)。
そこでちゃんと「自分は技術を作る側だけじゃなく、お客さんの課題そのものに向き合いたい」っていう、本音のところまで言語化できたのは、いい経験になりました。
決め手と決断——なぜこの会社を選んだのか
今の会社を選んだ決め手はなんでしたか
最終的に2社から内定をいただいて、けっこう迷ったんですけど、決め手は「未経験の自分でも成長できる環境がちゃんと用意されているか」でした。今の会社は新興系のITコンサルで、まだ組織として伸び盛りのフェーズなんですよ。だからこそ、若手にもどんどんチャンスが回ってくるし、SIer出身者みたいな「技術がわかる人材」をすごく歓迎してくれる空気があって。
面接の最後に、現場のマネージャーの方と話す時間があったんですけど、その人が「うちはまだ完成された会社じゃないから、一緒に作っていく感覚で来てほしい」って言ってくれて。それがすごく刺さったんですよね。大手の整った環境より、自分が関わることで会社も自分も変わっていける、っていう手触り感に惹かれました。あと、正直に言うと、面接で会った人たちが全員すごく感じが良くて、「この人たちと働きたいな」って素直に思えたのも大きかったです。最後はやっぱり「人」でしたね。
内定が複数あった中で、迷いはありませんでしたか
もう1社のほうが、規模も大きくて、知名度もあって、年収の提示額もちょっとだけ高かったんです。なので「条件だけ見たらあっちかな」って、正直かなり揺れました。
でも、最終的に「条件」より「環境」で選びました。大きいほうの会社は、入っても結局また「決められた役割をこなす」感じになりそうだなって、面接の雰囲気から感じちゃったんですよね。それだとSIerにいたときと、構造としてはそんなに変わらないかもしれない。
一方で今の会社は、年収は少し下がるかもしれないけど、自分の裁量で動ける範囲が圧倒的に広そうだった。私が転職した目的は「成長」だったので、そこにブレずに選ぼうって決めました。今振り返っても、この選択は正解だったなと思っています。短期的な条件に飛びつかなくてよかった、というのが正直なところです。
転職して変わったこと——年収、働き方、そして自分
今の会社に入ってよかったことを教えてください
一番よかったのは、「お客さんの課題に、上流から関われるようになった」ことですね。前職では仕様書を渡される側だったのが、今は「そもそもこのお客さんの課題は何か」「どういうシステムや仕組みで解決すべきか」っていう、一番おもしろいところから関われるようになりました。自分の提案でプロジェクトの方向性が決まることもあって、その手応えはSIer時代には絶対に味わえなかったものです。
あと、成長スピードが本当に速いです。入社して1年経たないうちに、クライアント企業の担当者と直接やりとりして、提案資料を自分で作って説明する、みたいなことを任されるようになって。最初はビビってましたけど(笑)、やらざるを得ない環境に置かれると、人間ちゃんと伸びるんだなって実感しました。あとは地味に嬉しいのが、客先常駐じゃなくなったこと。プロジェクトによっては客先に行くこともあるけど、基本は自社やリモートで働けるので、「自分はこの会社の人間なんだ」っていう所属感が持てるようになったのは、精神的にすごく大きかったです。
逆に、苦労していることはありますか
正直に言うと、最初の半年はめちゃくちゃしんどかったです(笑)。一番の壁は、「考えて答えを出す」っていう仕事のやり方に慣れることでした。SIerのときは「正解」がある程度決まってる仕事だったんですけど、コンサルって正解がない問いに対して、自分なりの仮説を立てて提案しなきゃいけない。最初の頃は、上司に「で、Mさんはどう思うの?」って聞かれるたびに固まってました。「自分の意見」を持つこと自体に慣れてなかったんですよね。
あとは、求められるアウトプットの質とスピードがやっぱり高い。資料一つ作るにも「これ誰が読むの?読んだ人にどう動いてほしいの?」って徹底的に詰められるので、最初は何度も作り直しました。残業も、繁忙期はそれなりにあります。ただ、SIerの頃の「終わりが見えない残業」と違って、「この提案を通すための残業」みたいに目的がはっきりしてるので、不思議としんどさの質が違うんですよ。同じ忙しさでも、納得感があると意外と頑張れるんだなって。今はだいぶ慣れて、自分のペースもつかめてきました。
SIer時代の経験は、今の仕事に活きていますか
これ、転職前に一番心配してたところなんですけど、結論から言うと「めちゃくちゃ活きてます」。むしろ、SIer出身であることが今の私の最大の武器になってるくらいです。というのも、ITコンサルの仕事って、最終的にはシステムとか仕組みに落とし込むことが多いんですよ。そのときに、「このシステムを実際に作るとどれくらい大変か」「この要件は現場的に現実的か」っていう、開発現場のリアルな肌感覚がわかるのは、すごく強いんです。
コンサルファームって、文系出身のキレキレな人も多いんですけど、そういう人たちは「絵を描く」のは得意でも、「それを本当に作れるのか」っていう実装目線が弱かったりするんですよね。そこで私が「いや、これ作るとなると工数こんな感じになりますよ」って現実的な話ができると、クライアントからの信頼もグッと上がる。だから「技術を捨てて転職した」っていうより、「技術を土台にして、できることの幅を広げた」っていう感覚なんです。転職前の自分に「その経験、無駄にならないから安心して」って言ってあげたいですね。

これからのこと——同じように悩む人へ
今後のキャリア展望を教えてください
まだ転職して1年ちょっとなので、まずは目の前の仕事でしっかり実力をつけたい、っていうのが正直なところです。今はプロジェクトの一メンバーとして動いてますが、ゆくゆくは自分でチームを率いて、プロジェクト全体をマネジメントできるようになりたいですね。クライアントの経営層と対等に話せるレベルまで、知見も経験も積んでいきたいです。
もう少し先のことで言うと、今やっているのはIT寄りのコンサルなんですけど、もっと事業そのものに踏み込んだ提案ができるようになりたいなと思っています。テクノロジーがわかった上で、経営や事業の話までできる人って、これからすごく価値が高いと思うので。あとは、ぶっちゃけまだ全然先の話ですけど、いつか自分で何か事業を立ち上げてみたい、みたいな野望もちょっとあります。
SIerにいた頃は「10年後も同じことしてそう」って未来しか描けなかったのに、今は選択肢がいっぱいあって、それを考えるだけでワクワクするんですよ。この感覚を持てるようになったこと自体が、転職して一番変わったことかもしれないです。
最後に、同じように悩んでいる読者へメッセージをお願いします
もし今、「このままでいいのかな」ってモヤモヤを抱えているなら、その感覚は大事にしてほしいなと思います。私もずっと「贅沢な悩みかも」「みんな我慢してるし」って自分の気持ちにフタをしてたんですけど、そのモヤモヤって、たぶん自分が成長したいって思ってるサインなんですよね。それを無視し続けるのは、けっこうもったいないことなんじゃないかなって。
転職って、確かに勇気がいるし、不安もいっぱいあります。私もビビりまくってました(笑)。でも、いざ飛び込んでみたら、しんどいこともあるけど、それ以上に「毎日成長してる」っていう手応えがあって、今は本当に転職してよかったって思えてます。完璧に準備が整ってから動こうとすると、たぶん一生動けないので、まずは小さく一歩、情報を集めるところから始めてみてほしいです。あなたの経験は、あなたが思ってるよりずっと価値があると思いますので、その一歩を、応援しています。


