【企業インタビュー】Trust株式会社—テクノロジーとコミュニティで金融の未来を創る

Trust株式会社は「テクノロジーとコミュニティで金融の未来を創る」をミッションに掲げる日本発のスタートアップです。金融業界に特化したDX専門家集団として、金融機関のデジタル改革を支援しています。
共同創業者の岡田拓郎様(現会長)は、業界横断のネットワーク構築にも注力し、金融IT協会や金融データ活用推進協会を通じて、産官学連携による課題解決・情報共有の促進にも取り組んでいます。AIプロダクトの開発や業務効率化支援にも注力し、金融DXの担い手として存在感を高めています。
今回はTrustの特徴や今後の展望、カルチャーなどについて、代表取締役社長の湯山敬太様にお話を伺いました。
Trust株式会社 代表取締役社長 ITコンサルティング事業部部長
大和総研、国内大手コンサルティングファームのディレクター職を経て、現職。金融業界において、デジタル・ITを中心に戦略立案・企画構想から実行支援まで、数多くのテーマに従事。特にビジネスとITの双方向の視点で、実効性のある計画を立案、推進することを得意とする。
※掲載内容は2026年1月時点
三者三様の強みを掛け合わせ、金融の未来を創る会社「Trust株式会社」を創業
湯山様のこれまでのご経歴を簡単に教えていただけますでしょうか。
新卒で大和証券グループの大和総研というシンクタンクの会社に入りまして、10年ほど証券会社向けのシステム開発に携わりました。このとき、開発だけでなく企画系の案件を経験したことをきっかけに、上流フェーズの案件に興味を持ち、日系コンサルティング会社に転職しました。計6年勤務しまして、最初の3年間はコンサルタントを務め、その後の3年間は営業を経験しました。
こうした経験を経て、2023年に現職であるTrustの創業に携わりました。
Trust社創業の背景について教えてください。
Trust創業の背景には大きく2つの課題意識がありました。
1つ目は、現在のコンサルティング業界に対する課題意識です。現在のコンサルティング業界全体の傾向として、売上至上主義の側面はますます高まっているように感じています。コンサルティング単価は年々上昇している一方で、品質は下がっていく状況を見て、このままでは日本が良くなっていかないのではないかという課題意識を持ちました。
2つ目は、金融業界に対する課題意識です。私自身、新卒では金融機関グループのシンクタンクで働き、前職のコンサルティング会社では銀行と証券会社を中心に担当しておりましたので、金融業界に対する想い入れがあります。日本の金融業界が今後も世界と戦える競争力を持ち続けてほしい、そのために業界の抱える課題を解決していきたいという想いを強く持っていました。
そうした課題意識の下、岡田様、友田様と3名でTrustの創業に至ったのですね。
はい、こうした課題意識を抱える中、前職のとある案件の現場で偶然出会ったのが当時デジタル庁に勤めていた現会長の岡田でした。偶然一緒にランチを食べに行く機会があり、意見交換をする中で、岡田もまさに私と同じ課題意識を持っており、意気投合しました。その後、岡田を通じて、同じ課題意識を抱え、AI・データサイエンスの領域で突出した強みを持つ友田の紹介を受け、3名でTrustの創業に至っています。
当時、岡田は既に金融データ活用推進協会と金融IT協会の設立に関与しておりました。同協会は、あわせて700社以上の会員企業が所属しています。協会では会員企業の様々な成功事例の共有が活発に行われていました。
そうした成功事例を各社が自社で取り組みに落とし込んでいくための「実装」が「安価かつ高品質」にできれば、金融業界はさらに良くなっていくのではと思いました。私自身の強みはまさにコンサルティング会社で培った「実装力」であり、岡田の抱える2つの協会という「コミュニティ」と私の「実装力」は非常に相性が良いと思いました。
もう1名の共同創業者の友田は、新卒で楽天グループに入社し、一貫してAI・データ活用の領域で活躍してきた業界のエキスパートです。この友田の持つ「ソリューション」と、私の持つ「実装力」、そして岡田の抱える「コミュニティ」の3つを掛け合わせて生まれたのがTrustです。創業から2年超が経ちましたが、こうした他にはない強みの掛け算によって、ここまで順調に成長できていると思っています。

創業後、急成長を遂げる中で、特に大切にしていることはありますか。
お客様と伴走しながら、一緒に考えていくという姿勢をとても大切にしています。
一方的に成果物を渡し続けるだけの関係性ではなく、お客様と同じ方向を向いて、共通の課題に対して本気で一緒に取り組んでいくといった関係性をお客様と築けていることが、今のTrustの成長の原動力になっていると思います。
私たちは「テクノロジーとコミュニティで金融の未来を創る」をミッションに掲げています。テクノロジーで世界を変えていくということをミッションに掲げる会社もありますが、私たちはあくまで「お客様の未来を創る」ことを目指しています。こうした姿勢は、お客様からも共に考え、伴走してくれる存在として評価いただけていると感じています。
実際、弊社が支援させてもらうとお客様が一緒の方向を向いてくれるんですよね。お客様と伴走して、一緒に考えて、悩み、相談しながら進んでいく。そうした関係性が信頼に繋がり、結果としてTrustの評価や成長にも繋がっているのだと思います。
AI・データ事業部とITコンサルティング事業部が一体となってお客様を支援
貴社の特徴について教えてください。
弊社の特徴は大きく2点あると考えています。
1点目は、調査から実装まで一気通貫でお客様を支援できる体制です。プロジェクトの初期段階である調査フェーズでは、AI・データ事業部とITコンサルティング事業部が一体となってお客様を支援し、その後の実装フェーズではITコンサルティング事業部が責任を持って実装まで伴走します。こうした体制による支援は多くのお客様で実績があり、高い評価をいただいております。
2点目は、2つの協会が持つコミュニティを基盤とした価値を提供できる点です。金融業界のお客様は、特に他社の取組事例への関心が高い会社様が多いと感じます。そうしたニーズに対して、弊社はコミュニティを基盤に各社の成功事例の共有や、協会に所属するソリューション提供企業様と弊社のお客様をお繋ぎすることによる価値提供が可能であり、こうした取り組みはお客様にもご評価いただいています。
特に注力している領域や象徴的なテーマはございますか。
AIを活用したプロジェクト支援や、レガシーシステムのモダナイゼーション(レガシーシステムを最新の製品や設計に置き換える取り組み)を得意としています。この2つはセットでご支援させていただくことも多いです。
例えば、金融業界が抱える課題の1つとして、1980年代に開発されたIBMのメインフレームを現在に至るまで40年近く肥大化しながら使い続けているという課題があり、現代のビジネススピードに適応していくためには、こうしたレガシーシステムをモダナイズしていく必要があります。
一方で、開発から40年が経過した現在、こうしたレガシーシステムの有識者はお客様の社内にほとんど残っておらず、多くの場合設計書さえも存在しないことから、モダナイゼーションに着手できないといったケースが少なくありません。
こうしたケースにおいて、弊社では独自のAIプロダクトの「Trust TLanP(トランプ)」を活用しながら設計書のリバースエンジニアリング(システムのコードから設計書を生成)を実施し、得られた設計書から最適なモダナイゼーション手法の検討、実装の伴走まで、AI・データ事業部とITコンサルティング事業部が連携しながらご支援をさせていただいております。
参考:Trust TLanP サービス紹介 | Trust株式会社
2つの事業部が連携しながらご支援いただけるのは魅力的ですね。
はい、こうしたご支援は弊社の特徴的な強みであると考えています。
AIを担う部隊とコンサルティングを担う部隊が同居する組織は他社にもあるかと思いますが、なかなかコミュニケーションが取れていないというケースが多いと思います。一方で、弊社ではAI・データ事業部とITコンサルティング事業部が混成チームで提案活動やお客様のご支援を行っており、両部のコミュニケーションが活発である点は他社との大きな違いだと思います。実際、この2つの事業部が非常によく連携が取れているからこそ、ITコンサルティング事業部が主として担うお客様の伴走ご支援においても、多くの場面でAIの活用を積極的にご提案できています。
例えば、お客様の業務におけるAI活用を弊社の支援によって促進させていただいたところ、お客様の社員のエンゲージメントが高まり、離職率がゼロに繋がったという事例もあります。こうした結果は我々にしか出せない付加価値であると自負しております。

縦割りの金融業界を変える存在として、コミュニケーションを大切にする文化
社内の雰囲気に特徴などはありますか。
非常にコミュニケーションが活発な職場環境だと思います。
私たちが目指しているのは金融業界に変革をもたらしていくことですが、金融業界はどうしても縦割りで、情報がクローズドになりやすい構造があります。こうした状況を本気で変えていくためには、まず自分たちが意識してオープンなコミュニケーションを心掛けていく必要があると思っています。
私たちはコミュニケーションをできる限りオープンにし、組織や立場を超えた横の繋がりを垣根なく作っていくことを大切にしています。そのための施策の一つとして、定期的に社内イベントを開催し、コミュニケーションの活発化を図っています。
社内イベントはどのようなものがあるのでしょうか。
代表的なものとしては「JOYN(ジョイン)」があります。
JOYNは「Joy(喜び)」と「Join(参加)」を組み合わせた造語で、「楽しく新メンバーと繋がる」をコンセプトに、2週間に1回、立食パーティー形式で開催されている社内コミュニティです。仕事やプライベートの相談をしながら、フランクな雰囲気で交流を深めることができる場として設定しており、普段業務で関わりの少ない社員同士の交流の場としてだけではなく、採用候補者も積極的に参加いただいており、参加者同士の新たな繋がりなども生まれています。
(※以下の写真は2026年1月に実施されたJOYNの様子)

挑戦マインドを持って、本気で金融業界の変革に取り組んでいける環境
金融業界の変革のために大切にしていることはありますか。
お客様の変革を導く存在として、まずはTrust自身が変わっていくことを大切にしたいと考えています。
私が社員にいつも伝えているのは、「これからは働き方を大きく変えなければならない」ということです。日本の状況、金融業界の状況を考えると、AIを活用して生産性を高め、いかに働く時間を短くしていくかということにチャレンジしていかなければいけないと考えております。
これが実現できれば、空いた時間を自己研鑽の時間に使えるようになります。今の働き方やデリバリーサービスのあり方はどんどん変えていきたい。そのためにはAIは不可欠ですし、働き方を変えるマインドセットも必要です。
まずは自分たちが変わる。その姿を通じてクライアントにも変化が広がり、それが業界全体、ひいては日本全体のバリューに繋がっていく。そうした循環をつくっていきたいと考えています。
御社で活躍されている方の共通点を教えてください。
3つの共通点があると思っています。
一つ目は、能動的にコミュニケーションを取りに行ける方です。弊社の強みであるコミュニティは、存在するだけでは何も生まれません。自ら色々な方の話を聞きに行ったり、周囲を巻き込んだり、時には自分から情報発信したり、そうした動きができる人が、活躍できる人材が持っている要素の1つだと思います。
二つ目は、変化に順応し活用できる方です。AIは先月と今月で大きく変わってしまうほど進化のスピードが早いですが、それを一人で追っていくことには限界があります。支援しているプロジェクトにおいて、どのような技術が必要かということを、AI・データ事業部とのコミュニケーションより引き出し、自分の仕事に落とし込むことができるか。このやり取りを自発的にできる方は活躍されていますね。
三つ目は、個人ではなくチームでバリューを出そうとする姿勢を持っている方です。スペシャリティを持っている人は世の中にもたくさんいますが、コミュニティやAIを活用し、チームとして成果を最大化するのがTrust流の働き方です。
挑戦するマインドを持って、変化に順応し、仲間と一緒に連携しながらチームで物事を進めていける方には非常にフィットする環境であると思います。

最後に、御社を目指される求職者の方々にメッセージをお願いします。
本気で金融業界を変えていきたいというマインドを持った方と、一緒に挑戦したいと思っています。
VUCA(Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った言葉)と呼ばれる不確実な時代において、日本や各業界が置かれている状況を踏まえて、皆で力を合わせていく姿勢が重要です。
私たちは、まず金融業界から変えていきたい。その変革の当事者として、同じ想いを持って走ってくれる仲間を求めています。金融業界を変えたい、AIで日本を前に進めたいと本気で思える方であれば、きっとフィットする環境です。ぜひ一緒にチャレンジしていきましょう。

